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トシン・グループは電設資材の卸売事業を展開、割安感や継続的な自己株式取得も評価材料
- 2017/3/16 08:09
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トシン・グループ<2761>(JQ)は首都圏中心に電設資材などの卸売事業を展開している。17年5月20日期の連結業績は営業増益予想である。株価は戻り一服となってモミ合う形だが調整一巡感を強めている。指標面の割安感や継続的な自己株式取得も評価材料であり、戻りを試す展開が期待される。
■首都圏中心に電設資材や住宅設備機器の卸売事業を展開
首都圏を中心に電設資材や住宅設備機器などの卸売事業を展開する持株会社である。小口多数販売や、専門部署による得意先営業活動支援サービスなどを特徴としている。
取扱商品や営業拠点網の拡充などで事業基盤強化を推進している。15年6月栃木県・佐野営業所、16年2月神奈川県・橋本営業所、16年3月茨城県・ひたちなか営業所を新設、16年4月千葉県・船橋営業所を移転新築、16年8月横須賀営業所を新築開店した。17年2月には東京都品川区・五反田営業所がリニューアルオープンした。
■新設住宅着工戸数など建設関連投資が影響
四半期別業績推移を見ると、15年5月20日期は売上高が第1四半期110億05百万円、第2四半期115億38百万円、第3四半期106億94百万円、第4四半期120億34百万円、営業利益が4億81百万円、6億円、5億55百万円、5億88百万円、16年5月20日期は売上高が108億09百万円、115億27百万円、100億05百万円、116億68百万円、営業利益が5億75百万円、5億88百万円、4億49百万円、4億66百万円だった。新設住宅着工戸数など建設関連投資の動向が影響し、第4四半期の構成比が高い収益構造である。
16年5月20日期連結業績は15年5月20日期比減収減益だった。新設住宅着工戸数は増加だが総床面積が減少、LED照明の普及進展だが販売価格が下落、太陽光発電関連は電力買い取り価格引き下げで市場縮小と、厳しい事業環境だった。売上総利益は同1.4%減少したが、売上総利益率は20.7%で同0.3ポイント上昇した。販管費は同0.3%増加し、販管費比率は16.0%で同0.5ポイント上昇した。
特別損失では減損損失48百万円、弔慰金35百万円、社葬費用19百万円を計上した。ROEは5.3%で同0.5ポイント低下、自己資本比率は79.2%で同0.4ポイント低下した。配当は期末に記念配当2円を加えて同2円増配の年間54円(第2四半期末26円、期末28円)とした。配当性向は27.1%で同1.9ポイント上昇した。利益還元については、将来の事業展開と経営体質強化のために必要な内部留保を確保する一方で、財務状況、利益水準、配当性向などを総合的に勘案して、前年実績を下回らない安定した配当を実施することを基本方針としている。
■17年5月20日期第2四半期累計は減収減益
今期(17年5月20日期)第2四半期累計(5月21日~11月20日)連結業績は、売上高が前年同期比1.7%減の219億53百万円となり、営業利益が同11.0%減の10億35百万円、経常利益が同12.4%減の14億56百万円、純利益が同9.6%減の9億24百万円だった。
新設住宅着工戸数は緩やかに回復傾向だが、LED照明の販売価格下落、太陽光発電市場の低迷など厳しい状況が続き、人件費増加なども影響して減収減益だった。売上総利益は同2.9%減少し、売上総利益率は20.5%で同0.2ポイント低下した。販管費は同0.1%減少したが、販管費比率は15.7%で同0.2ポイント上昇した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期104億67百万円、第2四半期114億86百万円、営業利益は4億53百万円、5億82百万円だった。
■17年5月20日期通期は営業増益予想
今期(17年5月20日期)通期の連結業績予想(7月5日公表)は、売上高が前期(16年5月20日期)比1.2%減の435億円、営業利益が同4.6%増の21億75百万円、経常利益が同横ばいの30億25百万円、純利益が同0.5%増の17億70百万円としている。
配当予想は前期と同額の年間54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。前期は記念配当2円が含まれているため普通配当ベースでは2円増配となる。予想配当性向は27.0%である。
基本戦略である小口多数販売の徹底、営業拠点網の拡充、新規得意先の獲得と既存得意先の深掘りによる実売軒数の増加、当社独自の得意先営業活動支援サービスの体制・機能強化など、グループ総合力を活かした戦略を推進する方針だ。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が50.5%、営業利益が47.6%、経常利益が48.1%、純利益が52.2%である。厳しい事業環境を考慮すれば概ね順調な水準と言えそうだ。
■自己株式取得で積極還元姿勢
自己株式取得の継続的な実施で株主還元姿勢を積極化している。16年8月9日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限60万株、取得価額総額の上限18億円、取得期間16年8月10日~17年7月31日)については、16年2月28日時点の累計で取得株式総数33万5400株、取得価額総額7億3417万9900円となった。そして3月1日には自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって2000株を取得した。
■株価は戻り一服だが割安感や継続的な自己株式取得も評価材料
株価の動きを見ると、16年11月~12月の戻り高値圏2300円台から反落して2200円台で推移している。戻り一服の形だ。ただし大きく下押す動きは見られず調整一巡感を強めている。
3月15日の終値2264円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS201円40銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間54円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3820円78銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約258億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。指標面の割安感や継続的な自己株式取得も評価材料であり、戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)