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平山は下値切り上げて底放れ期待、17年6月期大幅増収増益予想
- 2017/3/24 07:10
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
平山ホールディングス<7781>(JQ)(17年3月1日付で旧平山が持株会社に移行して商号変更)は、国内製造業向けインソース(製造請負)・派遣事業を主力として、技術者派遣事業や現場改善コンサルティングサービスなども展開している。17年6月期は大幅増収増益予想で収益改善基調だ。株価は下値を切り上げて底放れの展開が期待される。
■国内製造業向けインソース(製造請負)・派遣事業が主力
17年3月1日付で旧平山が持株会社に移行して商号を平山ホールディングスに変更した。国内製造業向けのインソース(製造請負)・派遣事業を主力として、連結子会社トップエンジニアリングの技術者派遣事業、その他事業(現場改善コンサルティングサービス、教育サービス、有料職業紹介など)も展開している。
16年6月期売上高構成比(旧セグメント)はアウトソーシング事業85%、技術者派遣事業9%、その他事業5%だった。17年6月期からセグメント区分を変更し、インソーシング・派遣事業(旧アウトソーシング事業)、技術者派遣事業、海外事業、その他事業としている。
■「現場改善力」が強み
主力のインソーシング・派遣事業では、当社に所属する現場改善コンサルタントと連携したサービスを提供し、顧客企業の製造現場における生産性向上、コスト削減や「ものづくり力」強化に繋げていることが強みだ。11年には製造請負事業者改善推進協議会が運営している製造請負優良適正事業者認定制度を第1号で取得(14年4月更新)した。
請負現場「ものづくり力」高度化のために、中核になる生産管理者の育成を強化するとともに、製造企業OBシニア層の技術を再開発して、製造現場の改善をワンストップで提案できる体制を構築することに経営資源を最優先で投資している。
また従来の派遣・請負会社のイメージを脱却し、社内で育成した人材を社会に還元する「教育会社」を目指している。社員に対しては、キャリアカウンセリングやメンタル支援などの従業員支援制度(EAP=Employee Assistance Program)をベースとして、資格・技能取得支援制度によるキャリアアップ制度を運用し、有期雇用から無期雇用へと転換するステップを用意している。
15年7月には当社独自の求人サイト「ものっぷ」を開設している。簡単な仕事検索、PDFやEXCELによる履歴書のダウンロードなど、今までにない仕事の探し方を実現した。ものづくりでキャリアアップを目指す方を応援するサイトとして、求職者の仕事探しをサポートしている。
16年6月には外国人技能実習生の受入拡大に伴うサポート体制の充実をリリースした。入職Ⅰ~3ヶ月以内の実習生に対面カウンセリングを実施するなど、実習生が安心して働ける環境づくりを強化し、帰国後の就職支援を視野に入れて海外事業も積極展開する。
17年1月には特例子会社の認定取得を前提とした子会社「平山LACC」の設立を発表した。障害者の雇用の促進等に関する法律に基づいて特例子会社の認定を申請する。
■テルモ向けを主力に大手優良企業グループと強固な取引関係を構築
主要取引先は、テルモ<4543>向けを主力として、LIXILグループ、TOPPANグループ、TOTOグループ、トヨタグループ、リコーグループ、三菱グループなどがある。多種多様な業種・工程での実績を持ち、業界を超えた製造技術・ノウハウを蓄積していることも強みだ。そして大手優良企業グループと強固な取引関係を構築している。
旧アウトソーシング事業の16年6月期分野別売上構成比は医療機器・医薬品が49%、オフィス用品が14%、食品が12%、住宅設備が8%、建設機械が7%、自動車部品が7%、その他が3%だった。
海外はベトナムとタイに現地法人(非連結子会社)で、日本国内のエンジニア不足に対応した外国人技術者の採用、東南アジア諸国の日系企業との取引拡大を推進している。16年2月には平山タイの子会社JOB SUPPLY HUMAN RESOURCE(JSHR)が、JOB SUPPLY(JS)社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けた。
■長期的目標は売上高営業利益率8%
経営目標としてはグループ売上高200億円の早期達成を目指し、売上高営業利益率を中期的に5%、長期的に8%に向上させる方針だ。重点戦略としては、コンサルティング機能の強化や外国人技能者の積極的活用により、現場改善力・収益力を高めて差別化や顧客の囲い込みを推進する。
そして国内製造業既存取引先の事業所拡大・安定化、既存製造派遣取引先のインソーシング(製造請負)化、自社管理業務および既存インソーシング契約取引先業務の改善、新規取引先の開拓(インソーシング案件獲得)、ハイエンド派遣・設計エンジニア派遣の拡大などを推進する。
海外展開については、タイ、ベトナム、インドネシアでのコンサルティング事業の拡大、インドネシア、フィリピンへの拠点展開などを推進し、東南アジアでの人材ビジネス企業、コンサルティング企業、教育関連企業へのM&Aも検討する。なおJS社から人材派遣事業(約1700名)を譲り受けたタイのJSHR社については、中期的に4000名体制を目指すとしている。
