【注目の決算】CRI・ミドルウェアは新規事業の監視カメラやIoT家電向けなど本格化

■第1四半期は事業特性で費用先行だが売上高は9.8%増加

 音声と映像に関するミドルウェアで国内唯一のCRI・ミドルウェア<3698>(東マ)が2月10日に発表した2017年9月期・第1四半期の連結決算(2016年10~12月)は、新規事業が本格的に売り上げに立ち始めた上、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>(東1)をはじめとするゲーム大手との包括的な契約の拡大などにより、売上高は前年同期比9.8%増の2億7000万円となった。

■IoT家電の「音声ガイド」ではコストを半分から10分の1に削減

 営業利益は、事業特性として年度前半に費用が先行するため1500万円の赤字だったが、同社のゲーム開発システム「CRIウェア(CRIWARE)」を採用して作られた家庭用ゲームは、スマートフォン用ゲームも含めて3500タイトルを突破したあとも拡大が続いている。CRIウェアは任天堂<7974>(東1)のゲーム機開発にも採用されており、3月発売の予定で注目されている新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」(Nintendo Switch)も中期的な業績寄与の要因になりそうだ。

 9月通期の業績見通しはこれまで通り据え置き、売上高を17億2000万円(前期比28.9%増)、営業利益を3億9000万円(同19.5%増)、純利益は2億7000万円(同32.8%増)とした。各利益とも連続で過去最高を更新する見込みになる。
 ■通販サイトの商品紹介を動画化しECサイトとの一体化も推進

 新規事業では、動画圧縮技術、音声・グラフィックス技術などを応用することにより、監視カメラや医療用動画の高機能化・コスト削減などを実現し、受注が本格化しているという。

 サウンドミドルウェアは、「IoT家電」(インターネットでつながれ操作・管理できる家電製品)で最近注目される「音声ガイド」システム向けなどに需要が増加している。従来のスピーカーに代わり「圧電ブザー」などによって省回路・小型化した上、全体的な音声発話コストを5分の1から10分の1に削減できるなどで引き合いが増加している。

 また、ブラウザ向けWEB動画ミドルウェアは、スマートフォンの通販サイトなどで動画による商品紹介を可能にし、従来は演出が難しかった商品アピール度を格段に向上させるなどの新機軸をもたらし、さらに、その動画とECサイトを一体化させ、動画を見ながらすぐ注文できるシステムへと発展しているという。

 2月3日には、最新の動画再生技術「LiveAct PRO」(ライブアクトプロ)がエイチ・アイ・エス<9603>(東1)グループの総合テーマパーク「ハウステンボス」の公式スマートフォンサイトに採用されたと発表。通常は専用アプリによって実現される動画の自動再生などをスマートフォンブラウザ上で可能にし、動画再生が大幅に「軽量」になり、これまでになかった特殊演出が可能になったほか、クリックできる動画などの特殊再生もブラウザ上で実現できるとして注目を集めた。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  2. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  3. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  4. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  5. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  6. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る