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コラボスはLINEとの連携を好感して急伸、17年3月期2桁営業増益予想
- 2016/12/2 07:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
コラボス<3908>(東マ)はクラウド型コールセンター・ソリューションのパイオニアかつ市場シェアNO.1企業である。導入企業が増加基調で17年3月期第2四半期累計が計画超の大幅増益となり、通期も2桁営業増益予想である。クラウド化の流れを背景に中期成長も期待される。なお12月1日付で株式2分割する。株価は11月下旬にLINE<3938>との連携を好感して動意づき、一気に年初来高値を更新した。目先的な過熱感を冷ます自律調整を交えながら15年7月の上場来高値を目指す展開だろう。
■クラウド型コールセンター・ソリューションのNO.1企業
VOIP技術(IPネットワーク上で音声を送受信する通信技術の総称)を利用したクラウド型コールセンター・ソリューションのパイオニアかつシェアNO.1企業である。企業が保有するお客様相談室や製品問い合わせセンターなどのコールセンター向けに、IP電話交換機システムや顧客情報管理(CRM)システムをワンストップクラウドサービスで提供している。
自社内に設備を持って運用するオンプレミス型コールセンターはシステム・機器導入に関する高額な設備投資やシステム運用費用が必要だが、クラウド型コールセンターは少ない初期費用と月額料金で運用でき、導入に要する期間短縮や短納期での移転・席数増減にも対応できるというメリットがある。このためコールセンターシステムを自社内オンプレミス型からクラウドサービス利用へシフトする企業が増加している。
当社のワンストップクラウド型サービスは、200席超の大規模コールセンターから5席前後の小規模コールセンターまで、大手テレマーケティング会社を含めて規模を問わず豊富な導入実績(約300社4000席の稼働実績)を持ち、クラウド型コールセンターサービス(音声系プラットフォーム)市場シェア1位である。経済性と高機能性の両立が評価されて顧客数は増加基調である。
■ワンストップサービスを提供
サービスラインナップは、クラウド型で提供される電話交換機システムおよび顧客情報管理(CRM)システムで構成され、顧客情報自動検索や自動発信・自動登録などの機能で連携している。コールセンターの規模、インバウンド(受信)やアウトバウンド(発信)などの顧客ニーズに合わせて、最適な組み合わせのサービスを提案し、ワンストップサービスを提供できることが強みだ。
主力の「@nyplace(エニプレイス)」は、米AVAYA社製IP電話交換機システムをクラウドで提供するインバウンド向けサービスだ。小規模コールセンター向け「COLLABOS PHONE」は、当社オリジナルのソフトフォン型電話交換機能をクラウドで提供する。コールセンターに特化した機能構成の「COLLABOS CRM」は、インバウンド業務に適した顧客情報管理システム(アプリケーション)である。発信リスト作成や自動架電・クリック架電機能などを備えた「COLLABOS CRM Outbound Edition」は、アウトバウンド業務に適した顧客情報管理システム(アプリケーション)である。
■アライアンスも活用してサービス強化
16年6月ニューフォリアと共同で、当社の「COLLABOS PHONE」とiOS/Androidアプリケーション間の通話を可能にするWebRTC技術を活用したSDK「COLLABOS SDK(仮称)」を開発した。実証実験を行ったうえで製品提供を開始する。
また16年6月リアルワールド<3691>と連携し、当社のクラウド型コールセンターシステムとリアルワールドの「CROWD(クラウド)」会員による在宅コールセンター事業の実証実験(在宅での営業代行やアンケート回収などのアウトバウンドコール業務)を開始した。
11月1日には、データマイニング領域で豊富な経験と技術を有するアイズファクトリー(東京都)と共同で、コールセンター向けデータ解析サービスを行う合弁会社シーズファクトリー(当社出資比率51.0%)を設立した。
11月21日には、LINE<3938>の法人向けカスタマーサポートサービス「LINE Customer Connect」と、コールセンター向けクラウド型顧客情報管理システム「COLLABOS CRM」との連携に向けた機能開発を開始すると発表した。提供開始は17年春を予定している。
■フィリピンに進出して海外展開開始
海外展開はアジアを戦略的重点地域と位置付け、ASEAN人口の約7割を占めるVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)をターゲットに定めている。
16年2月、フィリピンにおける当社サービスの現地市場参入および顧客アカウント獲得を目的として、XOE社を海外パートナーとするINTERNATIONAL RESELLER AGREEMENTを締結した。XOE社との協業でフィリピン市場での実績を積み上げ、各国への事業展開を加速させる方針だ。
■月額利用料金課金のストック型ビジネスモデル
収益は導入初期費用および月額利用料課金である。利用コールセンター席数、利用チャネル数(同時回線接続数)、利用ID数、オプション機能追加などによって月額利用料が変動する。契約数の増加によって収益が積み上がるストック型ビジネスモデルで、3年以上の長期利用顧客が全体の約5割を占めている。
16年3月期は主力の電話交換機システム「@nyplace」を中心に各システムが伸長して15年3月期比大幅増収増益だった。業種別売上高構成比はサービス57%、製造15%、情報・通信13%、流通11%、金融3%、公益1%だった。利用企業数が増加基調で席数、チャネル数、ID数は過去最高だった。四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期3億83百万円、第2四半期3億90百万円、第3四半期4億24百万円、第4四半期4億64百万円、営業利益は55百万円、58百万円、81百万円、57百万円だった。
