【村山貢司の気象&経済歳時記】異常気象と食料危機

 野菜の高値が続いている。原因は夏以降の異常気象である。8月から9月にかけては全国的に長雨と日照不足になり、この影響でキャベツやレタス、白菜などの葉物を中心に収穫量が減少した。

 10月から11月にかけての野菜の平均価格は前年比で40%以上高く、11月上旬のキャベツは過去5年間の平均比で2.5倍にもなっている。例年なら、ある産地が洪水などの被害を受けても他の地方から供給されるために、高値になっても一時的で長く続くことはなかった。

 今年の場合は異常な長雨や日照不足が全国的な規模になったために、代替ができなかった。現在は影響が出ていないが今後不足になりそうなのがジャガイモで、主産地である北海道だ6月から7月にかけて大雨になったために、今後植え付けされる種芋がかなり不足しそうだ。スーパーなどでは海外からの輸入を検討しているが、輸入野菜の比率が高くなれば国内の農業経営が不安定になる恐れがある。

 安値の野菜や食料というと昔は中国からというイメージがあったが、現在の中国は食料の輸入大国に変貌している。近年は地球規模の異常気象の多発で、世界で取引される食料価格が上昇を続けている。

 その中で食料輸入が急増しているのが中国で、大豆を例にとると世界で取引される量の50%以上を中国が輸入している。豚肉や野菜の消費量も急増しているが、背景には中国の農村の荒廃で中国の食料自給率が急激に低下していることがある。日本の食料自給率はカロリーベースで39%である。足りなければ買えば良い、と安易に考えている時代ではないだろう。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■7日間摂取試験でBCAAやタウリン増加、血液健全性を維持  吉野家ホールディングス<9861>(…
  2. ■日本味と匂学会で優秀発表賞を受賞、応用研究に期待  花王<4452>(東証プライム)は9月24日…
  3. ■GHG削減価値をデジタル証書化、荷主に割り当て  商船三井<9104>(東証プライム)は9月19…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る