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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】PALTEKは今期の好業績期待で12月の戻り高値目指す
- 2015/2/4 07:36
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
半導体輸入商社のPALTEK<7587>(JQS)の株価は、急伸する場面があるが買いが続かず、概ね500円台で推移している。やや上値の重い展開だ。ただし下値は着実に切り上げている。今期(15年12月期)の好業績期待で14年12月の戻り高値640円を目指す展開だろう。なお2月12日に前期(14年12月期)の決算発表を予定している。
ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力として、特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体および関連製品の販売・技術支援事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発および製造(ODM、EMS、OEM)するデザインサービス事業、さらに新規事業としてスマートエネルギー事業(病院・介護施設向け停電対策システムなど)を展開している。海外は香港に拠点展開している。
主要仕入先はFPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。用途別には産業機器向けを主力として通信機器向け、民生機器向け、コンピュータ向けなどに展開し、成長市場であるセンサー分野のソリューションも強化している。
12年7月にはODM/EMS事業推進、および映像・画像処理関連の自社製品事業の本格展開に向けてエクスプローラを子会社化した。エクスプローラはレート制御機能搭載「H.264コーデック装置」を開発し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のイノベーション実用化ベンチャー支援事業として「レート制御機能搭載4K対応H.265コーデック装置実用化開発」および「超低遅延8K対応HEVC-ECFによるハイブリッド配信装置」が採択されている。
14年6月には子会社テクノロジー・イノベーションを設立し、サイミックス社から半導体事業およびMEMS(微小電気機械システム)事業を譲り受けて、特定顧客向け人感センサーの信号処理ICの開発に取り組んでいる。
11月には子会社エクスプローラがフジテレビジョンと共同でH.264小型ライブ中継伝送装置「VideoCast Advance」を開発した。大規模な機材を使わず簡単にライブ中継することが可能になる。
1月28日には、データ保護ソリューションのグローバルリーダーである日本セーフネットの「Sentinel製品」の販売開始を発表した。電子機器のソフトウェアの著作権保護や収益化に関するソリューションを提供する。
また2月3日には、超高精度衛星測位システムを開発するマゼランシステムズジャパンとの総販売代理店契約の締結を発表した。センサー分野のソリューション強化の一環として、センチメートル級の精度が要求される産業機器や農業機械の自動運転向けなどに、RTK(リアルタイム・キネマティック)GNSSシステムを提供する。
前期(14年12月期)の連結業績見通しについて1月13日に修正(売上高を減額、利益を増額)を発表した。
前回予想(11月6日に利益を3回目の増額修正)に対して、売上高は3億39百万円減額したが、前期比31.5%増の231億61百万円と大幅増収見通しだ。そして営業利益は2億41百万円増額して同32.3%増の10億21百万円、経常利益は2億65百万円増額して同36.2%増の10億65百万円、純利益は1億38百万円増額して同37.3%増の6億08百万円とした。
想定以上にドル高・円安が進行したため、当社が仕入先に対して保有する仕入値引き(ドル建て)債権の評価額が大幅に増加した。これによって売上原価が大幅に押し下げられ、開発費の増加や14年6月に設立した子会社テクノロジー・イノベーションの事業運営費用などを吸収して、営業利益、経常利益、純利益とも大幅増益見通しとなった。配当予想については前回予想(2月12日公表)を据え置いて前期と同額の年間8円(期末一括)としている。
今期(15年12月期)についても、半導体事業ではFPGAが通信用計測機器向け、汎用ICがオフィス機器向け、メモリが民生機器向け、デザインサービス事業では医療機器向け設計受託およびODMが好調に推移し、プロダクトミックスの改善も寄与して増収増益が期待される。
中期的な収益向上に向けた取り組みとして、半導体事業は産業機器・医療・通信・エネルギーなど成長分野への注力による高収益化、デザインサービス事業は医療関連機器の受託設計・開発および自社製品の開発・販売強化、スマートエネルギー事業は病院・介護施設向け停電対策システムの構築・販売を強化する方針だ。
株価の動きを見ると、12月10日に640円、1月14日に615円、1月28日に597円まで急伸する場面があったが、買いが続かず概ね500円台で推移している。前期利益の増額修正を好感する動きも限定的で、やや上値の重い展開だ。ただし一方では14年10月安値460円、11月安値481円、12月安値503円、15年1月安値510円と下値は着実に切り上げている。
2月3日の終値537円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS53円24銭で算出)は10倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.5%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS724円61銭で算出)は0.7倍近辺である。
着実に下値を切り上げて、日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形となった。今期の好業績期待で14年12月の戻り高値640円を目指す展開だろう。