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パートナーエージェントは17年3月期増収増益予想、婚活支援サービスで高い成婚率を実現
- 2016/11/30 08:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パートナーエージェント<6181>(東マ)は婚活支援サービスを展開している。高いスキルを持ったコンシェルジュによる活動支援を特徴として高い成婚率を実現している。会員数および成婚数が増加基調で17年3月期増収増益予想である。利用会員数最大5万人規模の「CONNECT-ship」を17年1月から開始し、ベネフィット・ワン会員向けにも17年1月から婚活支援サービスを提供する。少子化対策や女性活躍といった国策関連のテーマ性があり、株価は中期成長力を評価して戻りを試す展開だろう。
■婚活支援サービス(パートナーエージェントサービス)を提供
「本当に信頼できる結婚情報サービスを提供する結婚エージェント会社」を目指し、会員に結婚相手を紹介するパートナーエージェント事業、および関連サービスとして非会員向け低価格婚活サービスのファスト婚活事業、企業・自治体向け婚活支援サービスのソリューション事業、成婚退会会員向けライフサポートサービスのQOL(Quality of life)事業を展開している。連結子会社シンクパートナーズは広告代理事業を行っている。
16年2月には成婚会員数累計1万人を達成した。06年9月15日サービス開始から創業10年目での大台達成である。
なお16年9月、女性の活躍推進における取り組みに関連して、優良な事業主として「えるぼし」の認定(最高位)を取得している。
■高いスキルを持ったコンシェルジュの活動支援を特徴として高成婚率を実現
パートナーエージェント事業は、結婚を望む会員に対して結婚という成果をもたらすため、情報の提供から、お相手の紹介、出会いの機会の提供といった結婚に至るまでの一連の活動、いわゆる婚活支援サービスを提供している。
サービスの特徴としては、1年以内を目途に結婚相手を見つけたい顧客に対し、プロセスに手間や時間をかけず費用対効果の高いサービスを求めるニーズに応えるべく、高いコーチングスキルを持った専任コンシェルジュ(担当制)がPDCAサイクルに基づく活動支援を行っている。
データによるマッチングに加えて、コンシェルジュという人間を通して紹介することで同業他社との差別化を図るとともに、結果的に高い成婚率(年間成婚退会会員数÷年間平均在籍会員数)(16年3月期実績27.2%)の実現や、費用対効果の高いサービス提供に繋がっている。なお成婚率の全国平均は推計10%前後とされており、当社における成婚率は極めて高水準である。
コンシェルジュによる紹介だけでなく、出会いの機会を提供するため会員向け各種イベント企画・運営も行っている。イベント専門スタッフが運営し、イベントスペースを自社店舗内に設けることで機動的な開催を可能にし、イベント会場を借りるための費用削減も図っている。また各種オプションサービス(会員の活動をより効果的にするための有料の任意選択サービス)として、会員がアクセスできる特設ページに自分の顔写真やPR記事を掲載できる「MYPR」サービス、会員向け写真撮影会、各種セミナーなどを提供している。
なおサービス料金体系は登録料、初期費用、月会費、成婚料(成功報酬)、その他(イベント・セミナーへの参加費用、オプションサービス費用など)となっている。
■関連サービスも展開
関連サービス事業では、非会員向け低価格婚活サービスのファスト婚活事業、企業・自治体向け婚活支援サービスのソリューション事業、成婚退会会員向けライフサポートサービスのQOL事業を展開している。
ファスト婚活事業は、低価格で気軽に始める婚活サービスと位置付けた非会員向けイベント事業として、非会員向け婚活パーティ「OTOCON」を企画・運営している。会員向けイベントと同様に自社店舗内で運営して社内設備の有効活用に繋がる他、パートナーエージェント事業とのシナジー効果を生み出すため入会チャネルの一つと位置付けている。またオンライン婚活サービスとして、ヤフー<4689>運営の婚活ポータルサイト内で「Yohoo!婚活コンシェルプラン」を提供している。店舗運営費用を削減し、サポートにかかる費用のみでサービスを提供するため、一般的な結婚情報サービスと比較して低料金での利用が可能となる。
企業・自治体向け婚活支援サービスのソリューション事業は、システム開発・保守・運用やコンサルティングサービスなどを提供し、システム提供に伴う初期費用や保守費用などが収入となる。16年3月期受託件数は企業向け1社、自治体向け14自治体だった。
16年9月には福島県の結婚支援事業にかかる包括的支援業務受託を発表している。福島県が運営する「ふくしま結婚・子育て応援センター」向けに当社開発の結婚支援システム「parms」をカスタマイズして提供する。システム稼働は19年1月予定である。この他に佐賀県、三重県、京都府などで受注実績がある。
なお16年10月には日本エンタープライズ<4829>と協力し、長野県南佐久郡川上村が取り組む女性活躍推進および結婚環境向上推進における官民連携施策「KAWAKAMI SMART PROJECT」の一環として、シェアリングエコノミーシステムの実証実験を開始(10月12日~12月9日)したと発表している。シェアリングエコノミーシステム稼働を支援するアプリ「メイクタイム」を提供した。
