鉄人化計画の17年8月期第1四半期は赤字拡大だが、通期での収益改善期待

 鉄人化計画<2404>(東2)はカラオケルーム運営事業への経営資源集中を進め、新たな成長ステージに向けて3年ぶりに新規出店を再開している。17年8月期第1四半期は赤字が拡大したが、株価のネガティブ反応は限定的だ。第2四半期および第3四半期の構成比が高い季節要因があり、通期ベースでの収益改善を期待したい。

■カラオケルーム運営事業に経営資源を集中

 首都圏中心に展開する「カラオケの鉄人」ブランドのカラオケルーム運営事業を主力としている。また「カラオケの鉄人モバイル(カラ鉄モバイル)」サイト運営やコンテンツ配信ASPサービスのCP事業、まんが喫茶(複合カフェ)運営事業、音響設備販売、海外事業(グアムのエンターテイメントレストラン運営)なども展開している。

 カラオケルーム運営事業への経営資源集中を進め、14年6月韓国カラオケ店舗事業の当社持分を譲渡、15年1月台湾でフルサービス型珈琲ショップを運営する連結子会社の解散を発表、15年4月広告代理店業務の子会社パレードの解散を発表、15年7月子会社システムプランベネックスを吸収合併、15年8月フルサービス型珈琲ショップ運営の子会社からふね屋珈琲の全株式をジェイアール西日本フードサービスに譲渡した。

 16年8月期セグメント別売上構成比はカラオケルーム運営事業94%、CP事業3%、その他3%だった。

■カラオケルームは独自開発「鉄人システム」に特徴

 カラオケルーム運営事業は、すべてのルームで複数の通信カラオケメーカーの機種が利用できる独自開発のカラオケ集中管理システム「鉄人システム」をベースとして、50万曲を超える豊富な楽曲配信、独自分析によるオリジナル楽曲の配信、顧客情報のデータベース化などを特徴としている。

 出店戦略は20ルーム前後の中小型店舗で、設備投資負担が小さい居抜き物件への出店を基本としている。首都圏中心部の駅前立地などでは40ルーム以上の大型店も出店する。収益性と効率性を重視した厳選出店戦略を推進している。

 15年12月には、モバイル・ミュージック配信サービス企画・運営などを展開するレコチョクと共同出資で企画会社(T・Rプロジェクト)を設立した。映像と音楽を活用した新しい音楽体験サービスを提供する事業会社を設立し、17年8月期のサービス開始を目指すとしている。

 また不採算事業の整理や子会社売却による事業再編が進展し、財政状態が相当程度改善したため、新たな成長ステージに向けてカラオケルーム運営事業における新規出店を3年ぶりに再開している。16年12月には「カラオケの鉄人」池袋東口サンシャイン通り店をオープンした。

■第2四半期(12~2月)と第3四半期(3~5月)が繁忙期の季節要因

 四半期別業績推移を見ると、15年8月期は売上高が第1四半期22億78百万円、第2四半期27億25百万円、第3四半期24億04百万円、第4四半期24億34百万円、営業利益が1億01百万円の赤字、3億34百万円の黒字、1億36百万円の黒字、53百万円の黒字、16年8月期は売上高が18億79百万円、23億18百万円、19億82百万円、18億46百万円、営業利益が1億64百万円の赤字、2億65百万円の黒字、39百万円の黒字、33百万円の赤字だった。

 カラオケルーム運営事業は忘年会・新年会シーズンの第2四半期(12~2月)および歓送迎会シーズンの第3四半期(3~5月)が繁忙期となり、売上高・利益とも構成比が高くなる収益構造だ。

 前期(16年8月期)連結業績は売上高が前々期(15年8月期)比18.5%減の80億25百万円、営業利益が同74.7%減の1億07百万円、経常利益が同58.5%減の1億83百万円、純利益が3億49百万円の赤字(15年8月期は2億90百万円の黒字)だった。

 子会社売却など事業再編の影響、二次会としてのカラオケ利用頻度の減少傾向、家賃高騰を背景とする出店コスト見直しに伴う新規出店先送りなどに加えて、第4四半期に予定していたコラボ企画で大型コンテンツホルダーからの供給のタイミングがかみ合わなかったことも影響して減収減益だった。純利益は店舗に係る減損損失計上も影響した。

