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ソーバルは自律調整一巡して上値試す、18年2月期2桁営業増益・連続増配予想
- 2017/4/24 06:50
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ソーバル<2186>(JQ)は組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開し、IoT分野も強化している。18年2月期は新規顧客開拓やM&A効果などで2桁営業増益・連続増配予想である。株価は2月の上場来高値から利益確定売りで一旦反落したが、自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■組み込みソフト開発などエンジニアリング事業を展開
組み込みソフト開発、ウェブ・スマホアプリ開発、ハードウェア設計・開発などのエンジニアリング事業を展開している。技術力と経験豊富な人材を合わせ持つ国内有数の独立系組み込みソフト開発企業で、M&Aも活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、人材の確保を推進している。
15年5月車載システム開発や生産ライン制御システム開発などに強みを持つアンドールシステムサポートを子会社化、16年5月オムロン<6645>向けを主力とする子会社MCTEC(12年9月子会社化した旧モバイルコンピューティングテクノロジーズ)を吸収合併した。RFID事業は15年3月アートファイネックスに譲渡して経営資源をエンジニアリング事業に集中している。
なお17年4月1日付でユビキタス社からサービス&ソリューション事業を譲り受けた。IoT分野の展開を強化する。
■優良な大口顧客と強固な信頼関係、新規顧客開拓も進展
優良な大口顧客を抱えていることも特徴である。16年2月期の主要顧客別売上高構成比はキヤノン<7751>グループ58.4%(15年2月期63.3%)、ソニー<6758>グループ10.8%(同11.9%)、富士通<6702>グループ9.8%(同8.5%)、NTT<9432>グループ3.1%(同3.7%)、その他17.9%(同12.6%)だった。
キヤノングループは売上高を維持しているが、新規顧客開拓が進展して構成比は低下傾向である。その他は、アンドールシステムサポート社の貢献や新規受託開発案件の増加などで顧客層が拡大し、売上高・構成比とも上昇傾向である。既存取引先との信頼関係を一層強固なものとしつつ、継続的な新規顧客開拓も進展している。17年2月期は日立グループとの取引を開始して自動車関連への展開を加速している。
■収益拡大基調
四半期別業績推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期17億74百万円、第2四半期16億86百万円、第3四半期17億65百万円、第4四半期16億95百万円、営業利益が2億01百万円、70百万円、1億73百万円、1億07百万円、16年2月期は売上高が17億69百万円、19億68百万円、19億63百万円、20億17百万円、営業利益が1億79百万円、1億53百万円、1億56百万円、1億22百万円だった。15年2月期第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因が影響したが、収益拡大基調である。
16年2月期は受託開発案件の受注拡大、新規顧客開拓、アンドールシステムサポート新規連結、各プロジェクトにおける品質・納期・コスト管理徹底、本社移転による作業効率化や各種ノウハウ共有化、新卒・若手エンジニアの育成と技術力底上げなどで計画超の2桁増収増益だった。
売上総利益は15年2月期比11.8%増加し、売上総利益率は20.9%で同横ばいだった。販管費は同12.4%増加し、販管費比率は13.0%で同0.1ポイント上昇した。またROEは14.9%で同1.4ポイント上昇、自己資本比率は72.5%で同1.7ポイント上昇した。配当は同8円増配の年間39円(第2四半期末19円、期末20円)で配当性向は41.8%だった。利益配分は内部留保の充実を図りながら、安定的かつ継続的に増加させていくことを基本方針としている。
■17年2月期は計画未達で増収だが減益
前期(17年2月期)連結業績は、売上高が前々期(16年2月期)比2.6%増の79億14百万円、営業利益が同19.2%減の4億93百万円、経常利益が同19.5%減の5億円、純利益が同11.2%減の3億47百万円だった。
売上高、利益とも計画未達となり、増収だが減益だった。既存有力顧客からの受注増加、新規顧客の獲得、受託開発比率の引き上げ、AI(人工知能)・自動運転関連への技術参画、アンドールシステム子会社化などで増収だが、一部案件での不採算プロジェクトの発生、新卒社員の売上寄与遅れなどが影響した。
売上総利益は同7.4%減少し、売上総利益率は18.9%で同2.0ポイント低下した。販管費は同0.3%減少し、販管費比率は12.6%で0.4ポイント低下した。営業外収益では受取保険金16百万円を計上し、営業外費用では退職給付費用16百万円を計上した。
ROEは12.6%で同2.3ポイント低下した。自己資本比率は77.8%で同5.3ポイント上昇した。配当は同3円増配の年間42円(第2四半期末21円、期末21円)とした。配当性向は50.2%である。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期20億46百万円、第2四半期19億62百万円、第3四半期18億93百万円、第4四半期20億13百万円、営業利益は1億36百万円、1億16百万円、1億10百万円、1億31百万円だった。
■18年2月期2桁営業増益・連続増配予想
今期(18年2月期)連結業績予想(4月12日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比2.6%増の81億20百万円、営業利益が同15.5%増の5億70百万円、経常利益が同13.8%増の5億69百万円、純利益が同9.6%増の3億81百万円としている。
需要が高水準であり、既存顧客との取引ボリューム維持・拡大やM&A効果に加えて、人材育成効果、プロジェクト管理徹底効果も寄与して好業績が期待される。配当予想は同3円増配の年間45円(第2四半期末22円、期末23円)で、予想配当性向は48.2%となる。
■受注環境良好でM&A戦略も推進
製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。人材やパートナー企業の確保が課題だが、受注環境は中期的にも良好である。
こうした事業環境に対応して、販路拡大、多角的収益構造の構築、エンジニアのワーク・ライフ・バランスの充実、エンジニアの技術力向上、プロジェクトマネージャー・プロジェクトリーダーの育成、精度の高いプロジェクト管理、積極的なM&A戦略などの施策を推進している。中期的にも収益拡大基調が期待される。
■株主優待制度は毎年8月末に実施
株主優待制度については、毎年8月31日現在で1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。100株以上~500株未満保有株主に対して500円相当のQUOカード、500株以上保有株主に対して2000円相当のQUOカードを贈呈する。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価の動きを見ると、2月の上場来高値1550円から利益確定売りで一旦反落したが、1300円台から切り返す動きだ。自律調整が一巡したようだ。
4月21日の終値1386円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS93円33銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は3.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS679円79銭で算出)は2.0倍近辺である。時価総額は約58億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)