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アールシーコアは安値圏モミ合いから上放れて基調転換、4%台の高配当利回りを見直し
- 2016/12/19 07:28
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アールシーコア<7837>(JQ)はログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売している。17年3月期は減額修正したが、増収・営業増益を確保する見込みだ。そして連続増配予想である。株価は安値圏でのモミ合いから上放れて基調転換した。4%台の高配当利回りを見直して上値を試す展開だろう。
■ログハウスのオリジナルブランド「BESS」を販売
自然材をふんだんに使った個性的な木の家であるログハウスのオリジナルブランド「BESS」の販売を、国内直販部門、連結子会社BESSパートナーズ(BP)社、および国内販社で展開している。FCを中心とした事業展開で高資本効率を実現している。
16年3月期末の契約販社数(BP社含む)は26社、営業拠点数は全国40拠点(直営2拠点、BP社2拠点、販社36拠点)だった。国内直販部門では東京・代官山「BESSスクエア」と神奈川県「BESS藤沢展示場」の直営展示場2拠点、およびタイムシェア別荘施設「フェザント山中湖」も運営している。
■中期経営計画で17年3月期ROE18%目標
中期経営計画では、目標数値として17年3月期の契約棟数1600棟、売上高180億円、営業利益率8%、ROE18%を掲げている。
重点戦略として「BESS」ブランドの深耕、強みであるログハウスを主軸に据えたマーケティング・商品戦略、販社再編、商品の納期短縮・コスト削減・価格競争力向上、営業拠点と営業員の拡充、営業スキル向上と営業力強化に向けたBESS営業(ホームナビゲーター)資格制度導入、展示場50拠点展開などを推進している。またΩ戦略室で法人向け等の事業開発に着手している。
商品戦略強化では14年11月に新世代ログハウスとして新商品「G-LOG」を発売した。また16年6月には新商品としてLOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」を発表した。16年8月から予約販売を開始する。
16年7月には新商品LOG小屋「第三のトコロ IMAGO(イマーゴ)」の展開として、農業ベンチャーのマイファーム(京都市)およびDIYライフスタイルカンパニーのDIYFACTORY大都(大阪市)との提携を発表した。
展示場50拠点を目指した展開では、16年4月BESS久御山(京都府)とBESS松本(長野県)が新規オープン、16年6月BESS蒲郡(愛知県)が周辺再開発で閉鎖、16年10月BESS川口(埼玉県)とBESS大分(大分県)が新規オープンした。
■部材製造販売のカナダの連結子会社を売却してファブレス化
カントリーログハウスのキット部材を製造販売するカナダの連結子会社BFM社については、16年7月カナダのBAYWEST社に全株式を譲渡した。ファブレス化で経営資源をマーケティングや商品開発に集中させる方針だ。株式譲渡後も当面はBFM社からの取引を継続するとしている。
■収益は物件引き渡し件数・時期で変動
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は契約(受注)高が第1四半期15億25百万円、第2四半期30億47百万円、第3四半期24億42百万円、第4四半期34億75百万円、売上高が28億11百万円、32億75百万円、29億16百万円、29億39百万円、営業利益が1億14百万円、2億23百万円、1億95百万円、1億45百万円で、16年3月期は契約高が22億17百万円、35億10百万円、21億61百万円、39億88百万円、売上高が28億59百万円、34億93百万円、28億95百万円、30億71百万円、営業利益が1億29百万円、3億02百万円、1億23百万円、1億98百万円だった。
収益は直販部門とBP社の「BESS」売上、販社からのロイヤリティ収入および販社へのキット部材売上などである。物件引き渡し件数・時期などで四半期収益は変動しやすいが、契約(受注)高は回復傾向を強めている。
16年3月期は販管費抑制も寄与して15年3月期比増益での着地となった。契約(受注)棟数は同10.7%増の1004棟、契約(受注)高は同13.2%増の118億76百万円、期末契約(受注)残高は同12.0%増の71億16百万円だった。全国BESS展示場への新規来場者数は2.9万件でほぼ15年3月期並みだったが、強化ポイントの再来場者数は同2.1%増加した。営業員の質・量の拡充については、販社を含むBESS事業全体の営業員数(成約稼働ベース=トレーニング実済み)が前期末比1名増加の141名となった。
売上総利益は同3.3%増加し、売上総利益率は33.3%で同横ばいだった。販管費は同1.7%増加したが、販管費比率は27.2%で同0.4ポイント低下した。純利益は法人税等の減少も寄与した。ROEは11.7%で同1.5ポイント上昇、自己資本比率は44.9%で同2.2ポイント上昇した。配当は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で配当性向は39.0%だった。
