イワキは09年来の高値圏で堅調、日柄調整完了して上値試す、PBR0.6倍近辺

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 イワキ<8095>(東1)は医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社である。ジェネリック医薬品関連の好調や化学品事業の収益改善で17年11月期大幅営業増益、最終黒字化予想である。株価は09年来の高値圏で堅調に推移している。依然としてPBRは0.6倍近辺であり、日柄調整完了して上値を試す展開が期待される。

■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社

 医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社である。グループ内に医薬品製造・販売の岩城製薬、表面処理薬品製造・販売のメルテックスといったメーカー機能も備えている。

 事業区分は、医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造・販売、医薬品の製造・販売、体外診断薬・研究用試薬の卸売および医療機器の販売)、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造・販売、表面処理設備の製造・販売)、食品事業(食品原料の製造・販売)の4事業とし、4事業をさらに分解したBU(ビジネスユニット)を戦略単位としている。

 16年11月期売上構成比(連結調整前)は、医薬・FC事業39%(原料薬品26%、医薬品11%、その他特約2%)、HBC事業40%(HBC原料18%、ファルマネット18%、オリジナル製品4%)、化学品事業10%(表面処理薬品6%、スペシャリティマテリアル1%、表面処理設備2%)、食品事業7%である。

 17年1月には調剤薬局運営の連結子会社パートナー・メディカル・システムズの全株式を徳永薬局に譲渡した。経営資源の集中を推進する。

■卸売・商社・メーカー機能の連携を強化、天然界面活性剤市場に参入

 全国の医薬品卸・医療機関・ドラッグストアなどに医薬品や機能性食品などを供給する卸売機能、国内外のメーカーなどを開拓して輸出入する商社機能、グループ内に岩城製薬とメルテックスのメーカー機能を併せ持つことが強みで、卸売・商社・メーカー機能の連携を強化している。

 中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、インド・グレンマーク社など海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外(タイ、韓国、中国)展開強化、日立化成<4217>とのアライアンスによる拡販などを推進している。

 16年7月にはシンガポールのAllied Carbon Solutions(ASC社)と業務提携して天然界面活性剤市場に参入した。ASC社は非可食天然物「マフア」の種から抽出した油脂を発酵させて天然界面活性剤を製造する高度な技術を有している。ASC社がインドの子会社で商業生産化する天然界面活性剤「ACS-Sophor」を、医薬品・化粧品・健康食品・食品の事業分野において当社が優先的に販売する権利を得た。

■ジェネリック医薬品関連が牽引、化学品は新製品への切り替え途上

 四半期別の推移を見ると、14年11月期は売上高が第1四半期125億44百万円、第2四半期141億92百万円、第3四半期131億90百万円、第4四半期142億19百万円、営業利益が1億90百万円、4億24百万円、23百万円の赤字、2億99百万円だった。15年11月期は売上高が130億01百万円、145億15百万円、139億58百万円、139億48百万円、営業利益が90百万円、3億08百万円、1億46百万円、15百万円だった。

 15年11月期は、ジェネリック医薬品関連やインバウンド需要関連が牽引したが、化成品事業が15年3月の業務提携解消に伴って新規導入製品のプリント配線板用「ルーセントカパー」シリーズへの切り替えを進めているため減収となり、メルテックスの繰延税金資産取崩も影響して最終赤字だった。売上総利益率は19.4%で14年11月期比1.2ポイント低下、販管費比率は18.4%で同0.6ポイント低下した。配当は同1円50銭減配の年間6円(第2四半期末3円、期末3円)だった。

■16年11月期は大幅営業増益、ジェネリック医薬品関連が牽引

 16年11月期の連結業績は、売上高が15年11月期比0.5%減の551億21百万円、営業利益が同74.6%増の9億77百万円、経常利益が同54.3%増の10億71百万円、純利益が5億93百万円の赤字(15年11月期は1億43百万円の赤字)だった。化学品事業の減損損失計上で最終赤字だが、ジェネリック医薬品関連が牽引して計画超の大幅営業増益だった。

 売上総利益は同3.6%増加し、売上総利益率は20.2%で同0.8ポイント上昇した。販管費は同0.3%減少し、販管費比率は18.4%で同横ばいだった。営業外収益では有価証券償還益66百万円が一巡した。特別損失ではメルテックスが保有する固定資産について減損損失10億43百万円を計上した。配当は15年11月期と同額の年間6円(第2四半期末3円、期末3円)とした。

