【ドクター箱崎幸也の健康増進実践法】現在の高齢者は5~10歳は若返っている

 最近よく「人生90年」を耳にしますが、日本も含め欧米先進国では「65歳以上が高齢者」と定義されています。多くの人達の実感は、高齢者の定義はもう少し年齢を重ねているのではないでしょうか。

 2014年内閣府の高齢者に関する国民意識調査では、「70歳から」を高齢者と自覚、あるいはその年齢に達していなくてもそう捉える人が増加していることが報告されています。古稀の由来の杜甫「人生七十古来稀なり」がありますが、現代日本では稀ではなく当たり前に年を重ねる年齢になっています。

 実際の医療現場でも、75歳以上の方々が「高齢者」に特徴的な心臓疾患、脳血管疾患、気管支肺炎、転倒・転落に伴う骨折などの合併が増加します。人の種々の生理的機能は30歳前後がピークですが、75歳では腎臓機能60%、肺機能40~50%、心機能30%、神経機能20%低下するとも言われています。腎臓・肺・心機能は75歳からは平行線か緩やかな低下傾向を示しますので、機能維持のためにも75歳からでも日々の血圧や血糖などの維持管理が大切です。最近の栄養状態や環境衛生の改善によって、各機能低下も10%は改善していると考えられています。例えば食べられる能力に大きく関与する「歯数」は、昭和の65歳と現在の80歳前後に相当します。

 我が国では現在65~74歳を「前期高齢者」、75~89歳を「後期高齢者」、90歳以上を「超高齢者」と定義しています。今後は75歳以上を「前期高齢者」、85歳以上を「後期高齢者」と総称する時代が来るかもしれません。65歳から74歳はまだまだ「盛年」であり、新たなネーミングが必要とされています。

 古来中国では70歳にして事を致す(官職を辞す)ことを「致仕(ちし)」としていましたが、70歳でも社会参画を促し「生涯現役」を目指す現在の日本社会です。しかし高齢者の就業継続が、若年者の就業や高齢者自身の生き方の多様性などへの影響も考える必要もあります。いずれにしても、日々健康でいるためにも何らかの形で社会との繋がりは大切にして下さい。(箱崎幸也=元気会横浜病院々長、元自衛隊中央病院消化器内科部長)

 

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