エスプール 主力3事業の好調に加え、スマートメーターの設置業務の売上増が見込めるため、14年1月の最高値1349円超えも
- 2015/2/5 07:51
- 株式投資News
エスプール<2471>(JQS)の株価は、1月8日に1153円を付けた後、870円まで下げたが、その後は29日には高値952円を付け反発局面を迎えている。主力3事業が好調なうえに、スマートメーターの設置業務の売上増が見込めるため、14年1月の株価1349円超えも期待できる。
1月14日に発表された今期15年11月期連結業績予想は、売上高73億円(前期比10.5%増)、営業利益2億26百万円(同9.4%増)、経常利益2億14百万円(同11.8%増)、純利益1億81百万円(同9.6%増)と3期連続の増収増益を見込む。
同社の事業は、ロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援、フィールドマーケティング、販売促進支援、顧問サービスからなるビジネスソリューション事業と、人材派遣・アウトソーシングを行う人材ソリューション事業の2事業に分けられる。中でも、ロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援、人材派遣・アウトソーシングの3事業が主力で、全体の売上高の92%を占めている。
ロジスティクスアウトソーシング事業の環境は、圏央道開通により大型の物流センターの新設が続いているものの、倉庫内を運営する業者がいないということで、同社への依頼件数が増えている。障がい者雇用支援については、企業は法定雇用を守るために必死で、同社への問い合わせが増えている。これらの2事業の環境は前期に引き続き好転している。しかし、全体からみると、人材の不足感が余りに強くなり過ぎている。人材派遣では、募集費もじわじわと上昇している。一方で、応募者は減少しているので、今後の課題といえる。
ロジスティクスについては、特にネット通販での発送業務が活発化していて、第2センターは今年3月で満床となる見込みである。そのため、現在は第3センターの開設へ向けて顧客開拓のための営業活動を進めている。一方で、収益性をもう一段高めようということで、現在満杯となっている第1、第2センターの収益性の低い顧客の入れ替えをテーマとして収益改善に取り組んでいる。
物流センターの運営代行に関しては、現在、いくつかの打診も来ていることから、今期計画の達成の見通しは明るいといえる。
これらの結果、今期のロジスティクスアウトソーシング事業は、売上高19億72百万円(前期比12.8%増)を見込んでいる。
利益面については、昨年は新しい現場が増えたことで、収益性が一時的に低下したが、既に昨年で改善していることから、今期の利益率はさらに向上すると見ている。
障がい者雇用支援については、第1農園を完売するのに約3年かかったのに比べると、前期の第2農園はほぼ1年とハイスピードで完売できた。これまでの取り組みで、同社の認知度がアップしたことと、障がい者雇用の需要が高まったことが要因といえる。今期についてもその流れは変わっていない。現在は、第3農園を2月または3月頃にオープンする予定で動いている。農地は120区画予定であるが、既に企業からの申込みで全区画が予約済みとなっている。昨年の販売数は、120区画であったが、既に1月時点で120区画の販売が見込めている。今期は前期の2倍を販売する計画で、現在、第4農園、第5農園の土地の選定に入っている。
今期の売上高は、5億80百万円(同58.5%増)と大幅増収を見込んでいる。下半期の動き次第では、更に上振れる可能性もある。
人材派遣については、企業のニーズが変わってきている。前期は人材需要の急回復にともない派遣ニーズが高まっていたが、現在は余りに人の採用がうまくいかないので、各企業ともに採用活動が過熱している。企業では今後もっと人が不足すると見越し、正社員での囲い込みを進めている。例えば、限定社員という形で、地域と仕事を限定して、そこで働く人達を募集している。その様な状況なので、同社にも人材を紹介してほしいという要望が多く寄せられている。そこで、企業のニーズに合わせて、人材紹介を増やす取り組みを進めている。
トピックスとしては、ドコモが1月29日に「セット割」を出したことで、各企業が「セット割」の販売キャンペーンに力を入れているため、販売員とコールセンターの事務員のオーダーが大量に入ってきている。同社は、販売員とコールセンターを元々主力としているので、この「セット割」需要で、受注が拡大している。
この様な状況から、今期の人材派遣・アウトソーシング事業の売上高は40億円(前期比0.5%増)と微増を見込んでいる。しかし、今期から、事業の一部を他の事業に移管している影響が約2億40百万円あることから、この数字を含むと前期比6%増となる。ただし、利益面では、募集費用が膨らむことから減益を見込んでいる。ところが、人材紹介が増える前の段階でこの計画を立てているため、増益も期待できる。
この他に今期期待されている事業が、フィールドマーケティング事業のスマートメーター設置に関連する業務である。前期は調査業務を行ったが、今年から本格的に設置業務が東京電力管内でスタートする。東京電力管内では、2700万個のメーターがあるが、これを2020年までにすべてスマートメーターと置き換える計画である。全国でみると7700万個あり、2024年までに設置する計画で、かなり長期なプロジェクトといえる。
現在、建設需要が旺盛なことから電気工事会社は人手不足で、設置業務に関して入札に応じきれない状況となっている。スマートメーターの設置業務は、他の電気工事業務と比較すると、単価が高くないことも理由の一つという。この様な状況であることから、同社にとっては、二次、三次受けで予定していたものが、一次受けの受注の可能性も出てきたため、高収益が期待されている。
現在の状況では、主力の3事業は今期も好調である。更に、スマートメーター設置業務も当初予想以上の好条件で受注出来そうな雰囲気となっていることから、今期通期業績予想の上振れも期待出来そうである。