【特集】「米国ファースト」は他国の利益に繋がるか?

■世界主要各国は通商戦略・外交政策・同盟関係の見直しを迫られる!

 トランプ米大統領の動きに対して、世界の主要各国の反応は、現時点では具体的な政策は不透明だが、就任演説の内容が想定内だったとして概ね歓迎ムードのようだ。ただし「米国ファースト」が米国以外の国の利益に繋がるとは言えない。

 トランプ米大統領の基本政策は、オバマ前政権の多国間主義からの全面的な政策転換という印象が強い。そして行き過ぎたグローバル資本主義の修正や、格差是正に向けた大転換との見方もある。

 ただし米国という世界一の経済・軍事大国が政策を「米国ファースト」に大転換することで、自国民の利益を最優先する「自国ファースト」を強調したポピュリズムやナショナリズムが世界的な潮流になる可能性もある。トランプ大統領が極端に保護的な通商政策への傾倒を強めるようであれば、世界経済の停滞・縮小に対する警戒感を強めることになる。世界が自由貿易陣営と保護貿易陣営に二分される状況も警戒しなければならない。

 いずれにしても、トランプ米大統領が基本政策として「米国ファースト」を強調したことで、世界主要各国は通商戦略にとどまらず、外交政策や同盟関係の見直しを迫られることになる。

■日本は輸出の関税問題や数量規制問題、防衛費負担問題などが浮上

 英国は既に16年6月の国民投票でEUからの離脱(ブレグジット)を選択し、さらにメイ首相が1月17日、移民規制や司法権独立を優先してEU域内の単一市場から完全に離脱する方針(ハード・ブレグジット)を表明した。

 日本も例外ではない。トランプ米大統領のTPP離脱表明で、安倍政権の重要政策と位置付けられてきたTPPは事実上白紙となった。さらに今後、通貨政策による為替変動、日本からの輸出に対する関税問題や数量規制問題、防衛費負担問題などが浮上することに対する警戒感も払拭できない。

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