【新規上場(IPO)銘柄】マクロミルは再上場を機に取引拡大へ、新たな株主が登場するか注目

株式市場 IPO 鐘

 マクロミル<3978>(東1)は、3月22日に東京証券取引所市場第一部に再上場した。同社は2004年1月に東証マザーズに上場、05年1月に第一部に市場へ変更したが、米投資会社ベインキャピタル系のファンドが約500億円で買収し、14年4月に上場廃止となったが、ファンドの傘下で経営基盤を改めて強化し再上場。同社は日本において他社に先駆けてオンライン・マーケティング・リサーチを開始し、日本におけるオンライン・マーケティング・リサーチ市場において約30%のNo.1の市場シェアを有している。国内No.1の市場ポジションに加え、同社グループはグローバル・マーケティング・リサーチ企業として、日本において約120万人、グローバルで約1,000万人(2016年12月末現在)を超える良質な自社パネルを有するとともに、提携パネルの活用により約90か国にまたがるグローバル・パネル・ネットワークを有し、年間35,000件、取引社数3,800社を超える豊富なリサーチ実績とノウハウをもとに、顧客マーケティング課題解決に向けて、最適な提案を行っている。

 マーケティング・リサーチ企業のソリューション力を決定づける要素の一つが、データ・ラインアップだが、パネルから得られる回答結果に、保有する独自のデータ群を組み合わせ、分析することで、消費者インサイトを把握・抽出し、それを踏まえたソリューションを提供している。また、同社グループのデータ・ラインアップは、TV視聴ログ、インターネット上のWEB閲覧ログ、EC購買ログ等の「行動データ」、パネルのアンケート回答から得られる購入理由や満足度といった「意識データ」、人口統計データや心理特性データを含む「属性データ」から構成されているが、グローバル・パネル・ネットワークを活用することにより、同社グループの主要な顧客に対して、世界中の消費者インサイトを提供している。

 2017年6月期第2四半期業績実績は、売上高が173億7200万円(前期比7.6%増)、営業利益が39億5900万円(同32.0%増)、経常利益が31億1500万円(同57.5%増)、純利益が18億5000万円(同53.0%増)に着地。

 17年6月期業績予想は、売上高が358億円(前期比10.1%増)、営業利益が68億5000万円(同19.5%増)、経常利益57億9200万円(同41.7%増)、純利益が37億円(同30.6%増)を見込む。年間配当予想は期末一括5円を予定している。

 株価は、3月22日に公開価格1950円を4.3%下回る1867円で初値を付け、同日高値1874円と買われた後、モミ合っている。米投資会社ベインキャピタル系のファンドが筆頭株主で長期的な安定株主不在という見方から、公開価格を下回ったが、上場を機に資金調達の手段が多様化するほか、顧客からの信頼感が向上し、取引拡大や優秀な人材の獲得によって、高い成長が続くと期待される。新たな株主が登場するか、投資信託などの買いが入るかなどを視点に下値がどのあたりとなるか注目していきたい。(株式評論家・信濃川)

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