ストリームは水準切り下げたがほぼ底値圏、18年1月期大幅増益予想で収益改善期待

 ストリーム<3071>(東マ)は、家電やパソコンなどのネット通販事業を主力として、新規事業のオンライン・ゲーム事業も本格している。また子会社エックスワンは化粧品販売事業を強化している。17年1月期は減益だったが、18年1月期は大幅増益予想で収益改善が期待される。株価は水準を切り下げたが、ほぼ底値圏だろう。

■家電製品やパソコンなどのネット通販が主力

 家電製品、パソコン、デジタルカメラなどを販売するネット通販サイト「ECカレント」「イーベスト」「特価COM」の運営(インターネット通販事業)を主力として、各種販売支援事業、オンライン・ゲーム事業、および14年2月扶桑化学工業<4368>から株式80%取得して子会社化したエックスワンの化粧品・健康食品販売事業を展開している。16年1月期の事業別売上高構成比(連結調整前)はインターネット通販事業89%、その他事業11%だった。

 なお17年1月期から事業セグメント区分をインターネット通販事業、ビューティー&ヘルスケア事業、その他事業(各種販売支援事業およびオンライン・ゲーム事業)に変更した。従来のその他事業をビューティー&ヘルスケア事業に名称変更し、従来のインターネット通販事業に含まれていた各種販売支援事業およびオンライン・ゲーム事業をその他事業とした。なお各種販売支援事業はラオックス<8202>の国内免税店37店舗において、訪日観光客向けエックスワン商品の店舗販売を支援している。

■インターネット通販事業はアイテム数充実や適正利益確保などを強化

 インターネット通販事業では売れ筋商材の確保、アイテム数の充実、在庫の適正化、適正利益の確保などを推進し、16年4月ネット通販サイト「ECカレント」および子会社イーベストのネット通販サイト「イーベストCD・DVD館」を、総合オンラインストアAmazon内の「Amazonマーケットプレイス」に新規出店した。

■ビューティー&ヘルスケア事業は新製品投入でインバウンド対応強化

 子会社エックスワンのビューティー&ヘルスケア事業は、免税店での販売強化や新製品の開発・投入を推進している。

 14年9月ラオックス<8202>と提携してエックスワンのコスメティック関連商品をラオックス免税店で販売開始、14年12月エックスワンの幹細胞コスメ・シリーズ「XLUXES(エックスリュークス)」の免税店舗販売でラオックス独占とした。17年1月期末時点でラオックス38店舗においてエックスワン商品を販売している。

 15年5月エックスワンが専用エステ・サロン「XLUXES AOYAMA」を青山・骨董通りに、幹細胞コスメ「XLUXES」を主力としたコスメ・ブティック「XLUXES GINZA」を銀座八丁目に路面店として開設した。16年4月には東京・青山に美容総合スクール「ビューティーマスターカレッジ(BMC)」を開校した。

 新商品では15年3月エックスワンがタカラバイオ<4974>の研究開発素材を用いた健康維持サプリ「Xフコイダン テルペン」を発売、15年8月エイジングケアサプリメント「XELESANTE(エックスエレサンテ) BioxSuiso(バイオックス水素)」を発売、16年1月液体栄養ドリンク「エックスワンVLゴールド」を発売した。

 16年6月には多様化するインバウンド需要に対応した新スキンケアシリーズ「ORIGAMI(オリガミ)」を発表し、大和撫子の代名詞として中国で人気の高い酒井法子さんをイメージキャラクターに起用した。

 16年11月には独自のpH調整によって地肌と毛髪をいたわりながらも短時間でしっかり染まるヘアカラートリートメント「xinno hair color(エクシーノヘアカラー)」を発売した。

 17年2月には幹細胞コスメ「XLUXES」シリーズから「エックスリュークス グラマラスリップクリーム」を新発売した。幹細胞コスメのパイオニアとして、顔の中で最もデリケートな唇のケアに、業界に先駆けて着目した。

 3月1日には、腸のぜん動運動とビフィズス菌に着目し、腸の機能をサポートするサプリメント「エックスワン するっとぽん」の新発売を発表した。

■オンライン・ゲーム事業も本格スタート

 オンライン・ゲーム事業も本格スタートしている。16年9月、DMM社および中国大手ゲーム系企業Youzu社が発表したスマホ向けゲームアプリ高速バトルRPG「三国ブレイズ」の配信にあたり、DMM社と共同で企画・運営を行うと発表した。

 全世界で6000万人が遊んだ本ゲームの国内配信にあたり、企画では言語関連を中心としたローカライズ、運営ではQA(品質保証)をはじめとしたユーザーサポートなどを担当する。

■売上総利益率改善基調、エックスワンの収益は第4四半期偏重の傾向

 四半期別業績推移を見ると、16年1月期の売上高は第1四半期58億32百万円、第2四半期59億12百万円、第3四半期51億24百万円、第4四半期61億50百万円、営業利益は93百万円、1億37百万円、37百万円、1億08百万円だった。なおエックスワンの会員収入が期末に集中するため、エックスワンの収益は第4四半期の構成比が高くなる季節要因がある。

