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協立情報通信は17年2月期減益予想だが18年2月期収益改善期待
- 2017/3/17 08:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
協立情報通信<3670>(JQ)は法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開している。17年2月期(第4四半期から連結決算に移行)は実質減益予想だが、18年2月期は収益改善が期待される。中期的にも企業のICT投資需要は高水準だろう。株価は17年2月期減益予想の織り込みが完了して反発展開が期待される。
■法人向けソリューション事業とモバイル事業を展開
法人向けソリューション事業(情報通信システムソリューション、会計情報ソリューション、情報活用教育ソリューション、情報活用レンタルソリューション)と、モバイル事業(法人向けモバイルソリューション、ドコモショップ6店舗運営)を展開している。16年2月期セグメント別売上高構成比はソリューション事業33%、モバイル事業67%、そして営業利益構成比はソリューション事業94%、モバイル事業6%だった。
企業のICT(情報通信技術)化実現に向けて、NEC<6701>、オービックビジネスコンサルタント<4733>、NTTドコモ<9437>、サイボウズ<4776>、日本マイクロソフトなどパートナー企業の製品・サービスを融合し、情報通信システムの構築から導入・保守・運用・教育までを提供するソリューション企業である。
ソリューション事業は、情報通信システムソリューションでNECのPBX(構内交換機)、会計情報ソリューションでオービックビジネスコンサルタントの「奉行シリーズ」をベースとして、中堅・中小企業向け中心に情報インフラ、情報コンテンツおよび情報活用支援(プラクティカルユース)の3分野を統合した経営情報ソリューションをワンストップサービスで提供している。また常設デモスペースの体感型フューチャーラボ「情報創造コミュニティー」で、製品活用体験セミナー、フェア、イベント、システム導入相談会、教育サービスなどを提供していることも特徴だ。
なお100%子会社の神奈川協立情報通信を設立して、ソリューション事業の一部(神奈川支店における業務)を承継させる。17年3月事業開始し、神奈川エリア全域に密着したサービス提供を行う。これに伴って17年2月期第4四半期(12~2月)から連結決算に移行する。
モバイル事はNTTドコモの一次代理店であるティーガイア<3738>の代理店として、ドコモショップ6店舗(東京都内2店舗、埼玉県内4店舗)を運営し、個人向けモバイル端末などの店頭販売、および法人向けモバイルソリューションを展開している。16年1月にはティーガイアからの再卸を受けて、自社ブランドによる法人向け光アクセスサービス「KCC光powered by TG光」を開始した。通信機器販売・設置・工事・保守から光回線までワンストップでの提供が可能になる。
■第1四半期の構成比が高い収益構造
四半期別推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期15億47百万円、第2四半期14億43百万円、第3四半期13億66百万円、第4四半期14億10百万円、営業利益が1億02百万円、88百万円、24百万円、52百万円、16年2月期は売上高が17億01百万円、14億30百万円、15億19百万円、15億30百万円、営業利益が1億37百万円、64百万円、75百万円、60百万円だった。法人向けソリューションは企業のICT投資関連のため、3月期決算企業の年度末にあたる第1四半期の構成比が高くなる傾向がある。
16年2月期非連結業績は特別利益一巡で最終減益だが、ソリューション事業が牽引して2桁営業増益だった。売上総利益は15年2月期比7.9%増加し、売上総利益率は30.6%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同4.7%増加したが、販管費比率は25.2%で0.6ポイント低下した。ROEは17.4%で同4.9ポイント低下、自己資本比率は49.1%で同6.9ポイント上昇した。
配当は同5円減配の年間50円(期末一括)で配当性向は30.6%だった。利益還元については、継続的かつ安定的な配当を年1回(期末)実施することを基本方針としている。配当水準については、配当性向30~40%程度を目途に、業績に連動させて適正な配当を行うとともに、万一業績が悪化したとしても一定の水準を維持していきたいとしている。
ソリューション事業は売上高が同20.4%増の20億33百万円、営業利益が同94.2%増の3億19百万円で、受注高が同28.0%増の10億60百万円、期末受注残高が同22.9%減の1億92百万円だった。モバイル事業は売上高が同1.7%増の41億48百万円、営業利益が同81.9%減の18百万円だった。
■17年2月期第3四半期累計は減収減益
前期(17年2月期)第3四半期累計(3~11月)の非連結業績は、売上高が前年同期比6.4%減の43億53百万円、営業利益が同46.2%減の1億49百万円、経常利益が同46.5%減の1億50百万円、純利益が同48.6%減の89百万円だった。
