【CSR(企業の社会的責任)関連銘柄特集】アールシーコアは自然材を豊富に用いたログハウスを手がけ、森林ボランティア活動も積極展開
- 2017/1/5 09:37
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写真=あきつログハウス
アールシーコア<7837>(JQS・売買単位100株)
カナダなどの適切に管理された森林の認証材を他と厳密に分別して使用
アールシーコア<7837>(JQS・売買単位100株)は自然材を用いた個性的なデザインのログハウス住宅を開発販売し、自然の恵みを活かす家づくりを行っている。この意味で、同社は企業活動そのものがCSR(企業の社会的責任・社会貢献)活動に重なると言っても過言ではないといえる。
日本の森を守り育てる森林ボランティア活動にも積極的に取り組んでおり、ログハウスの主力ブランド「BESS」(ベス)を冠した非営利事業「BESSフォレストクラブ」(1998年設立)では、都市と農山村を繋ぐ若者対象の体験プログラム、ガラパゴス諸島の本来の姿を永続的に残すことを目的とする活動へ協力などのほか、アールシーコア社員が中心となり、全国のBESS展示場スタッフとともに、それぞれの地域で森林ボランティア活動に参加し、日本の森林活性化に貢献している。
日本は、国土の7割が森林という世界有数の森林国であり、戦後植林による人工林も多く抱えている。とりわけ人工林では、健康な森づくりのため、季節に応じた様々な手入れが必要になる。こうして保全された樹木は大気中のCO2を吸収し、地球環境負荷の軽減に貢献することにつながってくる。
こうした取り組みと並行して、同社は、2011年1月、ドイツに本部を置き世界基準で森林管理を推進するFSC(森林管理協議会)の加工・流通過程の管理に対する森林認証制度「CoC認証」を取得した(認証番号:SGS-COC-008388)。この「CoC認証」は、適切に管理された森林に由来する認証材とそれ以外の材とが混ざらないよう管理する加工・流通管理体制を認証するもので、ログハウス業界では初めて。また、国内の住宅メーカーとしても先駆的な取得となった。
FSCは、森林の消失・劣化問題を背景に、環境・社会・経済の面から適切に管理された森林を推進することを目的として、1993年に設立された非営利・非政府組織だ。森林管理認証(FM認証)と、その森林から生産される木材を使用した製品の流通過程の管理認証(CoC認証)とがあり、同社が取得したのは後者だ。
たとえば、主力ブランド「BESS」(ベス)の自然派個性住宅ではカナダ、フィンランドで生産された木材を使用している。両国では、綿密な調査と計画により徹底管理された森林で木材を生育している。アールシーコアは、森林資源を大量に扱う住宅メーカーとして、森林環境とその先にある地球環境に配慮することを目指し、製品の全ての加工・流通過程において、非認証林由来の製品と混ざらないよう適切に管理する体制を整備構築している。「BESS」ブランドの開始は1986年。「CoC認証」は、これ以来、培ってきた流通管理体制が世界基準で評価された証拠といえる。
安易なことはやらない「狷」の精神が信用を強め企業成長の原動力に
環境に配慮した素材とそうでない素材とを厳密に分別することは、事業活動や企業経営の上では省力化に逆行したり、高コストになりかねないことになる。だが、同社では、経営理念のひとつに孔子の論語でいう「狂狷の徒」(きょうけんのと)という一節を掲げ、「やれることでもやらないことがあるという信念」(ホームページ「経営理念への思い」より)を事業の大黒柱としている。真髄を見たりとはこうしたことを指すのだろうか。こうした精神に基づく取り組みが信用につながり、企業が成長する原動力になっているとみて差し支えないようだ。
こうした取り組みは、輸入材だけでなく、国産材についても徹底されている。主力ブランド「BESS」シリーズの中の「あきつログハウス」のログ材とデッキ材には国産杉の「中目材」を活用。国産材活用先導モデルとして注目され、2010年には「第1回長期優良住宅先導事業」に採択された。
杉の「中目材」も積極的に活用し、日本国内の森林活性化に貢献
「中目材」は、杉の丸太の中でも直径20~28cmくらいの中径材の通称である。現状では、そのサイズに合う製材需要は少なく、加工機械も十分ではないが、戦後の植林政策によって成長した杉の木の中では「中目材」以上の太さの杉丸太の割合が5割を占めるまでになり、「中目材」の活用は大きな課題となっている。
この点で「あきつログハウス」は、ログ材を効率的に製材・乾燥・加工できる技術を背景に、その「中目材」をログ材として有効に活用している。ログハウスは、壁構造部材での木材使用量が在来工法と比べておよそ3倍超と多いのが特徴。こうした特徴を生かして「中目材」をより多く活用し、全国の「BESS」展示場を拠点として「あきつログハウス」を販売することで、「中目材」の活用を推進し、ひいては日本の森林活性化に貢献している。
業績は好調で売上高は2期続けて過去最高を更新する見込み
同社の事業区分で言うと、「BESS事業」では、「住む」より「楽しむ」のブランドスローガンのもとで、暮らしを楽しむ道具としての、自然材を用いた個性的なデザインの住宅を提案し、集客から営業、商品まで一貫して、顧客の感性を重視した独自の仕組みにより、「感性マーケティング」を原点とした、新しい住宅マーケットの在り方を創造している。また、「フェザント事業」では、山中湖畔などで個性あふれる建物で世界標準のタイムシェア別荘を提供し、1週間単位で別荘を持ち、気軽に楽しめる新しい別荘ライフのカタチを実現した。
2012年4月から17年3月までの5ヵ年中期経営計画『「異端でメジャー」ステージアップ5ヵ年計画』では、最終年度の売上高180億円を掲げて事業基盤の強化などを進めてきた。直近の17年3月通期の連結業績見通し(16年11月の四半期決算発表段階)は、売上高を136.5億円(前期比10.8%増)とし、中期計画の目標には届かないが2期続けて過去最高を更新する見通しだ。営業利益は同7.8億円(同3.6%増)を見込み、純利益はカナダの関連企業の売却に関して円高の影響があり4.45億円(同12.9%減)の見込みとしている。