【新規上場(IPO)銘柄】船場は反落も最安値圏から業績回復期待を高めて下げ過ぎ直近IPO株買いの再燃が有力

株式市場 IPO 鐘

 船場<6540>(東2)は、前日17日に33円安の1085円と反落して引け、昨年12月27日につけた上場来安値1043円を意識した。同社株は、昨年12月19日に新規株式公開(IPO)され、公開価格の1290円を下回る1193円で初値をつけ、年明け後は、調整色を濃くしている全般相場とともに1000円台下位で底もみ続けているものだが、目下集計中の前2016年12月期業績は、減収減益が見込まれたものの、このベースでも、PERはわずか11倍と既上場の類似会社に比べて割り負けており、安値圏から下げ過ぎ直近IPO株買いが再燃する展開も想定される。前日17日に日本政府観光局が発表した2016年年間の訪日外客数が、2403万9000人(前年比21.8%増)と過去最高を更新したことも、インバウンド(外国人観光客)関連などの好事業環境を示唆し、今年2月中旬に発表予定の今2017年12月期業績の増収増益転換期待を高め、先取り人気につながりそうだ。

■インバウンド関連、東京五輪を控えて商環境づくりの受注機会が拡大

 同社のIPO後の初決算となる前2016年12月期業績は、IPO時に売り上げ275億7400万円(前期比10.3%減)、営業利益15億2500万円(同25.3%減)、経常利益15億2300万円(同26.1%減)、純利益8億2400万円(同47.6%減)と予想され、配当については20円が予定されていた。ショッピングセンターなどの国内外の商環境づくりを川上の調査、分析から設計、施行、さらに川下の開業支援、管理・運営まで全プロセスで一貫してサポートする独自ビジネスモデルのディスプレー事業を展開しており、大型ショッピングセンター新設などの案件が端境期になったことが、減収減益要因となった。

 続く今2017年12月期業績の動向については、今年2月中旬の決算発表時のガイダンスを待たなくてはならないが、事業環境として、国内ではインバウンド関連需要の拡大や東京オリンピック開催に向け商業施設の新装・改装、都市再開発・インフラ整備などの関連需要が予想され、さらに海外でも国内小売り大手の中国やアジアへの海外拠点新設・増設に伴う受注機会拡大が見込まれ、受注が回復、業績も増収増益転換との観測が強まっている。

■PERはわずか11倍で「小さく産んで大きく育てる」絶好のチャンス

 株価は、1193円で初値をつけ期末の配当権利取りで公開価格目前の1280円までリバウンドしたが、配当権利落ちとともに上場来安値1043円へ下ぶれ、底もみを続けてきた。PERはわずか11倍台と割り負けており、訪日外客数の過去最高更新に加え、カジノ関連法案の成立などもフォローとなり、IPO株の投資セオリー通りに「小さく産んで大きく育てる」絶好のチャンスとなりそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■環境要因は50%、漁獲圧は25%、状態空間モデルで初の定量評価  東京大学は11月1日、日本周辺…
  2. ■ドジャース、球団史上初の2年連続制覇  ロサンゼルス・ドジャースは、2025年MLBワールドシリ…
  3. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■金利環境改善が銀行株に追い風、逆張りの買いも有力視  今週の当コラムは、銀行株に注目することにし…
  2. ■「トリプル安」も怖くない!?逆張りのバリュー株ローテーションからは銀行株になお上値余地  「神風…
  3. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  4. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…
  5. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  6. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る