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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】FPGは今期業績を増額修正、大幅増益見通しを評価して上値追い
- 2015/2/2 07:19
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ワンストップ型ファイナンシャルサービスのFPG<7148>(東1)は1月30日、第1四半期(10~12月)の業績を発表し、今期(15年9月期)業績見通しを増額修正した。株価は14年12月の昨年来高値1666円を突破して、1月29日には1738円まで上伸した。今期大幅増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。13年5月の上場来高値1813円は射程圏だ。
子会社(特別目的会社SPC)が運営するオペレーティング・リース事業の組成・販売・管理などを行うタックス・リース・アレンジメント事業を主力としている。さらにM&Aを活用して事業領域を広げ、保険仲立人事業、M&Aアドバイザリー事業、プライベートバンキング事業、不動産関連事業、証券事業、投資顧問事業、信託事業などワンストップ型ファイナンシャルサービスを展開している。
13年3月にフィンテックグローバル証券(現FPG証券)を子会社化して証券事業、13年6月に子会社FPGリアルエステートを設立して不動産関連事業、14年4月に第一投資顧問(現FPG投資顧問)を子会社化して投資顧問事業、そして14年10月にベルニナ信託(現FPG信託)を子会社化して信託事業に進出した。
タックス・リース・アレンジメント事業は船舶・コンテナ・航空機を主対象としてリース組成し、出資金販売に伴うSPCからの手数料収入を収益柱としている。販売ネットワーク開拓を進め、14年12月末時点で1956の会計事務所および88の金融機関(地銀・証券会社)と提携している。13年11月には大手航空機リースマネジメントのアメンタム社(アイルランド)の株式25%を取得して資本業務提携し、航空機リース組成を強化した。
12年10月の東証1部市場へ指定替えによる信用力向上、公募増資や利益積み上げによる財務体質強化、提携会計事務所・金融機関の積極開拓などで、金融機関からの資金調達力、リース事業の案件組成能力、販売提携先からの紹介を含めた出資金販売力が大幅に強化されている。
中期戦略としてM&Aも積極活用し、高収益オーナー企業や富裕層などの顧客(投資家)に対して多様な金融商品・サービスを提供するワンストップ型ファイナンシャルサービスを強化する方針だ。
なお当社の収益構造については、顧客(投資家)がリース事業に出資するか否かの意思決定を顧客自身の業績動向が判明する決算月近くに行う傾向があるため、当社の売上高も第2四半期(1月~3月)および第4四半期(7月~9月)の構成比が高くなる傾向が強いとしている。
1月30日に発表した今期(15年9月期)第1四半期(10~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比3.7倍の42億88百万円、営業利益が同6.5倍の32億円、経常利益が同9.8倍の31億19百万円、純利益が同11.1倍の19億94百万円だった。
リース事業組成金額は同43.6%増の621億72百万円、リース事業組成案件数(SPC数)は同10件増加の19件、出資金販売金額は同4.1倍の227億43百万円だった。顧客(投資家)の投資需要が旺盛であり、第2四半期(1~3月)以降に販売予定だった出資金の前倒し販売も寄与した。購入社数は398社で同269社増加し、平均出資額は57百万円で同15百万円増加した。
第2四半期累計(10~3月)および通期(15年9月期)の連結業績見通しについては1月30日に増額修正を発表した。タックス・リース・アレンジメント事業において、オペレーティング・リース事業の案件組成が好調に推移し、出資金の販売も期初計画を上回る水準で推移している。
通期の連結業績見通しは、前回予想(10月30日公表)に対して売上高を18億39百万円増額して前期比70.1%増の106億43百万円、営業利益を14億99百万円増額して同85.8%増の64億33百万円、経常利益を16億80百万円増額して同91.9%増の62億64百万円、そして純利益を11億50百万円増額して同93.6%増の38億50百万円とした。
配当予想については前回予想(10月30日公表)を据え置いて、同5円増配の年間31円(期末一括)としている。
信用力向上に伴って全国の会計事務所や金融機関からの顧客紹介が一段と増加傾向であり、15年度からの法人実効税率の段階的引き下げ期待も背景として、業績好調な顧客(投資家)からの投資需要が強く、出資金販売額が好調に推移する。リース事業組成金額は267億12百万円増額して同34.7%増の2272億円、出資金販売金額は102億40百万円増額して同51.2%増の573億22百万円の計画とした。
修正後の通期見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が40.3%、営業利益が49.8%、経常利益が49.8%、純利益が51.8%である。第2四半期以降に販売予定だった出資金を前倒し販売した影響としているが、顧客(投資家)からの投資需要が旺盛な状況や、小口運用商品の販売を開始した不動産関連事業の収益寄与本格化も考慮すれば、通期再増額の可能性が高いだろう。中期的にもワンストップ型ファイナンシャルサービスの事業展開で収益拡大基調だろう。
なお1月19日には「スイスフランの急騰による当社グループの業績やサービスに影響はない」とリリースし、1月30日には「スカイマークが民事再生手続開始の申立を行ったが、当社は同社と取引がないため当社グループの業績やサービスに影響はない」とリリースしている。
株価の動きを見ると、昨年来高値圏1400円~1600円近辺での短期モミ合いから上放れ、14年12月の昨年来高値1666円を突破して高値更新の展開となった。1月29日には1738円まで上伸して13年5月の上場来高値1813円に接近する場面があった。今期好業績見通しを評価する動きだろう。
1月30日の終値1680円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS123円12銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間31円で算出)は1.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS337円39銭で算出)は5.0倍近辺である。
週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から反発して14年12月の昨年来高値1666円を突破した。サポートラインを確認して上昇トレンドの形だ。13年5月の上場来高値1813円は射程圏であり、今期大幅増益見通しを評価して上値追いの展開だろう。