【編集長の視点】加賀電子は自己株式取得・増配を見直し割り負け是正買いが再燃し反発
- 2016/12/5 10:35
- 編集長の視点
加賀電子<8154>(東1)は、34円高の1389円と4営業日ぶりに反発して始まり、きょう5日の日経平均株価が、125円安と続落してスタートするなか、逆行高を鮮明化している。今年11月1日に発表した自己株式取得や、同じく10月24日に発表した今3月期配当の増配を見直し、この権利取りと割り負け修正買いが再燃している。今3月期業績も、4月~9月期(第2四半期、2Q)累計業績が、期中の2回の上方修正値を上ぶれて着地し、3月通期純利益も、上方修正され期初の減益転換予想から増益となることもフォローの材料視されている。
■2Q累計業績は2回も上方修正し3月期通期純利益は上方修正で連続増益
自己株式取得は、資本効率の向上を図り機動的な資本政策の遂行を可能とすることを目的としており、取得株式数の上限を100万株(発行済み株式数の3.54%)、取得価額の総額を15億円、取得期間を11月8日から来年3月30日までとして実施中である。また今期年間配当も、10月24日に今期2Q累計業績を再上方修正し3月通期純利益を上方修正したことに伴い、期初予想の40円を50円(前期実績55円)へ増配、前期実績からの減配幅を縮小させる。
一方、今期業績の上方修正は、2Q累計業績を今年8月、10月に2回も上方修正したが、実際は、この再上方修正値を上ぶれて着地、売り上げは1096億5900万円(前年同期比10.8%減)、営業利益は32億1200万円(同23.%減)、経常利益は30億4500万円(同31.2%減)とそれぞれ減収減益幅を縮め、純利益は31億1100万円(同5.7%増)と続伸した。電子部品事業は、国内外の主要顧客の生産調整やアミューズメント機器向けビジネスの低迷、半導体メーカーの代理店政策の変更などにより減収減益となったが、同事業のEMS(電子製品の開発・製造・販売受託サービス)ビジネスが期初予想より好調に推移したほか、情報機器事業では、パソコンやコンシューマー向け商品の取扱高が増加し、住宅向け関連商材の需要が回復し、セグメント利益が大きく伸びたことなどが要因となった。
今3月通期業績は、売り上げ2300億円(前期比6.3%減)、営業利益57億円(同26.8%減)、経常利益64億円(同19.1%減)、純利益58億円(同6.7%増)と予想、このうち純利益は、グループ再編による法人税等調整額に減少などにより今年10月に上方修正し、期初の減益転換予想が連続増益に変わっている。
■PER8倍台、PBR0.8倍の修正に自己株式取得もオンして上値挑戦
株価は、今年6月に英国のEU離脱ショックで年初来安値1079円に突っ込んだが、その後の2回にわたる今期2Q累計業績の上場修正で1300円台まで底上げし、2Q累計業績の上ぶれ着地と自己株式取得発表で年初来高値1987円まで急騰し、定石通りにスピード調整した。PERは8倍台、PBRは0.8倍となお割り負け、配当利回りは2.71%と市場平均を上回っており、自己株式取得の好需給も加わって高値抜けから上値チャレンジを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)