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インテージホールディングスは17年3月期増益・4期連続増配予想、18年3月期も収益拡大期待
- 2017/4/19 07:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
インテージホールディングス<4326>(東1)は市場調査の国内最大手である。消費財・サービス分野のマーケティング支援事業が好調に推移し、17年3月期増益・4期連続増配予想である。そして18年3月期も収益拡大が期待される。なお4月14日には、みらい創造機構が「みらい創造一号投資事業有限責任組合」へ出資したと発表している。また子会社アンテリオが4月19日~21日開催の「ヘルスケアIT2017」に出展する。株価は2月の上場来高値から反落したが、ビッグデータ・AI(人工知能)関連としても注目され、調整一巡して上値を試す展開が期待される。5月12日に17年3月期決算発表を予定している。
■市場調査大手の持株会社、システムソリューションなども展開
子会社インテージが展開するSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)など、国内首位の市場調査事業を主力として、システムソリューション分野や医薬情報分野にも展開している。
16年10月アメリカマーケティング協会(AMA)の「THE 2016 AMA GOLD GLOBAL TOP25 REPORT」でグローバルマーケティングリサーチ企業25社が発表され、インテージグループは前年に続いて世界9位にランクインした。
収益力強化に向けたグループ再編を推進し、14年6月子会社アスクレップの臨床開発事業を承継したエーケーピーを伊藤忠商事<8001>に譲渡、15年4月コンサルティング事業を強化するため子会社インテージコンサルティングを設立、15年10月子会社インテージがビッグデータのクリーニング・分析・価値化を図るIXT(イクスト)を設立、16年4月アンテリオの定性調査等のフィールド業務をプラメドに移管して医師パネルの管理・運用およびフィールド業務全般をプラメドに集約した。
16年3月期のセグメント別売上構成比は、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業(事業会社インテージ、インテージリサーチ、アクセス・ジェーピー、海外子会社)66%、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業(事業会社アンテリオ、アスクレップ、医療情報総合研究所、プラメド)21%、ITソリューション分野のビジネスインテリジェンス事業(事業会社インテージテクノスフィア)13%である。
なお子会社アンテリオが、4月19日~21日開催(東京ビッグサイト)の「ヘルスケアIT2017」に出展する。
■M&A・アライアンス戦略で業容拡大
国内外における積極的なM&A戦略で業容を拡大している。11年9月ベトナムの市場調査会社FTA、12年9月医療情報総合研究所、12年11月医療関連インターネット調査会社プラメド、13年8月香港の市場調査会社CSG香港を子会社化した。14年5月子会社INTAGE INDIAがインドの市場調査会社RSMRS社をグループ化した。
アライアンス戦略では、12年4月NTTドコモ<9437>と合弁会社ドコモ・インサイトマーケティング設立、13年10月韓国の業界4位の市場調査会社Hankook Researchと包括的事業協力を締結、13年11月インドネシアの市場調査会社DEKA社と合弁会社を設立、14年10月医薬品有害事象情報システムの京都コンステラ・テクノロジーズと資本業務提携、世界的な情報・調査企業であるニールセンの消費者購買行動分析部門ニールセン・カンパニー合同会社とパートナーシップを締結してインテージ・ニールセン・デジタルメトリクス(INDIGIM)を設立した。
15年7月クロスコンパス・インテリジェンスと資本業務提携、16年3月AGSと業務提携して子会社インテージテクノスフィアとAGSの共同出資による合弁会社を設立、16年4月みずほ銀行、インテージ、NHNテコラス、データセクションの4社協働で14年4月発足したデータエクスチェンジコンソーソアム(DXC)がビッグデータ利活用の実証試験を開始した。
16年7月マーケティングアプリケーションズ(MApps)とインターネットリサーチで活用されるリサーチプラットフォームの事業展開に関して資本・業務提携し、アドウェイズと中国越境EC市場データ事業領域において業務提携した。16年8月インテージがウィーバーズと共創支援事業と生活者発信データ事業における資本・業務提携し、高速データ処理アルゴリズムで68件の特許を保有する高速屋と資本業務提携した。
16年10月SBIインベストメントと共同で、当社グループの既存事業分野およびAIやIoTなど事業シナジーが見込まれる新規事業分野を投資対象とする新たなプライベートファンド「INTAGE Open Innovation Fund」を設立した。17年1月には子会社インテージが、アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)、電通デジタル・ファンド、マイナビの3社と資本業務提携した。
3月28日には、プライベートファンド「INTAGE Open Innovation Fund」が、インテージグループ社員が設立した社内ベンチャーであるクロスボーダーエイジに投資したと発表している。
4月14日には、みらい創造機構が「みらい創造一号投資事業有限責任組合」へ出資したと発表している。国立大学法人東京工業大学との社会連携活動の推進に向けた組織的連携協定に基づき設立したファンドで、東京工業大学が有するビッグデータ解析、AI、IoT、ロボティクスや新材料領域の技術・ノウハウを活用しながら、新たな事業化とベンチャー創出を推進する。
■期後半の構成比が高い収益構造
四半期別の業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期91億78百万円、第2四半期101億60百万円、第3四半期107億98百万円、第4四半期137億89百万円、営業利益が2億71百万円、10億46百万円、12億52百万円、10億02百万円、16年3月期は売上高が93億27百万円、110億16百万円、114億11百万円、137億27百万円、営業利益が4億02百万円、9億17百万円、13億45百万円、12億19百万円だった。期後半の構成比が高い収益構造である。
16年3月期は関係会社売却益一巡で最終減益だが、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業、ヘルスケア分野のマーケティング支援事業が好調に推移して営業増益だった。売上総利益は15年2月期比0.2%増加したが、売上総利益率は26.9%で同0.9ポイント低下した。販管費は同3.4%減少し、販管費比率は18.3%で同1.4ポイント低下した。
