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トレジャー・ファクトリーは売り一巡して出直り期待、18年2月期2桁増収増益予想
- 2017/4/25 06:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トレジャー・ファクトリー<3093>(東1)はリユースショップを展開し、既存店強化、多店舗展開、新業態開発、買い取り強化を積極推進している。18年2月期2桁増収増益予想で、中期的にも収益拡大基調が期待される。株価は水準を切り下げたが、売り一巡して出直り展開が期待される。
■リユースショップを首都圏中心にチェーン展開
総合リユース業態トレジャー・ファクトリーや服飾専門リユース業態トレファクスタイルなどのリユースショップを、首都圏直営店中心にチェーン展開している。
17年4月12日時点の店舗数は、総合業態トレジャー・ファクトリー(FC4店舗含む)62店舗、服飾業態トレファクスタイル31店舗、ブランドコレクト業態2店舗、古着アウトレット業態ユーズレット4店舗、スポーツ・アウトドア業態トレファクスポーツ3店舗、郊外立地型トレファクマーケット1店舗、16年9月子会社化したカインドオル38店舗で、グループ合計141店舗である。
■多店舗展開や新業態開発を推進
成長戦略として、既存店強化(店舗移転・リニューアル、出張・宅配など一般買い取り強化による売上総利益率改善)、多店舗展開(複数業態組み合わせて年間12店舗前後の新規出店、全国大都市圏への展開)、新業態開発・出店、海外事業を推進している。
首都圏以外の出店は15年11月関西エリア1号店の総合リユース業態・松原店(大阪府松原市)をオープン、16年5月中部エリア1号店の総合業態・徳重店(名古屋市)をオープン、16年7月九州エリア1号店の総合業態・福岡春日店(福岡県春日市)をオープンした。また16年12月には京都府初出店となる総合業態・京都宇治店をオープンした。
新業態では、13年11月古着アウトレット専門業態ユーズレット1号店の久喜市・久喜店、14年9月スポーツ・アウトドア用品専門業態トレファクスポーツ1号店の横浜市・青葉台店、16年1月新しいコンセプトの店づくりとして服飾業態トレファクスタイルで最大の調布市・調布国領店、16年8月電化製品・家具を中心とした圧倒的品揃えと多様なジャンルを扱う郊外立地型大型リユースショップの新業態トレファクマーケット1号店の千葉市・おゆみ野店をオープンした。
海外は16年3月タイに合弁で現地法人(出資比率は当社約49%、現地コンサルティング会社3社合計51%)を設立し、16年7月海外1号店としてタイ・バンコクに総合業態クンビット39店をオープンした。
なお新規事業として10年10月からブランドバッグ&ファッションのオンラインレンタルサービス「Cariru」を運営している。
14年10月ファーストザウェーブ社のブランドコレクト事業(ウェブサイト、フルフィルメントセンター1拠点、ブランドコレクト原宿店)を譲り受け、15年1月原宿2号店をオープンした。ハイブランド・高価格帯のブランド古着に特化したファッションカテゴリーを強化する。
16年9月にはブランド古着業界で高い認知度を誇るカインドオルを完全子会社化した。カインドオルは国内外のブランド衣料、バッグ、時計などを専門に取り扱うリユースショップを関西圏と東京都心中心に展開している。中価格帯を中心に扱う当社の服飾専門業態トレファクスタイルと高価格帯を中心に扱うカインドオルの補完効果が期待され、グループ全体のネットワーク拡大を推進する。
■アライアンスを活用して出張買い取りサービス強化
不動産関連業界や引越会社とのアライアンスを活用して出張買い取りサービスを強化している。15年2月ハウスコム<3275>、8月ミニミニ(東京都)、16年3月ハウスドゥ<3457>、16年5月には大和リビング(東京都)と業務提携した。全国への規模拡大に向けて提携引越会社300社体制構築を目指している。
15年6月大規模マンション管理組合を対象とした新サービス「リユースコンシェルジュ for mansion」を開始、15年9月引越と不用品買い取りの一括対応サービス「トレファク引越」がオフィス移転に対応し、対象エリアも関東・関西・九州エリアに東海エリアを加えた。
16年4月、スポーツ・アウトドア用品専門の買い取りサイトにおけるネット事前査定買い取りサービス、総合リユースショップの買い取りサイトにおける家電・家具・小物雑貨などのネット事前査定買い取りサービスを開始した。16年7月、アウトドアレジャー専門ECサイトを運営するナチュラム・イーコマース(大阪市)と業務提携した。
■第1四半期と第3四半期の売上総利益率が高い季節要因
四半期別推移を見ると、15年2月期は売上高が第1四半期25億82百万円、第2四半期23億36百万円、第3四半期28億85百万円、第4四半期28億79百万円、営業利益が3億51百万円、77百万円、3億43百万円、1億84百万円で、既存店の売上総利益率は66.8%、65.9%、66.5%、63.4%だった。16年2月期は売上高が30億11百万円、27億08百万円、32億75百万円、32億22百万円、営業利益が3億95百万円、37百万円、4億10百万円、2億44百万円で、既存店の売上総利益率は66.0%、64.2%、65.6%、63.2%だった。
第1四半期と第3四半期は、引越シーズンなどで利益率の高い家電製品や家具の構成比が高まるため、売上総利益率が高くなるという季節要因があるようだ。また低下傾向だった既存店の売上総利益率は16年2月期第4四半期に前年同期並みに改善した。
16年2月期(非連結)は15年2月期比増収増益だった。新規出店(9店舗)や既存店の好調(既存店売上高5.2%増、既存店1件当たり販売単価175円上昇の3364円)で人件費や賃借料の増加、移転リニューアル3店舗の一時的費用を吸収した。差引売上総利益は同13.0%増加し、差引売上総利益率は64.6%で同0.8ポイント低下した。販管費は同13.0%増加したが販管費比率は55.8%で同0.6ポイント低下した。
