【株式評論家の視点】窪田製薬ホールディングスは来年2月に本決算発表を予定、買いのタイミングを計るところ
- 2016/12/12 06:52
- 株式評論家の視点
窪田製薬ホールディングス<4596>(東マ)は、12月1日に同社の完全子会社であるアキュセラ・インク(12月1日付で「アキュセラ・ノースアメリカ・インク」から商号変更。)を存続会社、同社の親会社であった旧アキュセラ・インクを消滅会社とする三角合併を通じた持株会社化が完了したことに伴い、 同6日に東京証券取引所マザーズ市場へ上場した。眼疾患に対する治療、または疾患の進行を遅らせる革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組む子会社の経営管理と、それに附帯または関連する業務を行っている。
世界中で眼疾患に悩む方の視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発と実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニーで、同社子会社のアキュセラ・インク(米国、シアトル)が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索および開発に取り組んでいる。同社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」において糖尿病網膜症、スターガルト病、中期加齢黄斑変性への適応を目指し研究を進めているほか、白内障や老視(老眼)の薬物治療を目的としたラノステロールの研究開発および網膜色素変性における視機能再生を目指すオプトジェネティクスに基づく遺伝子療法の開発を実施している。
今2016年12月期業績予想は、売上高が8億9700万円、営業損益が41億4000万円の赤字、経常損益が39億8800万円の赤字、最終損益が39億8800万円の赤字を見込んでいる。臨床開発段階の眼科医療ソリューション・カンパニーで、研究開発活動を継続して実施し、パイプラインの拡充に向けた先行投資を行っているため、現時点では、配当は実施していないが、株主への利益還元については重要な経営課題と認識しており、将来、現在開発中の新薬が上市され、その販売によって利益が計上され分配可能額が生じる時期に配当する方針を検討する考え。
11月4日に公表した旧アキュセラ・インクの今16年12月期業績予想には、 持株会社となる窪田製薬ホールディングスにおいて発生することが予想される費用等は織り込んでいることから、窪田製薬HDの今16年12月期業績予想についても、現時点では同じ数値を予想している。修正が必要な場合は、速やかに開示する予定。
この12月における開発状況は、「エミクススタト塩酸塩」については、糖尿病網膜症とスターガルト病を適応症とする研究開発を行っているが、糖尿病網膜症の臨床第2相試験を現在実施。スターガルト病においても早期に臨床第2相試験を始めるために研究を進めているほか、地図状萎縮を伴わない病態の加齢黄斑変性への適応も検討している。今年の3月に導入した白内障治療薬候補の「ラノステロール」については、17年下旬から18年初旬に白内障患者を対象とする臨床第1/2相試験を開始する方向で研究を進めている。網膜色素変性に対する遺伝子療法「オプトジェネティクス」についても予定どおり研究開発を進め、16年から18年にかけて非臨床試験を行い、18年には臨床第2相試験を実施することを目指している。
株価は、12月6日は寄付高値で1140円、同日引けは1039円。12月9日に安値851円と調整している。来年2月には12月期本決算の発表が予定されているが、同月後日決算説明会とIRサイト上で動画配信を予定。同月24日の午後12時半~東証IRフェスタにおいて、同社代表執行役会長、社長兼CEOの窪田氏が登壇する予定で、「エミクススタト塩酸塩」について、糖尿病網膜症の臨床第2相試験の状況やスターガルト病において臨床第2相試験開始のスケジュール等が明らかになれば、株価を刺激すると思われる。この年末から年始にかけて目先の売りが一巡し、下値を固めてくるか、待ち伏せ買いのタイミングを計るところだろう。(株式評論家・信濃川)