インフォメーションクリエーティブの17年9月期(連結決算に移行)第1四半期は実質増収減益、通期実質減益予想だが上振れ余地

 インフォメーションクリエーティブ<4769>(JQ)はソフトウェア開発を中心にソリューションサービスを提供している。2月10日発表した17年9月期第1四半期連結業績(17年9月期から連結決算に移行)は、前年同期の非連結業績との比較で増収減益だった。通期も実質減益予想だが上振れ余地がありそうだ。なお連結子会社が2月から新しいタイプのコミュニケーションアプリ「LocoBee」サービスを開始した。株価は徐々に水準を切り上げている。長期モミ合いから上放れの展開が期待される。

■ソフトウェア開発中心にソリューションサービスを提供

 ソフトウェア開発事業、システム運用事業、その他(パッケージ開発・販売)事業を展開し、顧客に常駐する型で情報サービス分野における総合的なソリューションサービスを提供している。

 16年9月期の事業別売上高構成比はITソリューション事業97.5%(ソフトウェア開発44.9%、システム運用52.6%)、ITサービス事業2.5%だった。顧客別に見ると日立システムズや日立ソリューションズなど、日立製作所<6501>グループ向けが全体の55%を占めて収益源となっている。

 16年10月ITサービス事業拡大の一環として子会社LOCOBEEを設立した。訪日外国人旅行客に向けて魅力的な日本の文化、歴史、人々との交流を体験してもらうインターネットサービスを提供する。これに伴って17年9月期から連結決算に移行する。

 なお2月1日には、連結子会社LOCOBEEが「世界で一番小さい旅の相棒」として、訪日外国人と地元の人(Loco)との新しいタイプのコミュニケーションアプリ「LocoBee」サービスを開始したと発表している。

■アライアンス戦略も積極推進

 15年5月には、CNプレイガイドを運営してチケッティングに関するソリューションサービスを提供するコミュニティ・ネットワークと、エンターテイメント市場に特化したチケッティングソリューションサービス事業領域において包括的業務提携した。

 提携の第1フェーズとして、当社の「チケット for Windows」とコミュニティ・ネットワークの「CNシステム」をシステム連動させた新たなチケット販売・管理ASPサービス「チケットGATE」を提供する。座席登録、票券管理から発券・決済までチケット販売に関わるすべての業務を一本化して、全国のコンビニ約2万9000拠点を利用できる新チケッティングソリューションシステムだ。

 提携の第2フェーズとしては、チケット販売額の適正化・収益の最大化をサポートするイールドマネジメントシステムなど、多様化するチケット販売方法に適応する次世代型チケッティングシステムの開発を推進する方針だ。

■第2四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造

 四半期別の業績推移を見ると、15年9月期は売上高が第1四半期15億97百万円、第2四半期18億22百万円、第3四半期15億89百万円、第4四半期17億86百万円、営業利益が72百万円、1億49百万円、7百万円、98百万円で、16年9月期は売上高が16億59百万円、19億51百万円、17億65百万円、19億07百万円、営業利益が1億05百万円、1億90百万円、92百万円、69百万円だった。企業や官公庁の年度末にあたる第2四半期の構成比が高い収益構造である。

 16年9月期非連結業績は売上高が15年9月期比7.2%増の72億82百万円、営業利益が同40.0%増の4億56百万円、経常利益が同30.7%増の4億97百万円、純利益が同51.1%増の3億12百万円だった。需要が高水準で、増収効果や業務効率化効果で計画超の大幅増益だった。

 事業部門別の売上高は、ITソリューション事業が同6.4%増の71億02百万円(ソフトウェア開発が金融・証券・保険・および製造関連の受注増加で同7.8%増の32億72百万円、システム運用が金融・証券・保険およびサービス関連の受注増加で同5.3%増の38億30百万円)だった。ITサービス事業はチケットソフトウェア関連のカスタマイズ受注や手数料収入の増加で同51.1%増の1億79百万円だった。

