【編集長の視点】冨士ダイスは反落も大幅増益転換の3Q決算を手掛かり2期ぶりの最高純益を再評価して押し目買い妙味
- 2017/2/15 08:22
- 編集長の視点
冨士ダイス<6167>(東2)は、前日14日に15円安の784円と反落して引けた。同社株は、今年2月13日に今3月期の2016年4月~12月期(第3四半期、3Q)決算を発表しており、今3月期通期業績に対する利益進捗率が低水準にとどまったことから目先の利益を確定する売り物が先行したものだが、前年同期比較では、大幅に増益転換したことを手掛かりに通期純利益が、2期ぶりに過去最高を更新することを見直して割り負け顕著とする押し目買い妙味を示唆している。昨年11月に熊本製造所の増設部の稼働を開始する一方、今年5月には門司工場の生産機能を停止するなど最適な生産体制に再編させていることも、業績上ぶれ期待を高め、2015年6月につけた上場来高値839円を意識しよう。
■シェア30%とトップの耐磨耗工具が1年ぶりにプラス転換し国内拠点の再構築も寄与
同社の今3月期業績は、売り上げ165億7100万円(前期比3.2%増)、営業利益10億8600万円(同12.8%増)、経常利益11億4500万円(同19.4%増)、純利益8億2700万円(同12.9%増)と増収増益転換が予想され、純利益は、2015年3月期の過去最高(7億6700万円)を2期ぶりに更新する。耐磨耗工具で国内出荷額シェア30.4%を堅持するトップメーカーとして、国内景気の緩やかな回復を背景に昨年7~9月の超硬耐磨耗工具の出荷額が、1年ぶりに前年同期よりプラス転換して、前期の中国、アジア新興国向けの伸び悩みをカバーし、国内販売が堅調に推移し、海外の取引社数も着実に拡大、昨年11月の熊本製造所製造棟の稼働開始などの国内生産拠点の集約・再構築、営業拠点も16カ所から13カ所に集約化、業務の効率化と収益率の向上を積極推進していることなどが要因となる。
今期に入っては、この業績予想通りの推移となっており、2016年4月~6月期(第1四半期、1Q)の営業利益は、前年同期比17.1%増益、2016年4月~9月期(第2四半期、2Q)累計の営業利益は、同28.8%増益と増益率を伸ばして着地しており、2月13日発表の3Q業績も、3月通期業績対比の利益進捗率は、62~70%と低水準にとどまったが、前年同期比較では2.3%増収、27.7%営業増益、31.5%経常増益、41.9%純益と大幅増益転換して着地した。このため今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく、純利益は2期ぶりに過去最高を更新する。
■上場来調整幅の3分の2戻し水準から再発進し低PER・PBR修正で最高値奪回も一通過点
株価は、2015年6月に公開価格530円で新規株式公開(IPO)され、800円で初値をつけ上場来高値839円まで買い進まれ、今年2月に上場来安値460円まで調整したが、公開価格割れは下げ過ぎとして底上げ、今期の2期ぶりの最高純益更新を手掛かりに820円までリバウンドし、足元では、上場来の調整幅の3分の2戻し水準を固め、再騰エネルギーを蓄積していた。PERは18倍台、PBRは0.9倍となお東証2部全銘柄平均を下回って割安であり、上場来高値839円奪回も一通過点に上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)