 売上総利益は同20.8%減少し、売上総利益率は19.0%で同0.5ポイント低下した。販管費は同5.6%減少したが、販管費比率は17.6%で同2.4ポイント上昇した。特別利益では固定資産売却益が減少(前期2億01百万円、前期2百万円)し、関係会社売却益3億28百万円が一巡した。特別損失では減損損失が増加(前々期4億87百万円、前期5億48百万円)した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、カラオケルーム運営事業は売上高が同7.8%減の75億28百万円で営業利益が同17.1%減の7億96百万円、CP事業は売上高が同22.7%減の2億47百万円で営業利益が同28.0%減の1億14百万円、その他は売上高が同65.2%減の2億50百万円で営業利益が37百万円の赤字(前々期は21百万円の黒字)だった。カラオケルーム運営事業の既存店売上高は92.7%だった。なお事業譲渡したフルサービス型珈琲ショップ運営事業の前々期の売上高は7億95百万円で営業利益は39百万円だった。

 配当は前々期比6円減配の年間5円(第2四半期末5円、期末0円)だった。配当についての基本方針は、中長期的な配当性向の目安として連結純利益の20%をメドに配当を行うとともに、当期および今後の業績や財政状況等を勘案して継続的に配当を行うとしている。

■17年8月期第1四半期は赤字拡大

 1月16日発表した今期(17年8月期)第1四半期(9~11月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.7%減の17億34百万円、営業利益が2億14百万円の赤字(前年同期は1億64百万円の赤字)、経常利益が1億90百万円の赤字(同1億36百万円の赤字)、純利益が1億89百万円の赤字(同1億16百万円の赤字)だった。

 カラオケルーム運営事業の既存店売上が93.5%と低調で減収となり、各利益は赤字が拡大した。売上総利益は同11.1%減少し、売上総利益率は9.6%で同0.3ポイント低下した。販管費は同8.2%増加し、販管費比率は21.9%で同3.2ポイント上昇した。特別損失では減損損失が増加(前期12百万円、今期61百万円)した。

 セグメント別(連結調整前)動向を見ると、カラオケルーム運営事業は売上高が同6.5%減の16億30百万円で営業利益が36百万円の赤字(前年同期は4百万円の黒字)だった。CP事業は売上高が同19.6%減の54百万円で営業利益が同14.6%減の36百万円、その他は売上高が同27.4%減の49百万円で営業利益が4百万円の赤字(同13百万円の赤字)だった。

■17年8月期通期は大幅営業増益予想で収益改善期待

 今期(17年8月期)通期の連結業績予想は前回予想(10月14日公表)を据え置いて、売上高が前期(16年8月期)比0.6%増の80億70百万円、営業利益が同30.8%増の1億40百万円、経常利益が同1.9%減の1億80百万円、純利益が90百万円(前期は3億49百万円の赤字)としている。配当予想は前期比2円減配の年間3円(期末一括)で、予想配当性向は20.7%となる。

 カラオケルーム運営事業では、出店時のイニシャルコストと営業開始後のオペレーションコストの両面を充分吟味して採算性の良い店舗の出店を検討するほか、既存店舗における集客効果の高いコラボ企画、店舗環境に応じた効率的な販促活動や原価削減などの施策を推進する。第1四半期は赤字が拡大したが、第2四半期および第3四半期の構成比が高い季節要因があり、通期ベースでの収益改善を期待したい。

■株主優待制度は毎年8月末に実施

 からふね屋珈琲の株式譲渡に伴って15年7月、株主優待制度の内容変更を発表した。変更後は毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、①当社カラオケ店舗「会員カード」、②当社カラオケ店舗およびマンガ店舗で使用可能な「飲食ご優待券」の2商品を贈呈する。なお②は保有株数に応じて贈呈する。

■株価はネガティブ反応限定的で下値固め完了感

 株価の動きを見ると、水準切り下げの軟調展開が続き、12月末以降は370円台でモミ合う形だ。ただし第1四半期の赤字拡大に対するネガティブ反応は限定的であり、下値固め完了感を強めている。

 1月17日の終値377円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円49銭で算出)は26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS256円42銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約25億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、ほぼ底値圏だろう。下値固めが完了して反発が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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