セグメント別(連結調整前)に見ると直販部門は契約高が同15.7%増の36億91百万円、売上高が同1.4%増の35億76百万円、営業利益が同15.2%減の2億41百万円だった。展示場への新規来場者数は同15.2%増加した。販社部門は契約高が同12.8%増の66億円、売上高が同7.7%増の78億87百万円、営業利益が同8.8%増の15億41百万円だった。キット部材売上やロイヤリティ収入が増加した。BP社は契約高が同12.1%増の15億57百万円、売上高が同17.3%減の14億13百万円、営業利益が同61.8%減の22百万円だった。前期の受注不振が影響した。北米部門(BFM社)は売上高が6億19百万円、営業利益が17百万円だった。
■17年3月期第2四半期累計は減益
今期(17年3月期)第2四半期累計(4~9月)の連結業績(10月21日に減額修正)は、売上高が前年同期比2.9%増の65億35百万円だが、営業利益が同9.8%減の3億89百万円、経常利益が同7.4%減の3億82百万円、純利益が同34.9%減の1億85百万円だった。契約(受注)高は同5.1%増の60億19百万円で、期末契約(受注)残高は71億87百万円となった。
期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移したが、消費増税延期決定により駆け込み需要が消失して契約(受注)に遅れが生じ、夏場の悪天候の影響で工期およびキット納期が長期化したことも影響して計画を下回った。またカナダBFM社売却に関して円高影響で想定以上の売却損が発生したことも影響した。
売上総利益は同4.7%増加し、売上総利益率は33.5%で同0.6ポイント上昇した。販管費は同8.5%増加し、販管費比率は27.5%で同1.4ポイント上昇した。特別損失では関係会社株式売却損1億15百万円を計上した。
セグメント別(連結調整前)に見ると直販部門は契約高が同12.2%増の18億69百万円、売上高が同7.0%減の17億98百万円、営業利益が同6.3%増の1億74百万円だった。法人向け特需物件の一巡で減収だが、施工効率改善などで増益だった。受注面では営業人員の増加などが奏功した。
販社部門は契約高が同1.1%減の31億72百万円、売上高が同7.3%増の42億86百万円、営業利益が同1.4%減の7億67百万円だった。期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移したが、業容拡大や販社再編による販売費等の増加で減益だった。受注面では販社再編が影響した。
BP社は契約高が同16.5%増の9億67百万円、売上高が同10.5%増の7億64百万円、営業利益が3百万円(前年同期は0百万円)だった。期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移した。北米部門はBFM社の売却が16年7月に完了し、売上高が1億16百万円、営業利益が6百万円だった。
四半期別推移を見ると、契約(受注)高は第1四半期18億41百万円、第2四半期41億78百万円、売上高は29億12百万円、36億23百万円、営業利益は54百万円、3億35百万円だった。
■17年3月期通期予想を減額だが増収営業増益予想、そして連続増配予想
今期(17年3月期)通期の連結業績予想は10月21日に減額修正した。前回予想(5月13日公表)に対して、売上高は5億50百万円減額して前期(16年3月期)比10.8%増の136億50百万円で、営業利益は1億20百万円減額して同3.6%増の7億80百万円、経常利益は90百万円減額して同2.5%増の7億60百万円、純利益は1億35百万円減額して同12.9%減の4億45百万円とした。
第2四半期累計の計画未達分を減額したが、期首の豊富な繰越契約残高からの売上が順調に推移して増収営業増益予想である。配当予想は据え置いて同2円増配の年間47円(第2四半期末23円、期末24円)としている。連続増配で予想配当性向は47.0%となる。
■株主還元はDOEを重視、株主優待は3月末と9月末に実施
利益配分についての基本方針は、DOE(純資産配当率)を重視した長期的視点での安定的配当を実施するとしている。15年3月期のDOEは4.5%、16年3月期のDOEは4.4%で、17年3月期のDOEは4.6%となる見込みだ。
株主優待制度は毎年3月末・9月末時点で100株以上保有株主に対して実施している。優待内容は15年3月期から改訂し、保有株数に応じて「BESS指定工事請負契約にかかる優待割引」「フェザント山中湖タイムシェア・別荘オーナー制度・メンバー制度の優待割引」「フェザント山中湖宿泊利用割引・サービス利用割引」「BESSオリジナル外部用防腐スプレー販売割引」などの優待券を贈呈している。
■株価は安値圏モミ合いから上放れて基調転換
株価の動きを見ると、安値圏900円台でのモミ合いから上放れて12月16日には1060円まで上伸した。基調転換した形だ。
12月18日の終値1056円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS99円92銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間47円で算出)は4.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1005円76銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約47億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して上伸した。さらに13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いた。基調転換を確認した形だ。4%台の高配当利回りを見直して上値を試す展開だろう。
(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)