【株式評論家の視点】日本アジアグループは事業ポートフォリオの見直しを推進、9か月移動平均線に接近し値ごろ感

株式評論家の視点

 日本アジアグループ<3751>(東1)は、昨年5月25日に2020年度を目標年度とする経営戦略を策定。2020年度までの期間を「成長のDNA醸成ステージ」と位置づけ、それ以降、景気動向に大きく左右されず持続的成長を果たせる企業体(差別化された“ダントツ”のサービス・商品を適正な価格で提供し続ける)に変貌させていく方針を掲げている。連結売上高1400~1600億円、連結営業利益110~130億円、連結ROE12%以上の目標に向けて、将来への戦略的先行投資を行い、競争優位性の確立と付加価値を提供している。

 2017年3月期の技術事業部門は、将来への種蒔きとして今後の市場成長が期待できる事業運営や気候変動対策等の新分野の案件受注に加え、地理空間情報や防災・環境分野の技術サービスを中心に民間、海外市場開拓を積極的に進めている。再生可能エネルギーや新規事業への投資も拡大していくことで増収を見込む一方で、その核となる技術・商品・人材開発等を短期間に実行するための先行投資やプロジェクト体制の強化により、固定費等が増加して減益となる見込み。金融事業部門は、証券支店を証券仲介業店に移行させつつ営業フロントの人員増を通じて新たな資産形成業務の強化とコスト削減を進める施策を拡大させている。

 2017年3月期第3四半期業績実績は、売上高が464億3600万円(前年同期比13.5%減)、営業損益が5億6800万円の赤字(同13億4200万円の黒字)、経常損益が14億3200万円の赤字(同2億7400万円の黒字)、最終損益が20億1200万円の赤字(同3億2200万円の黒字)に着地。

 17年3月期業績予想は、売上高が770億円(前期比2.0%増)、営業利益が28億円(同28.0%減)、経常利益が13億円(同49.3%減)、純利益が10億円(同2.4倍)を見込む。年間配当予想は期末一括10円を予定している。

 株価は、昨年11月9日につけた上場来の安値326円から1月10日高値468円と上昇。 その後、モミ合っている。同社が、成長性を追及し、事業の集中力を高めるため、事業ポートフォリオの見直しを推進していることが注目される。ファイナンシャルサービス事業でJapan Asia Securities Limited、日本アジア証券、おきなわ証券を譲渡した一方で、空間情報コンサルティング事業としてG空間×ICTにおける新分野を開拓、グリーンエネルギー事業への取り組みのほか、新規事業の森林活性化プロジェクトへの取り組みと経営資源を集中させており、今後の事業展開に期待は高まる。18年3月期営業益復調と観測されているほか、17年3月期予想PER10倍台・PBR0.44倍と割安感があり、配当利回り2.5%と利回り妙味もソコソコある。9か月移動平均線に接近し値ごろ感が出ており、中長期的な視点で買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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