 売上総利益は同14.4%増加し、売上総利益率は16.2%で同1.0ポイント上昇した。販管費は同2.5%増にとどまり、販管費比率は9.9%で同0.5ポイント低下した。営業外収益では保険解約返戻金が減少(前々期17百万円、前期4百万円)した。特別損失では固定資産廃棄損が減少(前々期27百万円、前期0百万円)した。ROEは8.5%で同2.4ポイント上昇、自己資本比率は67.1%で同1.4ポイント低下した。配当は同2円増配の年間26円(期末一括)とした。配当性向は31.8%である。

■17年9月期(連結決算に移行)第1四半期は実質減益

 2月10日発表した今期(17年9月期、連結決算に移行)第1四半期(10~12月)の連結業績は、売上高が17億71百万円、営業利益が74百万円、経常利益が79百万円、純利益が36百万円だった。

 前年同期の非連結業績(売上高16億59百万円、営業利益1億05百万円、経常利益1億12百万円、純利益74百万円)との比較で見ると増収減益だった。需要が高水準で増収だが、先行投資負担で販管費が増加して減益だった。

 売上総利益は同12.3%増加し、売上総利益率は17.3%で同0.9ポイント上昇した。販管費は同39.2%増加し、販管費比率は13.1%で同3.1ポイント上昇した。

■17年9月期(連結決算に移行)は実質減益予想だが保守的な印象

 今期(17年9月期)連結業績予想は、前回予想(連結決算移行に伴って11月11日公表)を据え置き、売上高が77億49百万円、営業利益が2億60百万円、経常利益が2億95百万円、純利益が1億62百万円としている。配当予想は同4円増配の年間30円(期末一括、普通配当26円+記念配当4円)としている。予想配当性向は70.7%となる。

 事業別売上高の計画については、ITソリューション事業が同5.2%増の74億74百万円(ソフトウェア開発が同3.7%増の33億93百万円、システム運用が同6.6%増の40億81百万円)、ITサービス事業が新規のLOCOBEEサービスも寄与して同52.5%増の2億74百万円としている。また売上総利益率は同0.2ポイント低下の16.0%、販管費比率は同2.7ポイント上昇の12.6%の計画としている。

 16年9月期非連結業績(売上高72億82百万円、営業利益4億56百万円、経常利益4億97百万円、純利益3億12百万円)との比較で見ると6.4%増収、43.0%営業減益、41.6%経常減益、48.1%最終減益となる。新サービス開始に伴う先行投資負担などで実質的に減益予想の形だ。ただし需要が高水準であることを考慮すれば保守的な印象も強い。

 通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高が22.9%、営業利益が28.5%、経常利益が26.8%、純利益が22.2%である。第2四半期(1~3月)の構成比が高い収益構造であることを考慮すれば高水準である。通期予想に上振れ余地がありそうだ。

■長期ビジョンで100億円企業目指す

 17年9月期スタートの新中期経営計画では、基本方針「顧客密着型ソリューションの競争力を強化する」「長期ビジョン実現に向けた確かな一歩を踏み出す」「新たな挑戦を支える管理基盤を構築する」を推進する方針だ。またインターネットサービス提供を目的とした子会社において、訪日外国人旅行客に向けた新規事業の成長を目指すとしている。なお長期ビジョンでは100億円企業、経常利益率8%、東証2部上場を目指している。

■株価は徐々に水準切り上げて長期モミ合いから上放れ期待

 株価の動きを見ると、800円~900円近辺での長期モミ合いが続いている。ただし徐々に水準を切り上げている。2月1日には940円まで上伸する場面があった。

 2月15日の終値923円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS42円46銭で算出)は21~22倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は3.3%近辺、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS1017円90銭で算出)は0.9倍近辺である。時価総額は約36億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線が上向きに転じてサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支える形だ。長期モミ合いから上放れの展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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