【編集長の視点】デュアルタップは最高値を視野、販売用不動産のグローバル展開をテコに割安ディフェンシブ株買いが増勢

 デュアルタップ<3469>(JQS)は、前週末24日に48円高の2159円と6日営業続伸して引け、昨年7月につけた上場来高値2611円を視野に入れた。同社株は、今年2月8日に今6月期の2016年7月~12月期(第2四半期、2Q)累計決算を開示したあと、シンガポールのDennis Wee Realty社との業務提携、さらに同社グループ会社に国内の販売用不動産の売却を発表しており、グローバル展開の加速が成長可能性を高めるとしてディフェンシブ関連の割安株買いが増勢となった。テクニカル的にも、昨年7月の新規株式公開(IPO)以来の調整幅の3分の2戻し水準をクリアしており、全値戻しから一段の上値チャレンジ期待を高めている。

■「XEBEC」シリーズを核に2Q販売戸数は前年同期比61%増と伸び賃貸管理戸数も増加

 Dennis Wee Realty社は、不動産仲介業、不動産鑑定業を展開しシンガポール国内で所属エージェント数が第6位に位置する大手で、デュアルタップは、不動産販売事業と海外不動産事業で相互的な協力や継続的な情報交換を目的に業務提携し、これにより海外投資家と国内投資家との双方の投資ニーズを充足させ、グローバルな投資家の拡大を図る。業務提携発表の翌22日には、同じグループ会社のDWI Pte Ltdに東京都千代田区のマンション「千代田区大手町プロジェクト(仮称)」(鉄筋コンクリート造、地上13階建て、総戸数29戸)を来年2月28日引渡し予定日程で売却した。 

 一方、同社の今期2Q累計業績は、売り上げ47億4900万円、営業利益1億2100万円、経常利益6200万円、純利益3300万円で着地した。2Q累計決算は初作成となるため前年同期比較はなく、また業績そのものは、物件の竣工や引き渡しのタイミングにより四半期ごとの業績が偏重するが、今期2Qの不動産販売事業の販売戸数は、自社ブランド「XEBEC(ジーベック)」シリーズを中心に前年同期比60.6%増の159戸(前年同期は99戸)、不動産賃貸管理・仲介事業の賃貸管理戸数は、同11.3%増の1387戸(同1246戸)と伸び、2Q累計売り上げは、期初予想の6月通期業績に対して50%の進捗率を達成した。

 6月通期業績は、期初予想通りに販売戸数を296戸(前期は229戸)、賃貸管理戸数を1486戸(同1246戸)と計画し、売り上げ94億6800万円(前期比35.3%増)、営業利益4億4000万円(同7.1%増)、経常利益3億3300万円(同1.1%増)、純利益2億1300万円(同1.1%増)と増益転換を見込んでいる。配当は、前期並みの30円と安定継続を予定している。

■IPO以来の調整幅の3分の2戻しを達成しPER11台の割安修正で全値戻しも一通過点

 株価は、昨年7月のIPO時に公開価格の1110円に対して2520円で初値をつけ、2611円まで買い進まれ、これを上場来高値に昨秋には新興市場の人気離散が響いて公開価格を試す上場来安値1142円まで突っ込んだ。同安値から相次ぐ販売用不動産の完売などを評価して下げ過ぎとして大きく水準訂正した。とくに足元では、シンガポール不動産大手との業務提携などを評価してストップ高するなどリバウンド幅を急拡大、上場来調整幅の3分の2戻しをクリアした。PERは、なお11倍台とジャスダック市場の全銘柄平均の18倍台を下回って割安であり、全値戻しを一通過点にさらに上値チャレンジに弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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