【株式評論家の視点】船場は商業施設等の企画・設計に実績あり、下押す場面に買い妙味
- 2016/12/22 07:43
- 株式評論家の視点
船場<6540>(東2)は、12月19日に東京証券取引所第二部市場に上場した。同社グループは、商環境づくりの川上から川下までの全プロセス(調査、分析からマーケティングプラン、基本計画、設計、監理、施工、開業支援、管理・運営)を一貫してトータルにサポートする商環境創造事業を運営している。
同社グループの主要顧客である小売業界においては、e コマースの発展により、単に商品を買う場所からイベントなどの体験や、出会いの交歓を体験できる場所、「商品+体験」の空間へと、現実の店舗は変化していくと認識している。成長拡大が見込まれるアジア市場への出店加速化や、インバウンド対応への変化もみられると認識している。これら「商環境の変化」こそが、ビジネスチャンスであり、業務領域を拡大するチャンスと捉えている。
今2016年12月期第3四半期業績実績は、売上高が201億9200万円、営業利益が12億6500万円、経常利益が12億7500万円、純利益が7億3400万円に着地。西日本エリアを中心とした大型店、SCのオープン需要を取り込み、比較的堅調な受注を獲得した。
今16年12月期業績予想は、売上高が275億7400万円(前期比10.3%減)、営業利益が15億2500万円(同25.3%減)、経常利益が15億2300万円(同26.1%減)、純利益が8億2400万円(同47.6%減)を見込む。上場で調達した資金は設備投資や人件費、借入金の返済に充てる。年間配当は期末一括20円を予定している。
株価は、12月19日に公開価格1290円を7.5%下回る1193円で初値をつけた後、20日に高値1280円と買われた後、モミ合っている。 同社を取り巻く事業環境は、インバウンド需要の拡大や東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた諸施設の建設や都市再開発・インフラ整備等の増加が見込まれているが、イオンモールをはじめ、イトーヨーカ堂の運営する「アリオ」、三井不動産商業マネジメントが運営する「ららぽーと」、住友商事などが運営する商業施設等の企画・設計に携わってきた実績があり、今後も新装・改装需要等の受注が期待される。16年12月期は減益を見込むが、PER13倍台と割安感はあり、17年12月期は回復が見込まれている。配当権利付き最終日の27日を前に下押す場面があれば、中長期的な視点で買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)