特別利益にはフルフィルメントセンター移転に伴う受取補償金を計上した。ROEは25.2%で同4.2ポイント上昇、自己資本比率は61.3%で同2.8ポイント上昇した。配当は年間13円で、15年6月1日付株式2分割を考慮して15年2月期の18円を9円に換算すると実質的に4円増配だった。配当性向は18.0%だった。配当性向は25%以上を当面の目標としている。
なお直営事業商品別売上高は主力の衣料13.2%増、服飾雑貨14.3%増、電化製品16.1%増となり、生活雑貨13.0%増、家具12.8%増、ホビー用品17.3%増と全カテゴリーが好調だった。商品仕入高は16.7%増加し、経路別構成比は一般買い取りが76.8%で同2.5ポイント上昇した。既存店買い取りは9.1%増加した。
既存店の売上総利益率は65.3%で同1.2ポイント低下した。出張買い取り配送の外部委託を本格化したため配送費用(仕入副費として売上原価に算入)が増加した。ただし配送の外部委託によって出張買い取りを安定的にこなす体制が整ったため、家電や家具の買い取り・販売増加に繋がっている。
■17年2月期(連結決算へ移行)は計画未達
前期(17年2月期)連結業績(16年3月タイ子会社設立に伴って連結決算に移行)は、売上高が133億25百万円、営業利益が7億34百万円、経常利益が7億58百万円、純利益が4億85百万円だった。
単体ベースでは既存店売上がやや低調となり、新規エリア(名古屋、福岡)新規出店投資なども影響して減益だった。連結ベースでは売上高・利益とも計画を下回った。カインドオルM&A関連の一時的費用の計上も影響した。新規出店は国内8店舗と海外(タイ)1店舗の合計9店舗だった。愛知県、福岡県、京都府に初出店した。
ROEは13.6%、自己資本比率は49.2%で、配当は17年2月期比3円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)とした。配当性向は36.4%である。
単体ベースの差引売上総利益は16年2月期比3.5%増加し、差引売上総利益率は64.8%で同0.2ポイント上昇した。既存店売上高は前年同期比3.7%減少し、既存店の売上総利益率は64.9%で同0.2ポイント上昇した。販管費は同8.4%増加し、販管費比率は58.5%で同2.7ポイント上昇した。
単体ベースの商品別売上高は衣料が4.9%増、服飾雑貨が2.9%増、生活雑貨が4.3%増、家具が3.8%増、ホビー用品が4.1%増だったが、電化製品が2.1%減だった。既存店1件あたり販売単価は3402円で同26円低下した。商品仕入高は同2.1%増加し、経路別構成比は一般買い取りが78.3%で同1.5ポイント上昇した。
四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期32億09百万円、第2四半期27億95百万円、第3四半期33億30百万円、第4四半期39億91百万円、営業利益は3億71百万円、25百万円の赤字、2億41百万円、1億46百万円だった。
■18年2月期は2桁増収増益予想
今期(18年2月期)連結業績予想(4月12日公表)は、売上高が前期(17年2月期)比23.2%増の164億20百万円、営業利益が同16.1%増の8億53百万円、経常利益が同16.2%増の8億81百万円、純利益が同19.7%増の5億81百万円としている。配当予想は前期と同額の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。予想配当性向は30.4%となる。
既存店におけるマーケティング強化、13店舗前後の新規出店、16年9月子会社化したカインドオルの通期寄与などで2桁増収増益予想である。前期出店した名古屋と福岡の早期収益化や、新業態の多店舗展開、カインドオル不採算店のテコ入れ、タイの収益モデル確立も推進する。なお売上総利益率は前期と同水準を目指すとしている。
なお月次売上(単体直営店の店舗売上、前年比速報値ベース)を見ると、17年3月は全店105.4%、既存店99.1%だった。生活家電ブランド品などが低調で既存店は8ヶ月連続の前年割れだった。3月の新規出店は3店舗、退店0店舗で、単体ベース全店舗数(国内直営・FC)は102店舗だった。
■中期成長シナリオに変化なし
リユース市場は拡大基調であり、中期成長に向けて複数業態で国内主要都市への新規出店を加速させる方針だ。経営目標値は大型M&A実施に伴って見直し、19年2月期売上高175億78百万円、営業利益9億72百万円、経常利益10億01百万円とした。償却前営業利益は12億91百万円としている。
知名度上昇、複数業態による国内主要都市への出店加速、新業態開発、ネット事業の強化、海外リユース事業の展開などで中期成長シナリオに変化はないだろう。
■株主優待制度は毎年2月末に実施
株主優待制度は毎年2月28日時点の1単元(100株)以上保有株主に対して「トレジャーチケット」を贈呈している。「トレジャーチケット」の内容は「トレジャー・ファクトリーオリジナルクオカード1000円分」、プレゼント抽選券「トレジャーロト」、および当社の店舗および宅配買い取りサービスで利用できる「買い取り金額アップクーポン」をセットにしている。
■株価は売り一巡して出直り期待
なお4月14日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)によって12万6000株を取得した。また4月20日にこの自己株式12万6000株を消却した。
株価の動きを見ると、2月期末の配当権利落ち、そして17年2月期連結業績の計画未達も嫌気する形で水準を切り下げたが、4月17日の直近安値770円から切り返しの動きを強めている。
4月24日の終値798円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS52円62銭で算出)は15~16倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.0%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS333円69銭で算出)は2.4倍近辺である。時価総額は約89億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを圧迫する形だが、売り一巡して出直り展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)