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立花エレテックは自律調整一巡して上値試す、18年3月期収益拡大期待でPBR0.6倍
- 2017/4/20 06:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
立花エレテック<8159>(東1)は産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。17年3月期は営業微減益予想だが、18年3月期は需要回復して収益拡大が期待される。株価は3月の年初来高値から一旦反落したが、0.6倍近辺の低PBRなど指標面の割安感も見直し材料であり、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。なお5月12日に17年3月期決算発表を予定している。
■産業用機器・電子部品を扱う技術商社
産業用機器・電子部品などを扱う技術商社である。仕入先は三菱電機<6503>および三菱電機グループが合計で約7割を占めている。
業容拡大に向けて、10年FA機器専門商社の大電社を連結子会社化、12年関東圏地盤のFA機器専門商社の高木商会を持分法適用会社化、13年子会社の立花デバイスコンポーネントを設立してルネサスエレクトロニクス販売からコンポーネント事業と半導体製品再販事業を譲り受け、14年高木商会を完全子会社化した。海外は子会社8社合計14拠点で中国および東南アジアに展開(16年9月末現在)している。
事業セグメントは、FAシステム事業(プログラマブルコントローラー、インバーター、産業用ロボットなど)を主力として、半導体デバイス事業(半導体、電子デバイスなど)、施設事業(空調機器、LED照明、太陽光発電システム、昇降機など)、産業デバイスコンポーネント事業(コネクタ、タッチパネルモニター、監視カメラなど)、その他(ソリューション事業、MS事業など)を展開している。その他の中のMS(マニュファクチャリング・サービス)事業とは、金属加工の製造受託(MMS)と電子機器の製造受託(EMS)を統合した事業である。
16年3月期のセグメント別売上高構成比はFAシステム事業が51%、半導体デバイス事業が30%、施設事業が8%、産業デバイスコンポーネント事業が7%、その他が4%だった。営業利益構成比はFAシステム事業が74%、半導体デバイス事業が21%、施設事業が3%、産業デバイスコンポーネント事業が4%、その他が-2%だった。
■2021年の創立100周年に向けて連結売上高2200億円目指す
技術商社の強みを活かして海外ビジネスの拡大、グループシナジーの追求、事業領域の拡大、営業力強化と体質改善を推進している。
16年3月期を初年度とする6ヶ年中長期経営計画「C.C.J2200」では、2021年の創立100周年を見据えて確固たる基盤を持った電機・電子の一大技術商社を目指し、目標数値に21年3月期の連結売上高2200億円(単体1400億円、国内子会社460億円、海外子会社440億円、消去100億円)、連結営業利益75億円を掲げている。
その他の目標値としては21年3月期末従業員数1530人、6年間の総投資額87億円(人件費の累計)、21年3月期ROE8%以上を掲げている。基本戦略および事業戦略の推進のため人材採用・確保を強化する。営業面では東京・名古屋の市場開拓、自社保有技術の蓄積によるシステムソリューションビジネスを強化する。
■企業の設備投資動向が影響
四半期別業績推移を見ると、16年3月期は売上高が第1四半期376億24百万円、第2四半期418億36百万円、第3四半期406億74百万円、第4四半期420億08百万円、営業利益が10億19百万円、15億71百万円、17億円、13億26百万円だった。FAシステム事業および施設事業は企業の設備投資動向が影響し、第2四半期(7~9月)および第4四半期(1~3月)の構成比が高くなる季節要因もある。
16年3月期は特別利益が一巡して最終減益だったが、FAシステム事業の好調が牽引して2桁増収・営業増益だった。売上総利益は同14.0%増加し、売上総利益率は13.3%で同0.5ポイント上昇した。販管費は同13.4%増加し、販管費比率は9.8%で同0.3ポイント上昇した。特別利益では15年3月期計上の子会社化関連損益15億99百万円が一巡した。
またROEは6.8%で同4.1ポイント低下、自己資本比率は55.8%で同2.6ポイント上昇した。配当は15年3月期比3円増配の年間26円(第2四半期末12円)で配当性向は18.2%だった。