 16年1月期は、インターネット通販事業が品揃え強化や売上総利益率上昇などで15年1月期比11.6%増収、同9.3%営業増益、その他事業がインバウンド需要を追い風に同47.5%増収、同2.6倍営業増益と好調に推移した。

 売上総利益は同25.1%増加し、売上総利益率は20.9%で同2.0ポイント上昇した。販管費は同24.4%増加し、販管費比率は19.3%で同1.8ポイント上昇した。特別利益では負ののれん発生益が一巡し、特別損失では情報セキュリティ対策費や事務所移転費用などが一巡した。ROEは20.2%で同4.4ポイント低下、自己資本比率は34.0%で同1.9ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

■17年1月期は計画未達で減収減益だが売上総利益率改善

 前期(17年1月期)の連結業績(3月7日に売上高、利益とも減額修正)は、売上高が前々期(16年1月期)比4.3%減の220億25百万円、営業利益が同49.9%減の1億87百万円、経常利益が同54.0%減の1億73百万円、純利益が同71.8%減の85百万円だった。

 インターネット通販事業の売上が計画を下回り、各種販売支援事業の棚卸資産である訪日観光客用の国際通話用テレフォンカードの評価損計上、オンライン・ゲーム事業における追加イベント施策による広告宣伝費の増加などで計画未達となり、大幅減益だった。

 売上総利益は同0.7%増加し、売上総利益率は22.0%で同1.2ポイント上昇した。販管費は同5.0%増加し、販管費比率は21.2%で同2.0ポイント上昇した。ROEは5.0%で同15.2ポイント低下、自己資本比率は36.7%で同2.7ポイント上昇した。配当は無配を継続した。

 セグメント別(新セグメントのため前々期との比較なし)に見ると、インターネット通販事業は売上高が188億24百万円で営業利益(連結調整前)が2億53百万円、ビューティー&ヘルスケア事業は売上高が23億72百万円で営業利益が1億47百万円、その他事業は売上高が8億29百万円で営業利益が11百万円だった。

 インターネット通販事業の商品カテゴリ別売上は家電が1.3%減収、パソコンが8.9%増収、周辺機器・デジタルカメラが12.5%減収、その他が2.9%増収だった。

 またビューティー&ヘルスケア事業の売上高内訳はパーソナルケア(化粧品)が3.9%減の18億47百万円、ヘルスケア(健康食品)が10.4%減の3億55百万円、その他が3.3%減の1億82百万円だった。ビューティー&ヘルスケア事業の直営店売上は伸長したが、国内免税店における店舗販売は訪日観光客のニーズ変化で購買単価が下落した。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期55億62百万円、第2四半期57億33百万円、第3四半期46億03百万円、第4四半期61億27百万円、営業利益は92百万円、46百万円、31百万円の赤字、80百万円だった。

■18年1月期大幅増益予想で収益改善期待

 今期(18年1月期)連結業績予想(3月14日公表)は売上高が前期(17年1月期)比7.4%増の236億54百万円、営業利益が同57.6%増の2億96百万円、経常利益が同59.9%増の2億77百万円、そして純利益が同2.4倍の2億08百万円としている。

 インターネット通販事業では売れ筋商材の確保、アイテム数の充実、在庫の適正化を推進し、サイトリニューアルも実施予定としている。子会社エックスワンでは会員数拡大、訪日観光客のニーズに合った製品の供給を促進する。売上利益率改善も寄与して大幅増益予想としている。

 売上総利益率は同1.1ポイント上昇の23.1%、販管費比率は同0.6ポイント上昇の21.8%の計画としている。収益改善が期待される。なお配当予想は無配継続としている。

■20年東京五輪に向けてテレビ買い替え需要も期待

 重点戦略として、インターネット通販事業ではWEBマーケティングによる販促強化、販売効率の向上、販売価格の適正化と粗利益の確保などの施策を強化し、子会社エックスワンでは、訪日外国人旅行客をターゲットとする免税店での販売強化、新製品の開発・販売を推進する。20年東京夏季五輪に向けてテレビ買い替え需要も期待される。

■株主優待制度は1月期末に実施

 株主優待制度については毎年1月31日現在の株主に対して実施している。優待内容は100株以上~2500株未満所有株主に対して優待割引券1枚(1000円相当)、2500株以上~5000株未満所有株主に対して優待割引券3枚(3000円相当)、5000株以上所有株主に対して優待割引券5枚(5000円相当)を贈呈する。

■株価は水準切り下げたがほぼ底値圏

 株価の動きを見ると、水準を切り下げる展開で3月28日には120円まで調整する場面があった。ただし16年2月の昨年来安値113円に接近してほぼ底値圏だろう。

 3月28日の終値122円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS7円65銭で算出)は16倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS64円55銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約35億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、調整一巡して反発が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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