ライフサポートサービスのQOL事業は、成婚した退会会員向けに結婚式場・保険・結婚関連アイテム販売事業者などを紹介・斡旋するサービス「アニバーサリークラブ」を提供している。
■中期成長に向けて新規事業も推進
中期成長戦略としては、パートナーエージェント事業の強みを活かしながら多様な婚活ニーズに対応するため、4つの事業領域(パートナーエージェント事業、ファスト婚活事業、ソリューション事業、QOL事業)を強化するとともに、3つの新規事業(ファスト婚活事業における低価格婚活支援サービス「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」、ソリューション事業における事業者間相互紹介プラットフォーム「CONNECT-ship」、QOL事業における企業主導型保育施設)を推進する。
ファスト婚活事業では、婚活パーティだけでなくプラスアルファの婚活サービスを受けたいという顧客層を開拓するため、比較的低価格で利用できる婚活支援サービス「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」を開始した。16年5月東京・新宿店と大阪・心斎橋店の2店舗(パートナーエージェント事業から業態転換)、16年7月愛知・名古屋店をオープンした。16年10月には東京・銀座店、千葉・船橋店、16年11月には東京・池袋店をオープンする。
ソリューション事業では16年10月、大手婚活支援事業者間の会員を相互紹介するプラットフォーム「CONNECT-ship」(コネクトシップ)サービスを発表した。各事業者の所属会員の成婚率を一層高め、顧客満足度を向上させる取り組みとして、当社(運営サービス名称パートナーエージェント、OTOCON MEMBERS婚活カウンター)、日本仲人連盟(日本仲人連盟)、日本シニアーライフ(マリックス)、リクルートマーケティングパートナーズ(ゼクシィ縁結び)の4社・5サービスが参加して、17年1月4日から相互紹介を開始する。
一定規模の事業者間において会員を相互紹介することは婚活支援業界初の試みであり、今回の4社・5サービスの参加によって最大3万人超の会員(各社の会員数合計)の相互紹介が可能となる。相互紹介システムとして当社が開発・運用保守を行うプラットフォーム「CONNECT-ship」を利用し、システム利用料などが当社の収入となる。今後も婚活支援事業者の参加によって規模を拡大するとともに、顧客満足度を高めて業界全体の発展も図る方針だ。
そして11月28日には「CONNECT-ship」を、西日本における最大級の加盟結婚相談所数を誇るJBA(一般社団法人日本結婚相談協会)が新たに利用開始することが決定したと発表している。今回の決定により「CONNECT-ship」は5社・6サービスによって利用されることになり、利用会員数は最大5万人規模となる。
QOL事業では16年7月、企業主導型保育施設「めばえ保育ルーム三鷹台」を開園した。社員の福利厚生も兼ねて、地域と連携して保育環境の改善を目指す。
また11月21日にはベネフィット・ワン<2412>の福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」会員780万人を対象として、オンライン型婚活支援サービス「ichie(いちえ)」を17年1月から提供開始すると発表した。今まで「結婚相談所は敷居が高い」と利用を控えていた潜在顧客にとって気軽に始めやすいサービスで、17年1月開始予定のコネクトシップサービスも利用できる。
■成婚率上昇して収益拡大基調
16年3月期連結業績は15年3月期比36.8%増収、同3.0倍営業増益、同3.3倍経常増益、同3.6倍最終増益だった。パートナーエージェント事業の伸長が牽引して6期連続増収、3期連続増益、3期連続過去最高益更新となった。店舗展開は5店舗を新規出店し、期末店舗数は24店舗(パートナーエージェントサービス24店舗)だった。
売上総利益は同40.4%増加し、売上総利益率は62.8%で同1.7ポイント上昇した。販管費は同24.3%増加したが、販管費比率は50.5%で同5.1ポイント低下した。人件費や広告宣伝費の増加を増収効果で吸収した。またROEは63.2%で同40.9ポイント低下、自己資本比率は40.4%で同32.0ポイント上昇した。
入会数は同16.0%増の9085人、成婚数は同36.9%増の3050人、期末在籍数は同17.9%増の1万1984人となった。過去5期間の会員数平均増加率は34.1%となった。成婚率は27.2%で同3.0ポイント上昇した。成婚率は12年3月期19.6%、13年3月期20.9%、14年3月期22.8%、15年3月期24.2%、16年3月期27.2%と5期連続上昇している。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期9億50百万円、第2四半期8億52百万円、第3四半期9億円、第4四半期9億42百万円で、営業利益は1億78百万円、50百万円、94百万円、1億23百万円だった。第1四半期は高採算のスポット案件システム収入も寄与した。
■17年3月期第2四半期累計は計画超の増益
今期(17年3月期)第2四半期累計(4~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比10.5%増の19億91百万円、営業利益が同2.4%増の2億34百万円、経常利益が同7.0%増の2億37百万円、純利益が同21.4%増の1億81百万円だった。減益予想から一転して増益での着地となった。