■16年6月期は主要取引先減産や人員再配置コスト増加などが影響
四半期別の業績推移を見ると、16年6月期は売上高が第1四半期22億74百万円、第2四半期23億51百万円、第3四半期23億36百万円、第4四半期27億86百万円、営業利益が0百万円の赤字、66百万円、30百万円、32百万円だった。
16年6月期は15年6月期比増収減益だった。製造請負・製造派遣の引き合いが増加傾向で、タイの人材派遣会社のM&A(16年1月)も寄与して増収だが、主要取引先の一部減産、利益率の高い製造請負事業の構成比低下、人員再配置コストの増加、適正人員確保のための採用コストおよび外注コストの増加、さらに事業領域拡大やM&Aなどの先行投資負担で減益だった。
売上総利益は同1.9%減少し、売上総利益率は15.8%で同1.6ポイント低下した。販管費は同18.6%増加し、販管費比率は14.4%で同1.2ポイント上昇した。営業外費用では株式公開費用14百万円、為替差損48百万円を計上した。またROEは0.8%で同13.2ポイント低下、自己資本比率は47.7%で同10.9ポイント上昇した。配当は年間38円(期末一括、普通配当6円+上場記念配当32円)で配当性向は446.1%だった。利益配分については安定した配当の継続という観点から配当性向25%を基本としている。
旧表示のセグメント別に見ると、アウトソーシング事業は売上高が同4.8%増の83億10百万円で営業利益(連結調整前)が同13.1%減の8億19百万円、技術者派遣事業は売上高が同0.1%増の9億15百万円で営業利益が同13.9%減の46百万円、その他事業は売上高が同3.6倍の5億22百万円で営業利益が同91.3%減の3百万円だった。稼働人員数は同90.9%増加の5368名(うち海外が2280名)で、取引社数は同17社増加の113社(うち海外が12社)となった。
■17年6月期第2四半期累計は営業減益だが需要高水準で2桁増収
今期(17年6月期)第2四半期累計(7~12月)の連結業績は売上高が前年同期比21.4%増の56億14百万円、営業利益が同92.9%減の4百万円、経常利益が同1.8%増の43百万円、純利益が同41.0%減の12百万円だった。
採用関連コストの増加、技術者派遣事業における先行投資負担などの影響で大幅営業減益だったが、主力のインソーシング・派遣事業において輸送用機器、住設機器、食品関連分野からの受注が堅調に推移して2桁増収だった。需要は高水準である。
売上総利益は同8.4%増加したが、売上総利益率は14.2%で同1.7ポイント低下した。また販管費は同18.5%増加したが、販管費比率は14.2%で同0.3ポイント低下した。営業外では為替差損益が改善(前期差損6百万円、今期差益32百万円)した。また営業外費用では株式交付費6百万円と株式公開費用14百万円が一巡した。
インソーシング・派遣事業は売上高が同9.5%増の44億53百万円で営業利益(連結調整前)が同10.9%増の4億10百万円、技術者派遣事業は売上高が同1.5%減の4億53百万円で営業利益が9百万円の赤字(前年同期は24百万円の黒字)、海外事業は売上高が6億31百万円で営業利益が10百万円の赤字、その他事業は売上高が同22.1%減の76百万円で営業利益が1百万円の赤字(同20百万円の黒字)だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期27億28百万円、第2四半期28億86百万円、営業利益は26百万円の赤字、30百万円だった。
■17年6月期通期は大幅増益予想で収益改善基調
今期(17年6月期)通期の連結業績予想(8月12日公表)は、売上高が前期(16年6月期)比22.7%増の119億63百万円、営業利益が同90.8%増の2億44百万円、経常利益が同3.8倍の2億44百万円、純利益が同9.1倍の1億32百万円としている。
インソーシング・派遣事業で採用体制(全国・外国人)を強化し、既存取引先増産への対応、新規取引先開拓を推進する。タイ子会社の通期連結も寄与して大幅増収増益予想である。
なお配当予想は前期比18円減配の年間20円(期末一括)としている。前期の年間38円には上場記念配当32円が含まれているため、普通配当ベースでは増配となる。配当性向は25.9%となる。
重点取組事項は、採用体制の強化、社員個々の能力向上、インソーシング化の推進、現場改善コンサルタントの増員、タイでの人材ビジネスの拡大としている。重点取組策が奏功して収益改善基調が期待される。
■株価は下値切り上げて底放れの動き
株価の動きを見ると安値圏でモミ合う展開だが、モミ合いレンジを900円台から1000円台に切り上げてきた。徐々に下値を切り上げる動きだ。
3月23日の終値1015円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS77円29銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1247円64銭で算出)は0.8倍近辺である。なお時価総額は約18億円である。
週足チャートで見ると、26週移動平均線が上向きに転じて下値を支える形だ。下値固めが完了して底放れの展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)