【注目の決算】CRI・ミドルウェアは新規事業の監視カメラやIoT家電向けなど本格化
- 2017/2/10 14:03
- 決算発表記事情報
■第1四半期は事業特性で費用先行だが売上高は9.8%増加
音声と映像に関するミドルウェアで国内唯一のCRI・ミドルウェア<3698>(東マ)が2月10日に発表した2017年9月期・第1四半期の連結決算(2016年10~12月)は、新規事業が本格的に売り上げに立ち始めた上、スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>(東1)をはじめとするゲーム大手との包括的な契約の拡大などにより、売上高は前年同期比9.8%増の2億7000万円となった。
■IoT家電の「音声ガイド」ではコストを半分から10分の1に削減
営業利益は、事業特性として年度前半に費用が先行するため1500万円の赤字だったが、同社のゲーム開発システム「CRIウェア(CRIWARE)」を採用して作られた家庭用ゲームは、スマートフォン用ゲームも含めて3500タイトルを突破したあとも拡大が続いている。CRIウェアは任天堂<7974>(東1)のゲーム機開発にも採用されており、3月発売の予定で注目されている新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」(Nintendo Switch)も中期的な業績寄与の要因になりそうだ。
9月通期の業績見通しはこれまで通り据え置き、売上高を17億2000万円(前期比28.9%増)、営業利益を3億9000万円(同19.5%増)、純利益は2億7000万円(同32.8%増)とした。各利益とも連続で過去最高を更新する見込みになる。
■通販サイトの商品紹介を動画化しECサイトとの一体化も推進
新規事業では、動画圧縮技術、音声・グラフィックス技術などを応用することにより、監視カメラや医療用動画の高機能化・コスト削減などを実現し、受注が本格化しているという。
サウンドミドルウェアは、「IoT家電」(インターネットでつながれ操作・管理できる家電製品)で最近注目される「音声ガイド」システム向けなどに需要が増加している。従来のスピーカーに代わり「圧電ブザー」などによって省回路・小型化した上、全体的な音声発話コストを5分の1から10分の1に削減できるなどで引き合いが増加している。
また、ブラウザ向けWEB動画ミドルウェアは、スマートフォンの通販サイトなどで動画による商品紹介を可能にし、従来は演出が難しかった商品アピール度を格段に向上させるなどの新機軸をもたらし、さらに、その動画とECサイトを一体化させ、動画を見ながらすぐ注文できるシステムへと発展しているという。
2月3日には、最新の動画再生技術「LiveAct PRO」(ライブアクトプロ)がエイチ・アイ・エス<9603>(東1)グループの総合テーマパーク「ハウステンボス」の公式スマートフォンサイトに採用されたと発表。通常は専用アプリによって実現される動画の自動再生などをスマートフォンブラウザ上で可能にし、動画再生が大幅に「軽量」になり、これまでになかった特殊演出が可能になったほか、クリックできる動画などの特殊再生もブラウザ上で実現できるとして注目を集めた。