インテリジェント ウェイブ 第1四半期は自社製パッケージソフトウェア等の売上の前倒し計上で、増収大幅増益の黒字転換
- 2014/11/17 09:31
- 決算発表記事情報
インテリジェント ウェイブ<4847>(JQS)の今期15年6月期第1四半期連結業績は、不採算案件の発生もなく、また、第2四半期間に販売する計画であった自社製パッケージソフトウェアやハードウェアの売上が前倒しで計上できたこともあり、増収大幅増益で黒字転換となった。
第1四半期連結業績は、売上高14億26百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益94百万円(前年同期△2億70百万円)、経常利益91百万円(同△2億68百万円)、純利益60百万円(同△2億45百万円)と2ケタ増収大幅増益で黒字転換。
同社の事業は、銀行、証券会社、カード会社等の顧客を対象として、ハードウェアやソフトウェアを統合、付加価値をつけたシステムを納入し、保守サービスを行う(金融システムソリューション事業)と、特定の業界、業種に限らず情報セキュリティ分野やその他の分野に利用される自社開発パッケージソフトウェアと、他社製パッケージソフトウェアを中心に付加価値の高いシステムを納入し、保守サービスを行う(プロダクトソリューション事業)の2つのセグメントに区分される。
事業別の売上高は、金融システムソリューション事業13億52百万円(前年同期比12.1%増)、プロダクトソリューション事業73百万円(同1.4%増)とともに増収であった。金融システムソリューション事業では、新規顧客であるネット銀行の開拓が出来たことから順調に推移した。
個別の受注高に関しては、景気が回復傾向にあることから、金融システムソリューションは13億84百万円(前年同期10億96百万円)と増加している。プロダクトソリューションは97百万円(同96百万円)と前期並みであった。
今期15年6月期連結業績予想は、売上高64億円(前期比2.4%減)、営業利益3億80百万円(同162.1%増)、経常利益4億円(同118.6%増)、純利益2億50百万円(同190.7%増)と減収ながらも大幅増益を見込む。
11月7日に同社の決算説明会が開催された。代表取締役社長山本 祥之氏はこれからの取組について説明を行った。
金融システムソリューション事業については、クレジット決済分野では、ネットワークの接続、カードを使ってよいかどうかチェックするオーソリゼ―ション、本人が使っているのか、他人が使っているのかという不正利用の検知という3つの分野について事業を行ってきた。ただクレジットカードの決済業務全体から見た場合、バックオフィス業務として売上の計上だとか、取引の清算だとか色々な業務が、いわゆる基幹系の業務システムとして存在している。こちらの方にも取組んで、当社の開発範囲を増やしている。クレジットカード会社では、過払い金等の問題もあって、投資意欲が少ししぼんでいたが、ほぼ目途がついたということで、昨年ころから新しいシステムに取組むような状況。また、新たにカード業務に参画する企業も出てきているという状況の中で、ネットワーク系から、バックオフィス系に範囲を広げることによって、売上拡張の基盤を作ってきている。3年前から2年前まで不採算の事業があったが、一方で、逆にノウハウを蓄積したという面もあり、事業範囲の拡大につながったといえる。
また、デビットガード、プリペイドカードが出てきたことで、新規参入があることから、ネットワークの接続、残高の管理、清算系の業務までを含めて開発を受注できる状況である。更に、メガバンクもVISAブランドのデビットカードに参入しているため、ほかの銀行も企画検討に入っている。そのため、問い合わせが増えてきている。プリペイドカードに関しては、KDDIのauウォレットなど盛んに出ているが、ほかの企業でも企画検討が進んできている。そのため、マーケットの広がりとしてはかなり期待できる状況である。また、親会社の大日本印刷がSaaSシステムのサービスの提供を始めているため、一緒に開発系の事業を請負って、その後運用の支援というところまで深く入り込むことによって、次のビジネスに繋げるよう動いている。
この他に、スマートフォン決済に代表される非対面の販売、インターネットの取引が増えている。もう一つはリアル店舗でのスマートフォンの決済もある。そのため、加盟店管理システムをきっちりとしておく必要がある。今までは据え置き型の端末を置くことによって、店の資材管理がしやすかったということもあるが、スマートフォン決済、インターネット決済の広がりで、店舗の確認がしにくくなっている状況がある。利用者にとっては使いやすいが、逆に不正が行われやすくなる半面もある。そのために、消費者庁も含めて、加盟店の方をきちんと管理するようにと、業界に指導が入っている。それに合わせて同社も、加盟店管理システム構築に力を入れている。決済の多様化が広がってくると共に、システム構築受注の機会が増えると見ている。
また、訪日観光客が増加してきていることで、海外のカードが国内のATMでも使えるようにする必要がある。オリンピック開催に向けて、このシステム開発需要は益々高まると見ている。
プロダクトソリューション事業では、マルウェアの活動を阻止し、ゼロデイ攻撃を防御する「TRAPS」を他社に先駆け、10月から本格的に販売を開始している。パソコンに侵入したウイルスが発病し、活動しようとしたときにだけ防いで止める働きをする。ウイルスが動かない間は、「TRAPS」も活動しないため、パソコンの負荷がかからないのが特徴である。
12月には、CWATをバージョンアップした製品を販売する。例えば、スマートフォンを使ってファイルを持ち出そうとした場合に、そのファイル自体を送信できないようにする機能を付け加えている。ワードとか、エクセル、PDFは今までCWATで見張っていたが、更に、ワードから通信へ移行しようとしたら、漏洩しないように出口をふさぐ働きを持つ。また、「TRAPS」とCWATを組合せることで、より多層的に情報漏洩を防ぐ機能を持たせることが出来る。
以上のように、事業環境は好転していることから、今後の事業拡大が期待できる。