セレスは16年12月期2桁増収増益予想、17年12月期も収益拡大期待

日インタビュ新聞ロゴ

 セレス<3696>(東1)はスマホ向けポイントサイト運営が主力のスマートフォンメディア事業を展開している。12月12日付で東証マザーズから東証1部に市場変更した。16年12月期2桁増収増益予想で、17年12月期も収益拡大が期待される。FinTech・O2O関連などのテーマ性も注目され、株価は調整一巡して出直りが期待される。

■ポイントサイト運営などスマートフォンメディア事業を展開

 国内最大級のスマホ向けポイントサイト「モッピー」をはじめ、ポイントメディア「モバトク」「お財布.com」およびHRメディア「モッピージョブ」を運営するスマートフォンメディア事業を展開している。

 15年12月期の事業別売上高構成比はポイントメディア事業98%、HRメディア事業2%だった。ポイントメディア事業の「モッピー」「モバトク」「お財布.com」は広告閲覧、スマホアプリダウンロード、ショッピング、アンケートなどのアクションに応じて、現金・電子マネー・ビットコイン等との交換が可能なポイントが貯まる無料会員サービスを提供している。HRメディア事業の「モッピージョブ」はアルバイト求人広告サイトで、成功報酬型などの広告収入が収益柱である。

■自社運営メディア利用価値最大化を目指す

 自社運営メディアの利用価値を最大化することを目指し、M&A・アライアンスも積極活用してユーザー数拡大や掲載広告数増加を推進している。ポイントメディア事業の強化、自社運営メディアのポイントとビットコインのビジネスシナジーの強化などを推進するとともに、中期的にはウェアラブルメディア(ウェアラブル広告)としてのスマートウォッチ向けアプリサービスの提供、スマートフォン端末と自社ポイントメディアを活用したO2Oビジネス分野への進出などにより、事業収入の多様化を図る方針を打ち出している。

 15年4月オープンキューブから「お財布.com」譲り受け、15年5月ビットコイン販売・買取・決済サービスのbitFlyerと業務提携、15年8月ビットコインサービス「coincheck」提供のレジュプレスと資本業務提携、15年9月ブロックチェーン技術を基に非中央集権型クラウドコンピューティングシステム「orb」を開発するOrbに出資(当社含む5社)、15年12月一般社団法人FinTech協会に入会、15年12月ビットコインサービス「ビットバンクウォレット」「ビットバンクトレード」のビットバンクに追加出資および業務提携した。

 16年5月決済連動マーケティングCLO(Card Linked Offer)アプリ「CRECO」のアイ・ティ・リアライズと資本業務提携、16年6月東京大学発ベンチャー企業のジャノムとビットコインに関するアプリケーション共同開発で業務提携、O2O関連サービスの共同開発でゆめみと資本業務提携(31%出資して持分法適用関連会社化)した。

 16年7月スマホ向けビットコイン関連サービス「breadwallet」を提供する米国のベンチャー企業breadwallet社と資本業務提携した。16年8月には「モッピー」「モバトク」「お財布.com」が、LINE<3938>の「LINEポイント」とポイント交換で連携した。さらに「モッピー」においてセブン・カードサービスの「nanacoポイント」とポイント交換を開始した。

 16年9月三井住友フィナンシャルグループのセディナと提携して、ポイントチャージが可能な国際ブランド付きプリペイドカード「POINT WALLET VISA PREPAID」を発行し、O2O事業としてポイント決済サービスを開始した。世界中のVISA加盟店でポイントを利用することが可能となり、各サイトが発行するポイントの利便性が飛躍的に高まる。

 16年11月には、東京大学発ベンチャー企業ジャノムと共同開発した仮想通貨ビットコイン送金サービス「CoinTip」を開始した。多言語対応を行い、グローバル展開する予定としている。

■四半期ベースで増収基調

 15年12月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期6億71百万円、第2四半期7億95百万円、第3四半期8億50百万円、第4四半期8億49百万円、営業利益は1億05百万円、1億23百万円、1億59百万円、76百万円だった。四半期ベースで増収基調である。

 なお15年12月期の売上総利益率は36.6%で14年12月期比2.0ポイント低下、販管費比率は21.9%で同3.1ポイント低下、ROEは15.2%で同16.2ポイント低下、自己資本比率は57.2%で同8.3ポイント上昇した。

■16年12月期第3四半期累計は2桁増収増益

 今期(16年12月期)第3四半期累計(1~9月)の非連結業績は売上高が前年同期比比19.0%増の27億58百万円、営業利益が同19.8%増の4億65百万円、経常利益が同17.4%増の4億52百万円、純利益が同13.2%増の2億62百万円だった。

 効率的広告出稿の強化、内部プロモーション(友達紹介プログラムとゲーミフィケーション導入)、M&Aを含めた積極投資の継続などでポイントメディア会員数が順調に増加して2桁増収増益だった。16年9月末ポイントサイト登録会員数は293万人(16年3月末比15万人増加)となった。HRメディア「モッピージョブ」求人広告掲載件数は、16年末までに大手メディア並み10万件という目標に対して、16年9月末時点で約7.6万件となった。16年6月末との比較では減少したが、15年9月末との比較では70.2%増加した。

 売上総利益は同14.4%増加したが、売上総利益率は36.9%で同1.5ポイント低下した。また販管費は同10.3%増加したが、販管費比率は20.0%で同1.6ポイント低下した。プロモーション効率化が寄与した。16年9月末時点の従業員数(役員除く)は同11名増加の79名(うち正社員63名)となった。4月に初めての新卒社員が入社した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期9億03百万円、第2四半期9億04百万円、第3四半期9億50百万円、営業利益は1億63百万円、1億30百万円、1億71百万円だった。

■16年12月期通期2桁増収増益予想で増額余地

 今期(16年12月期)通期の非連結業績予想(2月12日公表)は売上高が前期(15年12月期)比15.3%増の36億52百万円、営業利益が同11.8%増の5億20百万円、経常利益が同10.6%増の5億07百万円、そして純利益が同20.1%増の3億23百万円としている。

 ポイントサイト登録会員数が増加基調であり、HRメディア「モッピージョブ」求人広告掲載件数も伸長して2桁増収増益予想である。配当予想(12月16日に東証1部上場記念配当8円を実施すると発表)は年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は21.8%となる。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.5%、営業利益が89.6%、経常利益が89.2%、純利益が81.1%である。利益進捗率が高水準であり、四半期ベースで増収基調であることも考慮すれば通期会社予想に増額余地がありそうだ。

 なお出資先であるバリューデザイン<3960>が16年9月、東証マザーズへ新規上場している。

■株価は調整一巡して出直り期待

 16年10月25日発行した第三者割当による行使価額修正条項付第4回新株予約権(行使指定・停止指定条項付)について、12月13日に大量行使および行使完了を発表した。

 株価の動き(16年12月12日付で東証マザーズから東証1部に市場変更)を見ると、10月の戻り高値2126円から反落し、11月9日に1455円、12月9日に1464円まで下押す場面があったが、概ね1500円近辺で推移して調整一巡感を強めている。

 12月29日の終値1597円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS36円65銭で算出)は43~44倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS215円90銭で算出)は7.4倍近辺である。時価総額は約152億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが52週移動平均線近辺で下げ渋る動きだ。また日足チャートで見ると25日移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して出直りが期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る