【アナリスト水田雅展の銘柄分析】日本ライフラインは第3四半期累計の高進捗率を好感、中期成長力を評価して14年11月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)は1月30日に第3四半期累計(4~12月)の業績を発表した。株価は1300円近辺でモミ合う展開だったが、2月2日は第3四半期累計の高進捗率を好感して前日比144円高の1435円まで急伸する場面があった。今期(15年3月期)業績見通しに再増額の可能性があり、中期成長力を評価して14年11月高値1679円を試す展開だろう。

 心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社で、心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門を展開している。

 国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築した商社機能に加えて、メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)が稼動した。

 中期目標数値として19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。自社製品売上構成比の上昇で高収益化が期待される。

 新商品に関しては、14年4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」、7月に外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」、8月に心臓ペースメーカ新商品「REPLY200」の販売を開始した。

 さらに今期(15年3月期)第4四半期(1月~3月)にMRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」およびICD関連の「INTENSIA」の上市、来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。一方では事業環境変化に対応して、人工心肺関連製品の取り扱いを15年3月末に終了する。人工血管や弁膜症関連製品については引き続き注力するとしている。

 14年12月には、コリブリ・テクノロジーズ社(カナダ)の心腔内エコーシステムに関する日本国内における独占販売契約、およびカーディオフォーカス社(米国)のハートライト内視鏡アブレーションシステムに関する日本国内での独占販売契約を締結した。いずれも16年度の上市を目指して導入準備を進める。

 1月30日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4~12月)の連結業績は売上高が前年同期比3.7%増の188億59百万円、営業利益が同5.3%増の13億65百万円、経常利益が同2.3%増の14億86百万円、そして純利益が同11.3%増の7億43百万円だった。なお特別損益では、小山ファクトリーの用地取得に伴う助成金55百万円を特別利益に計上したが、固定資産除却損や投資有価証券評価損など特別損失1億27百万円を計上している。

 保険償還価格引き下げの影響を受け、輸入商品中心のリズムディバイスは新商品投入遅れや戦略的シフトで大幅減収だが、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連の大幅増収が牽引した。また14年7月発売の「J-Graftオープンステントグラフト」の販売数量伸長など、収益性の高い自社製品売上構成比が上昇し、売上総利益率は同1.7ポイント改善した。薬事関連費用の増加や、連結対象外だった子会社3社の新規連結に伴う販管費の増加などを吸収して増収増益だった。

 品目別売上高を見ると、リズムディバイスが同40.1%減の31億38百万円、EP/アブレーションが同27.5%増の84億04百万円、外科関連が同31.8%増の45億26百万円、インターベンションが同4.8%減の19億23百万円、その他が同4.0%減の8億66百万円だった。

 通期の連結業績見通しは前回予想(10月24日に増額修正)を据え置いて売上高が前期比5.7%増の257億49百万円、営業利益が同43.6%増の17億51百万円、経常利益が同34.7%増の18億円、そして純利益が9億03百万円(前期は2億02百万円の赤字)としている。配当予想も前回予想(5月2日公表)を据え置いて前期と同額の年間25円(期末一括)としている。

 通期ベースでも、EP/アブレーションおよび外科関連を中心に自社グループ製品の市場浸透が進み、自社製品売上構成比上昇によるプロダクトミックス改善効果などで大幅増益見通しだ。

 MRI(磁気共鳴画像)対応ペースメーカの販売開始遅れや、販管費における一部予算の進行遅れなどを考慮して通期会社見通しを据え置いたが、第3四半期累計の進捗率は売上高が73.2%、営業利益が78.0%、経常利益が82.6%、純利益が82.3%と高水準である。通期再増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、急伸した14年11月高値1679円から利益確定売りで反落し、1月以降は1300円近辺でモミ合う展開だったが、2月2日は前日比144円(11.15%)高の1435円まで急伸する場面があった。第3四半期累計の高進捗率を好感する動きだろう。

 2月2日の終値1411円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS83円68銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は1.0倍近辺である。

 日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線を突破した。また週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返した。サポートラインを確認して強基調の形だ。今期業績見通しに再増額の可能性があり、中期成長力を評価して14年11月高値1679円を試す展開だろう。

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