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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エスアールジータカミヤは高値圏から急反落だが悪材料見当たらず売られ過ぎ
- 2015/2/9 07:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
建設用仮設機材のエスアールジータカミヤ<2445>(東1)は、2月5日に第3四半期累計(4月~12月)業績と、今期(15年3月期)期末配当予想の増額修正を発表した。株価は業績発表前後に高値圏から急反落したが、特に悪材料は見当たらず売られ過ぎ感を強めている。目先的な売りが一巡して切り返しの展開だろう。
建築・土木・橋梁用仮設機材、移動昇降式足場「リフトクライマー」や、子会社ホリーの太陽光パネル架台などの販売・レンタル事業を展開している。戦略商品として作業環境改善・作業効率向上につながる次世代足場「Iq(アイ・キュー)システム」の拡販を推進している。
グループ力強化に向けた動きも積極化している。14年4月に海洋土木・港湾分野に実績を持つ土木・建築用仮設資材のアサヒ工業(大阪市)を子会社化した。14年7月にはホリーのベトナム新工場が竣工した。14年11月にはASEAN地域への事業展開に向けた地域統括会社として、タイに子会社SRGグローバル・ホールディングスを設立した。
また14年12月には、15年4月予定で子会社ホリーの仮設営業部門を当社に移管して、仮設事業に関連する営業部門を統合すると発表した。グループの経営資源を集約して仮設事業におけるシナジーを高める戦略だ。
2月5日に発表した今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.2%増の254億33百万円、営業利益が同12.1%増の23億61百万円、経常利益が同23.9%増の26億04百万円、純利益が同34.1%増の16億06百万円だった。
セグメント別に見ると、販売事業は同19.9%増収、同34.8%営業増益、レンタル事業は同9.5%増収、同12.2%営業増益と、いずれも好調に推移した。次世代足場「Iq(アイ・キュー)システム」の新規導入も順調に増加しているようだ。
通期の連結業績見通しは前回予想(5月9日公表)を据え置いて、売上高が前期比11.1%増の360億30百万円、営業利益が同25.8%増の38億40百万円、経常利益が同23.1%増の37億円、純利益が同25.9%増の22億27百万円としている。
配当予想については2月2日に増額修正を発表した。前回予想(15年1月1日付の株式2分割に伴って、11月28日に期末配当予想を13円から6円50銭に修正したが実質的に変更なし)に対して、期末配当予想に東証1部指定記念配当2円50銭を増額して9円とした。株式2分割を遡及して年間ベースに換算すると、今期は年間12円50銭(第2四半期末3円50銭、期末9円)となり、前期の年間6円50銭(第2四半期末2円50銭、期末4円)に対して実質的に6円増配となる。
通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.6%、営業利益が61.5%、経常利益が70.4%、純利益が72.1%である。建設関連で第4四半期(1月~3月)の構成比が高くなる収益構造を考慮すれば高水準と言えるだろう。
受注残高は高水準であり、クランプ、クサビ式住宅用足場、移動昇降式足場「リフトクライマー」などに加えて、メガソーラー向け太陽光パネル設置架台などの需要が好調に推移している。次世代足場「Iqシステム」の拡販も本格化している。レンタル資産の稼働率向上・効率的運用、レンタル価格の上昇、販管費圧縮などの効果も寄与する。通期会社見通しは工事現場における人手不足の影響などを考慮しているが、増額の可能性が高いだろう。
14年5月に発表した中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では、目標数値に17年3月期売上高450億円、営業利益52億円、経常利益50億円、純利益31億円、経常利益率10%以上、自己資本比率35%、ROE2桁台維持などを掲げている。震災復興、社会インフラ補修・更新、都市再開発、学校や高層マンションの耐震補強、20年東京夏季五輪、リニア新幹線などを背景に事業環境は良好であり、中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動き(14年12月5日付で東証1部市場指定、15年1月1日付で株式2分割)を見ると、1月30日に1190円まで上伸して1月5日の高値1197円に接近したが、2月2日に981円、3日に947円まで急落し、さらに第3四半期累計業績発表後の6日には870円まで急落した。
東証1部指定に伴うTOPIX型ファンドへの組み入れに係る思惑が一巡して、利益確定売りを急いだ可能性がありそうだが、特に個別の悪材料は見当たらず売られ過ぎ感を強めている。
2月6日の終値890円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS49円66銭で算出)は18倍近辺、今期予想配当利回り(株式2分割を換算した実質年間12円50銭で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS213円24銭で算出)は4.2倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が17%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると一気に13週移動平均線を割り込んで26週移動平均線に接近した。ただし目先的な売りが一巡し、今期業績増額の可能性や中期成長力を評価して切り返し展開だろう。