特別利益では関係会社売却益29億11百万円が一巡した。ROEは11.4%で同2.0ポイント低下、自己資本比率は57.5%で同1.8ポイント低下した。配当は同2円50銭増配の年間32円50銭(期末一括)で配当性向は28.1%だった。利益配分については、配当と内部留保のバランスを考慮した利益配分を行うことを基本方針とし、連結配当性向30%を目安にしている。
セグメント別に見ると、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が同3.9%増の300億80百万円、営業利益が同6.8%増の20億45百万円だった。売上高の内訳はパネルが同0.8%増の125億98百万円、CR-既存が同13.7%増の40億71百万円、CR-Webが同11.1%増の43億01百万円、Coが同37.1%増の25億01百万円、海外が同14.6%増の37億44百万円、その他が同26.8%減の28億63百万円だった。
ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が同3.5%増の97億34百万円、営業利益が同18.2%増の13億65百万円だった。売上高の内訳はパネルが同0.3%増の23億26百万円、CR-既存が同24.4%増の8億05百万円、CR-Webが同6.4%増の20億43百万円、CROが同5.0%増の38億60百万円、その他が同16.8%減の6億97百万円だった。
ビジネスインテリジェンス事業は売上高が同2.0%増の56億65百万円、営業利益が同5.5%減の4億71百万円だった。売上高の内訳は、国内CG&Sが同2.9%増の32億06百万円、ヘルスケアが同0.7%増の24億58百万円だった。
■17年3月期第3四半期累計は増収増益で順調
前期(17年3月期)第3四半期累計(4~12月)連結業績は、売上高が前年同期比3.9%増の330億05百万円、営業利益が同5.5%増の28億09百万円、経常利益が同7.7%増の29億19百万円、純利益が同22.1%増の19億88百万円だった。主力の消費財・サービス分野のマーケティング支援事業の好調が牽引して増収増益だった。
売上総利益は同8.7%増加し、売上総利益率は28.1%で同1.3ポイント上昇した。販管費は同10.2%増加し、販管費比率は19.6%で同1.1ポイント上昇した。営業外費用では持分法投資損益が改善(前期は損失8百万円、今期は利益57百万円)した。特別損失では前期計上の関係会社株式評価損1億21百万円が一巡した。
セグメント別に見ると、消費財・サービス分野のマーケティング支援事業は売上高が同2.9%増の212億84百万円で営業利益が同20.2%増の13億49百万円だった。パネル調査およびカスタムリサーチのインターネット調査が堅調に推移した。
ヘルスケア分野のマーケティング支援事業は売上高が同8.1%増の79億81百万円で営業利益が同3.9%減の12億65百万円だった。アスクレップの医薬品製造販売後調査、アンテリオのカスタムリサーチのインターネット調査が好調だったが、新規事業への投資増加で減益だった。
ビジネスインテリジェンス事業は売上高が同1.3%増の37億39百万円で営業利益が同13.0%減の1億94百万円だった。ヘルスケアおよび旅行分野が堅調だったが、AIを活用した新規事業投資で減益だった。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期98億57百万円、第2四半期115億91百万円、第3四半期115億57百万円、営業利益は4億92百万円、8億81百万円、14億36百万円だった。
■17年3月期増収増益・4期連続増配予想、18年3月期も収益拡大期待
前期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前々期(16年3月期)比5.5%増の480億円、営業利益が同8.2%増の42億円、経常利益が同7.7%増の42億50百万円、純利益が同13.9%増の26億50百万円としている。配当予想は同2円50銭増配の年間35円(期末一括)としている。4期連続の増配で推定配当性向は26.6%となる。
セグメント別の計画については、消費財・サービス分野マーケティング支援事業の売上高が同4.7%増の315億円、営業利益が同12.4%増の23億円、ヘルスケア分野マーケティング支援事業の売上高が同7.9%増の105億円、営業利益が同4.0%増の14億20百万円、そしてビジネスインテリジェンス事業の売上高が同5.9%増の60億円、営業利益が同1.7%増の4億80百万円としている。
インテージのSCI(全国個人消費者パネル調査)やi-SSP(インテージシングルソースパネル)、医療情報総合研究所の処方情報分析サービス、カスタムリサーチではアンテリオのヘルスケア関連インターネット調査などが好調に推移する。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.8%、営業利益が66.9%、経常利益が68.7%、純利益が75.0%でやや低水準の形だが、期後半の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならない。通期でも好業績が予想される。そして今期(18年3月期)も収益拡大が期待される。
■中期計画で戦略的投資を加速
第11次中期経営計画では、グループ基本方針を「リノベーション&イノベーションのさらなる加速」として、戦略ポイントには、新セグメントの導入、グループインフォーメーションの再編、グループ成長実現のための戦略的投資、海外事業トータルでの黒字化とガバナンス強化、メディアコミュニケーション事業の着実な成長を掲げている。
新たな成長エンジン創出のための戦略的投資では、DeepLearning技銃を活用した新サービス領域の創出、ビッグデータのクリーニング・分析・価値化を図る子会社IXT(イクスト)の設立(15年10月)などを推進している。
■株価は調整一巡して上値試す
株価の動きを見ると、2月の上場来高値2339円から反落し、地合い悪化も影響して水準を切り下げた。ただし4月13日の1891円から切り返し、4月17日と18日には2000円台を回復する場面があった。調整が一巡したようだ。
4月18日の終値1995円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS132円75銭で算出)は15倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間35円で算出)は1.8%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS1060円17銭で算出)は1.9倍近辺である。時価総額は約401億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだ水準で下げ渋る形だ。ビッグデータ・AI関連としても注目され、調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)