FAシステム事業は売上高が同18.4%増の820億44百万円で営業利益が同27.1%増の41億53百万円、半導体デバイス事業は売上高が同5.1%減の488億01百万円で営業利益が同2.0%減の11億60百万円、施設事業は売上高が同6.0%増の134億25百万円で営業利益が同16.4%減の1億75百万円、産業用デバイスコンポーネント事業は売上高が同62.8%増の110億94百万円で営業利益が同57.4%増の2億50百万円、その他は売上高が同6.0%減の67億75百万円で営業利益が1億22百万円の赤字(15年3月期は38百万円の黒字)だった。
■17年3月期第3四半期累計は減収減益
前期(17年3月期)第3四半期累計(4~12月)連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の1135億98百万円、営業利益が同19.0%減の34億76百万円、経常利益が同17.6%減の37億20百万円、純利益が同10.4%減の26億78百万円だった。
国内子会社における一部商流変更の影響、円高による海外子会社の為替換算影響などで減収となり、先行投資に伴う人件費の増加も影響して減収減益だった。売上総利益は同4.9%減少したが、売上総利益率は13.3%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同0.4%増加し、販管費比率は10.2%で同0.6ポイント上昇した。特別利益には投資有価証券売却益1億76百万円を計上した。
FAシステム事業は売上高が同3.9%減の593億08百万円で営業利益が同24.8%減の24億42百万円だった。FA機器分野は堅調だったが、産業機械分野は政府補助金活用で前期大幅伸長した反動で減少した。半導体デバイス事業は売上高が同9.5%減の335億09百万円で営業利益が同1.1%減の9億72百万円だった。国内半導体は堅調だったが、海外が円高も影響して減収だった。
施設事業は売上高が同1.4%増の86億29百万円で営業利益が63百万円(前年同期は23百万円の赤字)だった。業務用空調機器、エコキュート、昇降機が好調だった。産業用デバイスコンポーネント事業は売上高が同4.3%減の78億14百万円で営業利益が同5.6%減の1億72百万円だった。コネクタが減少した。その他は売上高が同8.2%減の43億35百万円で営業利益が1億74百万円の赤字(同1億01百万円の赤字)だった。MS事業は国内案件が堅調だったが、立体駐車場向け金属部材が減少した。
なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期343億94百万円、第2四半期416億38百万円、第3四半期375億66百万円、営業利益は6億88百万円、15億62百万円、12億26百万円だった。
■17年3月期通期営業微減益予想だが18年3月期収益拡大期待
前期(17年3月期)通期の連結業績予想(5月12日公表)は、売上高が前々期(16年3月期)比3.0%増の1670億円、営業利益が同2.1%減の55億円、経常利益が同2.4%減の56億円、純利益が同0.9%増の37億50百万円としている。配当予想(11月7日に増額修正)は、同2円増配の年間28円(第2四半期末13円、期末15円=普通配当13円+記念配当2円)で、予想配当性向は19.0%となる。
なおセグメント別売上高の計画は、FAシステム事業が856億円、半導体デバイス事業が488億円、施設事業が150億円、産業デバイスコンポーネント事業が112億円、その他が64億円としている。通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.0%、営業利益が63.2%、経常利益が66.4%、純利益が71.4%である。
今期(17年3月期)は営業微減益予想だが、来期(18年3月期)は収益拡大が期待される。
■株価は自律調整一巡して上値試す、0.6倍近辺の低PBRも見直し
株価の動きを見ると、3月28日の年初来高値1453円から反落したが、大きく下押すことなく、1300円近辺で下げ渋る形だ。
4月19日の終値1310円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS147円64銭で算出)は8~9倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間28円で算出)は2.1%近辺、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS2159円10銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約341億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋り、大勢として1300円~1400円近辺でのボックス展開の形だが、0.6倍近辺の低PBRなど指標面の割安感も見直し材料であり、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)