 セグメント別に見ると、医薬・FC事業は売上高が同9.8%増の213億28百万円、営業利益(連結調整前)が同39.7%増の12億92百万円だった。政府の後発医薬品使用促進策も追い風となり、原料および自社製品が大幅伸長した。HBC事業は売上高が同1.1%減の222億81百万円、営業利益が同59.7%減の74百万円だった。通販化粧品分野は堅調だったが、機能性食品原料におけるインバウンド対象商品が一段落し、積極的なプロモーション活動に伴う広告宣伝費の増加も影響した。

 化学品事業は売上高が同27.0%減の53億31百万円、営業利益が4億34百万円の赤字(前々期は5億56百万円の赤字)だった。表面処理薬品分野で新製品のプリント配線板用「ルーセントカパー」シリーズへの切り替え途上だが、営業赤字は縮小した。食品事業は売上高が同1.7%減の37億78百万円、営業利益が5百万円の赤字(同8百万円の赤字)だった。受託加工が低調だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期127億53百万円、第2四半期140億91百万円、第3四半期138億62百万円、第4四半期144億15百万円、営業利益は1億61百万円、1億70百万円、3億08百万円、3億38百万円だった。

■17年11月期大幅増益で最終黒字化予想、化学品も収益改善

 今期(17年11月期)連結業績予想(1月12日公表)は売上高が前期(16年11月期)比5.2%増の580億円、営業利益が同39.2%増の13億60百万円、経常利益が同30.6%増の14億円、純利益が8億40百万円(前期は5億93百万円の赤字)としている。営業利益は過去最高更新の見込みだ。

 なお2月24日に投資有価証券売却益2億19百万円の計上を発表している。和光純薬工業の自己株式取得に応じて3万株を売却した。

 配当予想は前期と同額の年間6円(第2四半期末3円、期末3円)としている。予想配当性向は23.8%となる。

 医薬・FC事業で政府の後発医薬品使用促進策も追い風となってジェネリック医薬品関連が伸長する。化学品事業は新規導入製品「ルーセントカパー」シリーズへの切り替え・採用が進展し、減価償却費減少も寄与して収益トントンへの回復を目指している。

 セグメント別の売上高計画は、医薬・FC事業が同3.3%増の220億円、HBC事業が同5.5%増の235億円、化学品事業が同19.8%増の63億円、食品事業が同3.6%増の39億円、その他が同1.5%減の23億円としている。

■グループ中長期ビジョンおよび新中期経営計画を策定

 創業111年を迎える25年11月期に向けて、グループ中長期ビジョン「Vision i-111」および新中期経営計画(16年11月期~18年11月期)を策定した。

 グループ中長期ビジョン「Vision i-111」では、基本戦略を、策揃え企業になる=Intelligent、ナンバーワン製品・事業に注力する=Innovative、海外市場への事業展開を図る=International、資本効率を意識した事業運営を行う=Investmentとして、数値目標には創業111周年25年11月期の連結売上高1000億円、ROIC10.0%以上を掲げた。

 新中期経営計画(16年11月期~18年11月期)では、これまで独立的に運営されていた事業部門をプロダクツごとのバリューチェーンに従って統合・運営するため、組織体系を4事業(医薬・FC事業、HBC事業、化学品事業、食品事業)に再構成し、数値目標には18年11月期売上高600億円、営業利益10億円、ROIC4.0%以上を掲げた。

 医薬・FC事業(イワキ、岩城製薬)では、原料の選定から最終製品の提供までを「策揃え」で提供するほか、国内外の医薬関連企業との協業を通して、さらなる市場拡大に努める。

 HBC事業(イワキ、アプロス)では、OEMやプライベート・ブランド製品の自社企画・提案を通して、国内の健康食品原料市場における高シェアを維持・拡大する。海外市場の開拓も推進する。化粧品通信販売では「シルキーカバーオイルブロック」の拡販を図る。

 化学品事業(メルテックス)では、高い技術力・ブランド力を持つIチップ抵抗向けスズめっき「メルプレートSN」シリーズの世界市場シェアNO.1を確保するとともに、15年から販売開始した大型新製品のプリント配線板向け硫酸銅めっき「ルーセントカパー」シリーズのグローバルシェア拡大を図る。

 食品事業(イワキ、持分法適用会社のボーエン化成)では、商品開発効率化、生産コスト低減、ボーエン化成における国産・高付加価値原料の受託加工強化などを推進する。海外展開に関してはハラル対応原料に特化したマーケティングを開始し、マレーシア、インドネシア、中近東諸国の市場開拓に注力する。

■株価は09年来の高値圏、日柄調整完了して上値試す

 株価の動きを見ると、好業績を評価して2月9日の高値318円まで急伸した。09年来の高値圏である。その後も300円近辺で堅調に推移している。

 3月27日の終値302円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS25円26銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS488円14銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約104億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して過熱感が解消した。依然としてPBRは0.6倍近辺であり、日柄調整完了して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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