【水田雅展の株式・為替相場展望】不安定な米国株睨み、トヨタ自動車の増額修正幅に注目

トヨタ自動車 7203

2月2日~6日の株式・為替相場は、高値圏で不安定な動きが目立つ米国株と米10年債利回りを睨んで、やや不安定な展開となりそうだ。注目材料は4日に業績発表予定のトヨタ自動車<7203>の増額修正幅と、週末6日の米1月雇用統計である。

1月30日発表の米10~12月期実質GDP速報値は前期比年率2.6%成長で市場予想を下回った。この結果を受けて、ニューヨークダウ工業株30種平均株価は終値で前日比251ドル90セント安と急反落、米10年債利回りは1.6%台に低下、ドル・円相場は1ドル=117円40銭~50銭近辺までドル安・円高方向に傾いた。

米国株は最近、原油価格下落のマイナス影響、ギリシア情勢の不透明感、そして強弱感が交錯する主要経済指標を受けて、高値圏で不安定な動きが続いている。引き続き週末6日の米1月雇用統計に向けて、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ開始時期を巡る思惑が交錯しそうだ。原油価格の動向やギリシア情勢の不透明感も波乱要因だ。

日本株の米国株離れという見方も一部にあるようだが、官製相場という面もあるだけに、現時点ではまだ希望的観測に過ぎず判断が難しいだろう。当面は日本株もドル・円相場も、米国株や米10年債利回りの不安定な動きを睨みながらの展開となりそうだ。

国内での注目材料は、4日に第3四半期累計(4~12月)の業績発表を予定しているトヨタ自動車の、15年3月期業績の増額修正幅と株主還元策の表明だ。ドル高・円安の進行で増額修正は確実視されており、株価にもある程度は織り込み済みだろう。このため増額修正幅が市場予想を上回るのか下回るのか、あるいは株主還元策を積極的な形で表明するかどうかで、地合いが一変する可能性があるだろう。ポジティブサプライズであれば、日経平均株価は1万8000円台を試す場面がありそうだ。

なお国内では、3月決算企業の14年4~12月期、および12月決算企業の14年12月期決算の発表がピークとなる。市場予想を上回ったか下回ったか、あるいは市場予想を上回った場合でも材料出尽くしとして乱高下する、お馴染みの光景が繰り広げられることになる。週末6日の米1月雇用統計を控えて様子見ムードが広がれば、サプライズ感のある好業績銘柄が一段と注目されるだろう。

最近の株価の勢いに強さが目立つ食品、小売、飲食、運輸、サービスといった内需ディフェンシブ株の中には、製品値上げ、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉進展、インバウンド消費、原油価格下落などを材料視して、指標面でやや割高な水準まで買われた銘柄が少なくない。こうした銘柄が上値を追う動きを見せるかどうかも注目される。

その他の注目スケジュールとしては、2日の中国1月HSBC製造業PMI改定値、米12月個人所得・消費支出、米12月建設支出、米1月ISM製造業景況感指数、オバマ米大統領が予算教書発表、3日の豪中銀理事会、インド中銀金融政策決定会合、米12月製造業新規受注、4日の日本12月毎月勤労統計、中国1月HSBC非製造業PMI、米1月ADP雇用報告、米1月ISM非製造業景況感指数、4日~5日の英中銀金融政策委員会、5日のインドネシア10~12月期GDP、米12月貿易収支、6日の日本12月景気動向指数、米12月消費者信用残高などがあるだろう。

その後は、2月9日~10日のG20財務相・中央銀行総裁会議、12日~13日のEU首脳会議、13日のユーロ圏10~12月期GDP速報値、16日の日本10~12月期GDP1次速報、17日~18日の日銀金融政策決定会合などが予定されている(アナリスト)

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