前年同期に計上した高採算スポット案件システム収入の反動や、一時的な新規入会会員数および在籍会員数の減少で売上高は計画をやや下回ったが、各利益は計画超の増益だった。システム改修に伴う業務効率化でコンシェルジュの生産性が向上し、計画に対して人件費および採用教育費を抑制できた。また販売促進費の削減も寄与した。
パートナーエージェント事業の新規入会会員数は日本結婚相談所連盟から除名された一時的要因の影響で同7.2%減少したが、在籍会員数は同5.3%増加した。成婚率は16年3月期実績の27.2%を上回るペースで推移している。売上総利益は同9.7%増加したが、売上総利益率は62.9%で同0.5ポイント低下した。販管費は同11.5%増加し、販管費比率は51.1%で同0.4ポイント上昇した。特別利益では補助金収入20百万円を計上した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期9億73百万円、第2四半期10億18百万円、営業利益は1億13百万円、1億21百万円だった。
■17年3月期通期増収増益予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月11日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比14.9%増の41億88百万円、営業利益が同9.2%増の4億86百万円、経常利益が同11.0%増の4億82百万円、純利益が同18.3%増の3億37百万円としている。事業拡大に向けた新規出店、システム投資、新サービス開始などで費用が増加するが、会員数・成婚数増加などによる増収効果で吸収する。配当については将来に向けた投資を行っている段階のため無配を継続する。
なお事業別売上高の計画は、パートナーエージェント事業が同9.3%増の34億30百万円、ファスト婚活事業が同2.0倍の4億50百万円、ソリューション事業が同5.8%減の2億10百万円、QOL事業が同61.6%増の90百万円としている。新規出店はパートナーエージェント事業3店舗、ファスト婚活事業「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」6店舗(うち2店舗はパートナーエージェント事業から業態転換)で、期末店舗数はパートナーエージェント事業25店舗および「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」6店舗の合計31店舗の計画である。
パートナーエージェント事業はサービス提供エリア拡大を推進する方針で、16年11月に群馬・高崎店をオープンした。また中国地方に初出店(岡山店)する予定だ。入会数は同5.9%増の9619人、成婚数は同12.3%増の3425人、期末在籍数は同12.9%増の1万3529人の計画である。
ファスト婚活事業は低価格婚活支援サービス「OTOCON MEMBERS婚活カウンター」も寄与して大幅増収見込みだ。婚活パーティ参加者は同42.4%増の9万1805人、ファスト婚活会員数は同2.2倍の2512人の計画である。
ソリューション事業の受託件数は企業向け7社、自治体向け19自治体である。なお17年1月開始予定のコネクトシップサービスについては、利用事業者各社から受け取る登録会員1人当たりの月額利用料および会員同士のお見合いが成立した場合のお見合い料が収益源となるが、今期に限り試用期間としてシステム利用料を無償としているため、収益計上は来期(18年3月期)からとなる。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.5%、営業利益が48.1%、経常利益が49.2%、純利益が53.7%である。期初時点で下期偏重の計画であり、通期増額余地がありそうだ。
■株主優待制度を導入、毎年9月末に実施
9月15日に株主優待制度導入を発表した。毎年9月末日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象として16年9月末から実施した。優待内容は自社サービス割引利用優待(詳細は会社HP参照)を贈呈する。なお16年9月末日時点の株主を対象に創業10周年記念優待としてクオカード1000円分を贈呈した。
■株価は基調転換して戻り試す
なお11月24日に立会外分売を実施した。分売株数は16万株で、分売値段は1639円だった。当社株式の分布状況の改善と流動性の向上を図る。
株価の動きを見ると、直近安値圏1100円近辺でのモミ合いから上放れ、11月11日の戻り高値1838円まで上伸した。
11月28日の終値1641円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS107円50銭で算出)は15~16倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS240円99銭で算出)は6.8倍近辺である。なお時価総額は約54億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて基調転換を確認した形だ。少子化対策や女性活躍といった国策関連のテーマ性があり、中期成長力を評価して戻りを試す展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)