ソリューション事業における大型案件一巡やモバイル事業の苦戦で減収減益だった。売上総利益は同10.2%減少し、売上総利益率は29.7%で同1.2ポイント低下した。販管費は同1.5%減少したが、販管費比率は26.3%で同1.3ポイント上昇した。
セグメント別動に見ると、ソリューション事業は売上高が同13.1%減の13億51百万円で営業利益が同29.5%減の1億78百万円、受注高は同20.4%減の6億76百万円、受注残高は同4.4%減の2億12百万円となった。納期の短い中小型のPBXリプレース案件は堅調だが、マイナンバー対応をきっかけとした大型案件や基幹システムバージョンアップの大型案件が減少した。
モバイル事業は売上高が同3.0%減の30億01百万円、営業利益が29百万円の赤字(前年同期は23百万円の黒字)だった。総務省「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」に沿って「実質0円販売」を終了したことに伴う来店客数減少傾向が続いた。16年9月のiPhone7発売で販売台数は回復傾向だが粗利益率が低下し、インセンティブ減額や「ドコモ光」販売ヘルパー増員も影響した。なお総販売台数は同0.7%減の3万1971台だった。
■17年2月期(第4四半期から連結決算に移行)通期も実質減益予想
前期(17年2月期)通期の連結業績予想(第4四半期から連結決算に移行、1月13日に減額修正)は売上高が56億38百万円、営業利益が1億63百万円、経常利益が1億63百万円、純利益が97百万円としている。配当予想は16年2月期と同額の年間50円(期末一括)としている。予想配当性向は60.4%となる。
前々期(16年2月期)非連結業績との比較で見ると8.8%減収、51.4%営業減益、52.8%経常減益、50.3%最終減益で実質減収減益となる。セグメント別の計画は、ソリューション事業の売上高が同11.1%減の17億41百万円で営業利益が同20.4%減の2億15百万円、モバイル事業の売上高が同1.4%減の38億97百万円で営業利益が52百万円の赤字(前期は18百万円の黒字)としている。
ソリューション事業では中型PBXのリプレース需要が継続するが、メーカーサポート期限切れに伴う既存顧客の大型PBXリプレース案件が一巡し、マイナンバー対応関連の大型案件やバージョンアップ案件が減少する。大型案件の期ズレ発生も影響する。またEラーニングを軸に教育サービスを強化するための先行投資で広告費や販促費が増加する。
ソリューション事業においては、セキュリティ環境の見直し提案、教育サービスの早期拡販によるストック収益の拡大、マイクロソフト「Office365」情報活用支援サービス提供開始、多様な働き方に対応するユニファイドコミュニケーション提案などによるソリューション拡大に取り組む。
■ソリューションへのシフトやストック型モデルの強化で高収益化目指す
企業のICT投資需要は「クラウド」「モバイル」「セキュリティ」をキーワードとして高水準に推移することが予想されるため、中期的に物販からソリューションへのシフト、モバイル事業の利益率改善など、ストック型収益モデルの強化によって高収益化を目指す方針だ。
中期基本方針として、情報創造コミュニティーの活性化(教育サービスメニューの開発、顧客創造力の増強、定期的なパートナー交流)、パートナー企業との共同開発の積極化、ソリューションサービスのモバイル化とインフラ・コンテンツ・教育・生産価値情報・セキュリティをキーワードとしたサービス展開を掲げている。
なお17年10月に、ドコモショップ茅場町店と情報創造コミュニティーを元の中央区八丁堀に移転する。移転に伴って情報創造コミュニティーのフロア面積を約2倍に拡張する。出会いと共創の場として、さらに進化させる方針だ。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月末に実施している。優待内容は500株以上~1000株未満保有株主に対して島根県仁多郡産コシヒカリ「仁多米」2kg(1500円相当)、1000株以上保有株主に対して同5kg(3700円相当)を贈呈する。
■株価は17年2月期減益予想の織り込み完了して反発期待
株価の動きを見ると、戻りが鈍く概ね安値圏1600円~1700円近辺でモミ合う形だ。
3月16日の終値1631円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS82円73銭で算出)は19~20倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は3.1%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の非連結BPS994円39銭で算出)は1.6倍近辺である。時価総額は約20億円である。
週足チャートで見ると1600円近辺が下値支持線の形だ。17年2月期減益予想の織り込みが完了して反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)