【新規上場(IPO)銘柄】日宣は初決算の上ぶれ着地期待を高め割安直近IPO株買いが再燃し配当権利落ち後安値水準から反発

株式市場 IPO 鐘

日宣<6543>(JQS)は、前日1日に24円高の2617円と反発して引け、今年2月24日に配当権利落ちとともにつけた上場来安値2542円に並ぶ安値水準から底上げした。同社株は、今年2月16日に1600円を公開価格に新規株式公開(IPO)され、初値を3000円でつけ上場来高値3030円まで買い進まれ、配当権利落ちで上場来安値まで下ぶれたが、目下集計中のIPO後の初決算となる前2017年2月期業績の上ぶれ着地期待を高め割安直近IPO株買いが再燃した。IPO株として業態は広告代理店とオールドエコノミーに属するが、業界特化型の広告事業で高シェアをキープしていることから、続く今2018年2月期業績の堅調推移も観測され、支援材料となっている。

■シェア7割のケーブルテレビ番組情報誌など独自の広告事業が好調に推移

 同社は、今年で創業70周年を迎えた老舗広告代理店で、放送・通信業界、住宅・暮らし業界、医療・健康業界の3業界に特化して独自のマーケティングメソッドに基づく広告事業を展開しており、とくに放送業界のケーブルテレビ業界では、各局の加入者向けテレビ番組情報誌「チャンネルガイド」(月刊誌)を月間150万部発行しており、業界シェアは7割程度に達するトップともみられている。

 目下集計中で今年4月中旬に発表予定の初決算となる前2017年2月期業績は、IPO時に売り上げ45億1700億円(前々期比4.1%増)、営業利益3億1800万円(同7.3%増)、経常利益3億8200万円(同15.5%増)、純利益2億4100万円(同20.9%増)と予想され、配当も、38円(前々期実績25円)が予定された。営業利益は、社員に対する決算業績賞与支給に伴う人件費増や本社移転による不動産取得税負担、上場関連費用などで減益予想となったが、IPO時に開示した前2017年2月期の2016年3月~11月期(第3四半期、3Q)の営業利益は、3億9000万円と2月通期予想を上回って着地した。

 また3Q経常利益も4億2300万円、同純利益も2億6000万円で着地し、3Q決算は初作成で前年同期との比較はないが、2月通期予想を上回っており、今年4月中旬の決算発表時の上ぶれ着地期待を高めている。さらに早期に売り上げ100億円、売上高経常利益率10%を目指すとする経営方針から続く今018年2月期業績の続伸も有力視され、4月中旬予定の決算発表が注目される。

■PERは市場平均並みも時価総額50億円強の超小型株特性をテコに最高値奪回も有望 

 株価は、上場来高値から2580円安値に下ぶれ、期末の配当権利取りで2868円と買い直され、配当権利を2633円で落とした。権利落ち後は上場来安値2542円へ下ぶれたが、下げ過ぎとして即2800円高値へリバウンドするなど、戻り売りを吸収しつつ安値水準での300円幅の底値固めを続けた。前期業績推定ベースのPER評価は、18倍台とジャスダック市場全銘柄平均並みだが、時価総額が50億円強にとどまる超小型株特性から直近IPO株プレミアムはそれだけ強力に働き、目先売り一巡のここから一段の底上げは期待十分で、上場来高値奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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