【CSR(企業の社会的責任)関連銘柄特集】メディカル・データ・ビジョンは民間で最大規模の医療関連データベースを集積し医療の質向上や患者メリットの創出に貢献
- 2017/3/22 10:09
- IR企業情報, 特集
- CSR(企業の社会的責任)関連銘柄特集
代表取締役社長 岩崎 博之 氏
メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)
医療ビッグデータ利活用のパイオニア企業
メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、2003年に設立された。医療の質の向上や患者を含めた生活者にとってのメリットを創出することを目的に、医療ビッグデータを利活用するビジネスを展開している。この点から、同社は企業活動そのものがCSR(企業の社会的責任・社会貢献)活動に重なると言っても過言ではない。ビジネス展開は大別して、「データネットワークサービス」と「データ利活用サービス」である。
導入シェア45%を誇る病院とのネットワーク
同社は、データ利活用を実現するためには、病院から医療データを預けてもらえるだけの信頼関係を構築する必要があると考えた。そのためにまず手をつけたのが「データネットワークサービス」である。「データネットワークサービス」では医療機関向けにITパッケージの開発・販売などを行うとともに、医療・健康情報を蓄積している。
主力商品のひとつである「EVE」は、16年12月末現在で791病院が導入しており、DPC制度に対応する1667病院のうち約45%という圧倒的なシェアである。「EVE」は、DPC制度(急性期医療での入院治療などを対象とした診療報酬の包括評価制度)に対応するシステムであり、DPCデータを活用し、自院の診療内容や状況を他院と比較しながら分析できるのが特長である。
もうひとつの主力商品である「Medical Code」は、原価管理をはじめとする病院経営全体にかかわる事項を分析できるシステムで、同じく16年12月末の導入病院数は224となり、前年同期の176院から3割近く増加した。
いずれのシステムについても、会社側の収益として、システム導入費(ハード込)のほかに保守費用がある。同社は今後、「EVE」のシェア45%を保持しつつ、「Medical Code」の導入数拡大に注力する。
国民8人に1人に相当する医療ビッグデータは製薬会社などから高い評価
メディカル・データ・ビジョンの真髄とも言える「データ利活用サービス」は、実際の診療現場におけるデータを各種分析して提供するものである。昨今RWD(リアルワールドデータ)が注目される中、同社のデータは製薬会社や研究機関から高い評価を受けている。
病院から二次利用の許諾を得て匿名化された診療情報の規模は、2017年2月末現在で1785万人分に達し、民間では国内最大級である国民8人に一人に相当する規模にまで拡大。どのような病気・症状の患者にどの薬がどれだけ処方されたか、そしてその効果はどうであったか、といった分析がこのビッグデータによって可能になった。主なユーザーは製薬会社であるが、H&BC(ヘルス&ビューティケア)分野や、16年半ばからはインシュアランス(保険)分野での活用も広がりはじめた。また17年2月には、病院向け医薬品を同等の成分で市販薬に転用したOTC医薬品や化粧品などの製造販売会社、MDVコンシューマー・ヘルスケア株式会社を設立。大規模診療データに基づき、これまでより一段と生活者ニーズに即した医薬品やヘルスケア製品を世に出していく。
患者自身がネットでカルテ情報(≒診療情報の一部)が見られる社会を実現
注目されるのは、2016年10月に提供開始された「CADA-BOX」だ。「CADA-BOX」(カーダボックス)は、電子カルテと連携させる仕組みで、患者が自身の診療情報の一部を管理・閲覧できるほか、診察代や治療費の払い・分割払いも利用できる機能を備えている。
自身の診療情報を手元に保管するというのは、日本においてあまり馴染み深くは無い。しかしながら、病気の治療や健康の維持に取り組む上では、自身の体の状態を知っておくことが第一歩であり、多くの患者にとって、病歴・服薬履歴などは本人がぜひ知っておきたい事項だ。また、子供や年老いた親のデータなど、家族間で共有することは有事の際の安心に繋がる。「CADA-BOX」が普及すれば、インターネット上で生涯に渡る自身の診療情報の一部が見られるようになり、医療の歴史に新時代をもたらすシステムとして注目されている。
株主優待制度を16年12月期末から導入、業績は最高益を連続更新の見込み
株主優待制度は16年12月期から導入した。毎年12月31日現在の100株(1単元)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。
業績は高成長が続く見込みで、今期・17年12月期の連結業績は、営業利益が続けて最高を更新する見込み。純利益は4期ぶりに最高を更新する見込みだ。16年12月期までは将来の飛躍的成長に向けた「投資フェーズ」と位置付け、積極的な投資活動を展開してきた。この成果を受け、今12月期からは「投資回収フェーズ」として、事業成長の加速化、及び収益性の向上を図る計画だ。今12月期の連結業績見通しは、売上高を36億円(前期比36.8%増)と計画し、営業利益は5億4200万円(前期比25.9%増)、経常利益は5億4000万円(前期比29.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億1100万円(前期比74.9%増)を見込む。