サービス別には、電話交換機システム「@nyplace」のコールセンター利用平均席数が同786席増加の5233席、売上高が同13.3%増の12億91百万円、ソフトフォン型「COLLABOS PHONE」の平均利用チャネル数が同90チャネル増加の625チャネル、売上高が同20.1%増の1億06百万円、インバウンド業務の顧客情報管理システム「COLLABOS CRM」の平均利用ID数が同261ID増加の2559ID、売上高が同0.1%増の1億88百万円、アウトバウンド業務の顧客情報管理システム「COLLABOS CRM Outbound Edition」の平均利用ID数が同137ID増加の552ID、売上高が同23.6%増の43百万円だった。
売上総利益は同18.0%増加し、売上総利益率は42.5%で同2.1ポイント上昇した。販管費は同15.9%増加し、販管費比率は27.4%で同0.9ポイント上昇した。営業外費用では株式公開費用および株式交付費が一巡した。ROEは16.7%で同1.1ポイント上昇、自己資本比率は72.3%で同2.6ポイント低下した。配当は無配を継続した。
■17年3月期第2四半期累計は計画超の大幅増益
今期(17年3月期)第2四半期累計(4~9月)の連結業績は売上高が前年同期比11.9%増の8億65百万円、営業利益が同34.8%増の1億53百万円、経常利益が同32.3%増の1億51百万円、純利益が同35.6%増の1億02百万円だった。
西日本大手テレマーケティング会社の既存システムからのリプレイス案件、大手印刷会社の大型スポット案件、大手総合電機メーカー・労務系サービス提供会社・医療系通信販売会社等への新規導入などで主要サービスが伸長し、新規導入に係る周辺機器販売も増加した。利益面では増収効果に加えて、期中に見込んでいた人員補強および開発費用の一部が後ろ倒しとなったことも寄与して計画超の大幅増益だった。売上高営業利益率は過去最高の17.7%となった。
サービス別に見ると、電話交換機システム「@nyplace」のコールセンター利用平均席数が同730席増加の5758席、売上高が同14.3%増の6億77百万円、ソフトフォン型「COLLABOS PHONE」の平均利用チャネル数が同24チャネル減少の599チャネル、売上高が同0.5%減の51百万円、インバウンド業務の顧客情報管理システム「COLLABOS CRM」の平均利用ID数が同234ID増加の2750ID、売上高が同9.8%増の1億円、アウトバウンド業務の顧客情報管理システム「COLLABOS CRM Outbound Edition」の平均利用ID数が同73ID増加の607ID、売上高が同9.0%増の21百万円、その他の売上高が同18.4%減の13百万円だった。
売上総利益は同20.4%増加し、売上総利益率は46.3%で同3.2ポイント上昇した。販管費は同12.9%増加し、販管費比率は28.6%で同0.2ポイント上昇した。売上原価では回線料、ネットワーク機器等設備保守費用、ホスティング費用、顧客毎のコールフロー設定等作業費用、償却費用、販管費では人件費、業務委託費などが増加した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期4億20百万円、第2四半期4億45百万円、営業利益は65百万円、88百万円だった。
■17年3月期通期も2桁営業増益予想、配当は未定
今期(17年3月期)通期の非連結業績予想(5月6日公表)は、売上高が前期(16年3月期)比10.1%増の18億30百万円、営業利益が同11.5%増の2億80百万円、経常利益が同8.5%増の2億75百万円、純利益が同12.1%増の1億85百万円としている。配当予想は未定としている。
各サービスとも順調に伸長して2桁営業増益予想である。各サービスにおける既存顧客の継続利用による売上高を基礎としたうえで、顧客ニーズへの対応力強化、既存顧客との関係強化、国内外におけるパートナー戦略による販路拡大に取り組む方針だ。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が47.3%、営業利益が54.7%、経常利益が55.0%、純利益が55.2%である。人員補強および開発費用の一部後ろ倒しを考慮しても順調であり、通期も好業績が期待される。
■中期成長に向けて顧客基盤拡大や新サービス創出を推進
早期に東証1部への市場変更が可能な利益水準を目指し、中期成長戦略として顧客基盤拡大に向けた販売力強化・販路拡大、新たな付加価値の提供に向けた新サービス・商品の創出加速、安定事業創出に向けた経営基盤強化を掲げている。M&A・アライアンス戦略や東南アジア地域を中心とする海外展開も推進する方針だ。
国内販路拡大では関西圏でのシェア拡大を狙い、関西を地盤とするSIerとの協力体制を強化する。既存パートナーとの協力体制強化および海外展開では、アウトソーシングビジネス大手のトランス・コスモス<9715>のフィリピン拠点に新規導入した。また海外顧客向けサーバーを15年12月末構築した。
マーケティング手法の多様化やコスト低減のニーズも背景として、自社内オンプレミス型コールセンターから、低コストで拡張性や柔軟性も高いクラウド型コールセンターへのシフトが加速すると予想されている。サービス提案力やワンストップサービスの強み、市場シェアNO.1の実績も武器として契約数の増加が期待され、中期的に収益拡大基調だろう。
■株価は自律調整一巡して戻り試す
なお11月4日に株式分割を発表した。16年11月30日を基準日(効力発生日16年12月1日)として1株を2株に分割する。
株価の動き(16年12月1日付で株式2分割)を見ると、11月下旬にLINE<3938>との連携を好感して動意づき、一気に1月高値2640円を突破して年初来高値を更新した。11月28日には3700円まで上伸した。
12月1日の終値2850円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS131円11銭で算出)は21.74倍、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮したBPS759円27銭で算出)は3.43倍である。時価総額は約49億円である。
週足チャートで見ると、13週移動平均線が上向きに転じてサポートラインとなった。また26週移動平均線も上向きに転じた。モミ合いから上放れて基調転換を確認した形だ。目先的な過熱感を冷ます自律調整を交えながら、15年7月の上場来高値5145円を目指す展開だろう。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)