【編集長の視点】ラクト・ジャパンは25日線で下値を確認し業績急回復・連続増配観測を手掛かりに年初来高値を射程圏

 ラクト・ジャパン<3139>(東2)は、3日連休前の22日に前日比変わらずの1557円で引けた。今年12月7日につけた年初来高値1663円から下値を探る動きを続けてきたが、25日移動平均線で売り買いが拮抗し下値調整一巡を示唆した。現在、決算集計中の同社の前2016年11月期業績は、期初予想通りに連続減益で着地するものの、続く今2017年11月期業績は、国際乳製品価格の上昇から大幅増益転換と連続増配が観測されており、先取りして割安修正買いが再燃する展開も有力となる。TPP(環太平洋経済連携協定)承認・関連法案も、12月9日に参議院本会議で可決・成立しており、発効については米国の次期大統領のトランプ氏の発言でやや見通し難となっているが、同社がシンガポールで生産しているチーズの東南アジア向け輸出などに好影響するとして、業績期待を高めている。

■国際乳製品市況の上昇転換やTPP関連法案成立、円安進行が今期業績に追い風

 同社は、乳原料を主力に豚肉、ハムなどの食肉加工品を輸入販売しているほか、シンガポールの子会社ではチーズを生産しマレーシア、タイ、インドネシアの東南アジアや中国に輸出している。主力の乳原料・チーズ部門では、既存顧客の深掘りや新規顧客の開拓で販売数量は伸びているものの、国際乳製品の低下や円高による販売単価の低下が、業績に逆風となった。集計中の前2016年11月期業績は、売り上げ851億4000万円(前々期比13.1%減)、経常利益10億8000万円(同19.6%減)、純利益7億円(同15.8%減)と続落したと推定される。

 ところが、国際乳原料価格は、ここにきて様変わりとなっている模様である。同社が今年11月10日に発表した乳製品情報の10月サマリーでは、欧州での政策的な減産、オセアニアの大雨による減産、国内でも今年8月下旬以来の北海道への相次ぐ台風の接近・上陸の影響で減産となり、一方、需要面では中国需要の増加転換などが要因となっており、なかでも欧州のバター価格は、今年の安値圏の4月から9月までの半年で倍近く上昇、短期的な上げ幅は史上最高レベルと分析された。

 このまま需給好転が続けば、TPP関連法案の成立や円安転換も加わって同社の今2017年11月期業績の急回復期待が高まってくる。現に東洋経済会社四季報最新号では、純利益を10億円(前期推定比42.3%増)とし、また年間配当も、前期の31円(前々期実績30円)に対して31円~35円と連続増配含みと観測している。来年1月12日には11月期決算を発表する予定であり、先取り余地が高まることになる。

■来年1月の決算発表をキッカケに低PER・PBR修正で最高値へキャッチアップ

 株価は、昨年8月の新規株式公開(IPO)時の公開価格1400円に対して、同10月のTPP(環太平洋経済連携協定)合意で上場来高値1713円をつけたが、前2016年11月期業績の連続減収減益予想などで上場来安値971円へ突っ込んだ。その後は下げ過ぎとして1200円台までリバウンド、TPP関連法案の審議進行とともに公開価格を奪回する場面もあり、足元では期末の配当・株主優待制度権利取りで1600円台にタッチし、下値を探った。PERは前期の連続減益ベースでも10倍台、PBRも0.7倍と割り負け、配当利回りも1.99%と東証2部全銘柄平均(1.80%)を上回っており、来年1月の決算発表をキッカケに上場来高値へのキャッチアップを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭二)

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