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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ブイキューブは急反発して強基調に転換、ロボット技術のラピュータ社への出資も好感
- 2015/1/30 07:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
Web会議システム首位のブイキューブ<3681>(東マ)の株価は、1月15日と16日の直近安値1280円から急反発して28日に1755円まで上伸した。26日に発表したロボット技術のラピュータ社への出資も好感された。強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。なお2月12日に前期(14年12月期)の決算発表を予定している。
TV会議・Web会議・オンラインセミナー・営業支援・遠隔教育・遠隔医療・映像配信といったビジュアルコミュニケーションツールおよびソリューションサービスの企画・開発・販売・運用・保守を企業向けに提供している。
Web会議システム「V-CUBE」は、Webカメラ、ヘッドセット、ネット環境があれば世界中いつでも、どこでも、だれでも、スマートフォンやタブレット端末でも利用可能なビジュアルコミュニケーションサービスである。200社以上の国内販売パートナーと連携して4000社を超える納入実績を持ち、国内Web会議市場で7年連続首位を達成している。
主力のクラウド型はサービス提供に伴う月額利用料、官公庁や金融機関向けが中心のオンプレミス型はサーバ・ライセンス販売に伴う導入費用や月額保守料が収益柱である。14年9月には、1契約でV-CUBEミーティングやV-CUBEセミナーなどのサービス群から最適なサービスを選択して利用できる「V-CUBE One」と、知名度向上に向けた無料の法人専用テキストチャットサービス「V-CUBE Gate」の提供を開始した。
ビジュアルコミュニケーション市場は、オンラインミーティングやオンラインセミナーなど国内外で拡大基調が予想され、中期成長戦略として国内シェア拡大と潜在市場開拓、アジアNO.1を目指した海外展開、B2B2C型プラットフォームモデルの展開を推進している。海外は米国、マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシア、香港、中国に展開し、14年3月には韓国でサービス開始した。
国内シェア拡大と潜在市場開拓に向けて、14年5月にパイオニア<6773>の子会社でオンプレミス型Web会議システム国内首位のパイオニアソリューションズ(現パイオニアVC)を子会社化し、10月には同社のビジュアルコラボレーションサービス群を「xSync(バイシンク)」ブランドに統一した。パイオニアVCが強みを持つ電子黒板システムなどの文教分野は、教育IT化に向けた環境整備4ヵ年計画で市場拡大が予想されている。
B2B2C型プラットフォームモデルでは14年3月、受講者に対して有料オンライン講座や有料オンラインセミナーなどを課金ライブ配信できるマーケットプレイス「V-CUBE MARKET」を開始した。
アライアンス戦略では、14年3月にエムスリー<2413>と合弁でエムキューブを設立し、メディカルヘルスケア分野の業界特化ソリューションを強化した。6月には大日本印刷<7912>と業務効率化支援サービスで提携、7月にはビットアイル<3811>とビジュアルコミュニケーションサービス領域において協業、10月にはパイオニアVC、大日本印刷、日本ユニシス<8056>の3社が災害危機管理ソリューションで協業、11月にはワイヤレスゲート<9419>と包括的業務提携した。
また1月26日には、ドローン(小型無人飛行機)の商用利用に必要不可欠な技術開発を行うRapyuta Robotics社(ラピュータ社)への出資を発表した。当社のビジュアルコミュニケーションサービスとラピュータ社の技術を組み合わせて、共同でのサービス開発を行うとしている。
前期(14年12月期)の連結業績見通し(パイオニアVCの連結子会社化に伴って3月24日に売上高を増額修正)は、売上高が前々期比86.3%増の47億05百万円、営業利益が同90.6%増の5億27百万円、経常利益が同2.0倍の5億34百万円、純利益が同40.1%増の3億22百万円としている。
今期(15年12月期)も、クラウド型、オンプレミス型、アプライアンス型(小中学校向け電子黒板)とも増収基調であり、パイオニアVCの通期連結(前期は5月~12月の8ヵ月分)も寄与して大幅増収増益が期待される。
中期経営目標値として売上高100億円、経常利益30億円の早期達成を掲げている。ビジュアルコミュニケーションサービス市場は拡大基調であり、競争力の高さ、規模の優位性、積極的な事業展開などで中期的にも収益拡大基調だろう。
株価の動き(効力発生日15年1月1日で株式2分割)を見ると、1600円~2000円でのボックス展開から一旦は下放れの形となったが、1月15日と16日の直近安値1280円から急反発し、28日には1755円まで上伸した。ラピュータ社への出資も好感された。
1月29日の終値1720円を指標面(1株当たり数値は株式2分割を考慮して算出)で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS35円24銭で算出)は49倍近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS415円46銭で算出)は4.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線と75日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線を一気に突破した。底打ちして強基調に転換した形であり、中期成長力を評価して出直り展開だろう。