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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】イーグランドは第3四半期累計の減益で急落したが、目先的な売り一巡の可能性
- 2015/2/5 07:23
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
中古住宅再生事業のイーグランド<3294>(JQS)は1月30日に第3四半期累計(4月~12月)の業績を発表した。大幅減益で株価は800円近辺でのモミ合いから2月3日の697円まで急落した。ただし4日は711円まで反発した。目先的な売りが一巡した可能性があり、切り返しの展開が期待される。
首都圏を地盤に、中古マンション・戸建住宅の再生事業を主力として、その他不動産事業(不動産賃貸、リフォーム工事請負など)も展開している。中古住宅再生事業は、競売や任売(任意取引)で仕入れた中古住宅を個々の状況に応じてリフォームし、中古再生住宅として販売する。
長年の不動産競売取引で培った価格算定力を活かして、首都圏(1都3県)での不動産競売において業界一の落札実績を持ち、若年ファミリー層などをメインターゲットとして、ボリュームゾーン2000万円以下の低価格帯居住用物件の取り扱いを主力としている。リフォームコストを抑えることで良質で安価な中古住宅を提供するとともに、家具付き販売や最低10年アフターサービス保証などで他社物件との差別化を図っていることも特徴だ。
リスク低減への取り組みとして仕入から販売までの期間を適切に管理するとともに、原則1戸単位でエリアを分散した仕入を実行している。14年3月期の物件平均保有期間は5.7ヵ月で13年3月期の6.3ヵ月から0.6ヵ月短縮した。また現在の仕入は約3分の2が競売仕入、約3分の1が任売仕入だが、今後は首都圏での任売仕入を強化する方針だ。
中期成長に向けては仕入力強化と事業エリア拡大戦略を推進している。10年3月に札幌支店、11年11月に宇都宮支店、14年5月に関西支店を開設した。さらに新たな事業展開エリアとして名古屋、福岡、仙台への進出を視野に入れている。中期目標数値としては仕入件数を毎期2割増加させ、19年3月期をメドに売上高300億円を目指している。
またストック型収益基盤構築に向けて、不動産賃貸事業も強化する方針だ。1月15日には賃貸用不動産(東京都中央区、共同住宅1棟・45戸)の取得を発表した。当該固定資産の賃貸による年間収入予想は48百万円の見込みとしている。
1月30日発表の今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の業績(非連結)は、売上高が前年同期比21.6%増の111億31百万円、営業利益が同36.7%減の6億26百万円、経常利益が同42.2%減の4億74百万円、純利益が同29.5%減の3億55百万円だった。
関西支店開設による事業エリア拡大、任意仕入の強化などの施策の効果で、仕入件数は同85件増加の639件、販売件数は同87件増加の572件と好調に推移し、大幅増収だった。ただし消費増税による市場環境の悪化や、販売価格見直しも含めた販売促進策の結果、売上総利益率は15.0%で同3.7ポイント低下した。販管費の増加も影響して営業減益だった。
通期の業績(非連結)見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて、売上高が前期比26.8%増の158億85百万円、営業利益が同3.0%増の12億32百万円、経常利益が同6.6%増の10億15百万円、純利益が同7.8%増の6億29百万円としている。配当予想は14年10月1日付の株式4分割を考慮すると実質的に前期と同額の年間10円(期末一括)としている。
首都圏での販売強化、関西支店の開設・本格稼働による物件仕入・販売件数の増加、賃料収入の増加などで人件費や仲介手数料の増加を吸収して増収増益見込みだ。販売件数は同175件増加の823件、平均販売価格は前期と同水準の19百万円の計画としている。
成約価格は13年1月以降24ヶ月連続で前年同月を上回って推移しているようだ。通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.1%、営業利益が50.8%、経常利益が46.7%、純利益が56.4%だが、第4四半期(1月~3月)の挽回が期待され、来期(16年3月期)は消費増税の影響一巡が期待される。
なお12月に固定資産譲渡および繰延税金負債取り崩しを発表している。資産の効率化を図るため固定資産(賃貸用不動産)の一部を譲渡して、第3四半期(10月~12月)の特別利益に固定資産売却益94百万円を計上した。また当該固定資産に係る繰延税金負債の取り崩しによって法人税等調整額32百万円を計上した。
株主優待制度(14年8月に新設を発表)については、毎年3月末および9月末時点で1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。14年9月末から実施した。
株価の動き(14年10月1日付で株式4分割)を見ると、1月8日の戻り高値880円から反落して概ね800円近辺でモミ合う展開だったが、第3四半期累計の大幅減益で2月3日に697円まで急落した。ただし4日は711円まで反発した。目先的な売りが一巡した可能性があるだろう。
2月4日の終値710円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS99円85銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式4分割を考慮したBPS622円82銭で算出)は1.1倍近辺である。
週足チャートで見ると26週移動平均線一気に割り込んで調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感も強めている。目先的な売りが一巡した可能性があり、切り返しの展開が期待される。