【編集長の視点】AWSHDは分割後安値から底上げ途上、ZMP上場延期を織り込み最高業績と新ソリューションを買い直す
- 2016/12/21 08:35
- 編集長の視点
AWSホールディングス<AWSHD、3937>(東マ)の前日20日の株価は、40円安の3010円と反落して引けた。今年11月9日につけた株式分割の権利落ち後安値2700円から25日移動平均線までリバウンドしており、目先の利益を確定する売り物が交錯した。ただ下値に買い物も続き、底上げはまだ序盤で一段の戻りが期待できそうだ。自動車の自動運転技術で同社と密接なロボットベンチャーのZMPが、12月19日に予定していた新規株式公開(IPO)を延期したことを受けて、同社の株価も、200円幅の下落となったが、既に影響は一巡したとして、同社の今3月期の2期ぶりに過去最高純利益を更新する好業績や、ソフトバンク<9984>(東1)と日本アイ・ビー・エムが共同で構築・提供する「IBM Watsonエコシステムプログラム」に参画して展開する新ソリューションが依然として注目材料となっているためだ。投資評価会社が、強気の投資判断と想定株価レンジを打ち出したことも、フォローしそうだ。
■2Q業績は2回も上方修正しメディカル事業の好調推移で3月通期業績も上ぶれ期待
同社の今期業績は、4月~9月期(第2四半期、2Q)累計業績が、今年8月、11月と2回も上方修正され、営業利益は期初予想の3100万円が1億2800万円へ、経常利益が同じく6400万円から1億7300万円へ、純利益も同3100万円から1億500万円へそれぞれ大きく引き上げられた。フィリピンで展開しているオフショアシステム開発のグローバル事業の開発案件の受注が拡大しているほか、メディカル事業では、レセプト点検ソフト「Mighty」シリーズの今年9月末のユーザー数が、1万2500医療機関を突破したことなどが要因となった。
3月通期業績は、今年6月の新規株式公開(IPO)時の予想を据え置き売り上げ34億3400万円(前期比17.3%増)、営業利益2億7100万円(同40.0%増)、経常利益2億7000万円(同16.2%増)、純利益1億6700万円(前期は400万円の赤字)と予想しているが、2Q累計の純利益は、通期予想業績に対して63%の進捗率と目安の50%を上回っており、上ぶれて着地する期待を高め、2015年3月期の過去最高(3200万円)を大幅に更新することになる。
一方、「IBM Watsonエコシステムプログラム」は、大規模なデータを分析し、自然言語で投げ掛けられた複雑な質問を解釈して根拠に基づき回答する人工知能IBM Watsonを活用したサービスの
導入を推進するパートナープログラムで、AWSHDは、積極的にこの日本語版を活用したソリューションを提供し、「Automation(ソフトウェアテスト自動化)」、「Analytics(分析)」、「AI(人工知能)」の3Aの分野で様々な業界において協業を進める。
■「リターン・リバーサル」で急騰特性を発揮し分割落ち後高値へキャッチアップ
株価は、今年6月に公開価格2490円に対して8350円で初値をつけ、連続ストップ高を交えて上場来高値1万2070円まで買い上げられた。その後は、新興市場の人気離散などで4805円安値まで売られたが、今期2Q累計業績の1回目の上方修正、株式分割(1対2)の好材料が続いてストップ高を交えて9180円の戻り高値をつけ、7810円で分割権利を落とした。分割権利落ち後は、落ち後安値2700円から今期2Q累計業績の2回目の上方修正で底上げし、ZMPの上場承認、「IBM Watsonエコシステムプログラム」参画が続いて落ち後高値3745円へ1000円高し、ZMP上場延期とともに再度、下値を探り、落ち後安値目前で踏み止まった。下げた株ほど良く戻るとする投資セオリーの「リターン・リバーサル」通りに再騰は有力で、投資評価会社のモーニングスターの強気投資判断、想定株価レンジ4500-5000円の高評価も加わり持ち前の急騰特性を発揮しまず分割落ち後高値3745円へキャッチアップしよう。(本紙編集長・浅妻昭二)