JFEシステムズは17年3月期6期連続増収増益・4期連続増配、18年3月期も増収増益予想

 JFEシステムズ<4832>(東2)はJFEグループの情報システム会社である。JFEスチール製鉄所システム刷新本格化などで17年3月期は6期連続増収増益・4期連続増配だった。そして18年3月期も増収増益予想である。株価は高値圏モミ合いから上放れの動きを強めている。好業績を評価して上値を試す展開が期待され、06年来の2000円台が視野に入る。

■JFEグループの情報システム会社

 川崎製鉄(現JFEスチール)のシステム部門を分離した情報システム会社である。鉄鋼向け情報システム構築事業を主力として、ERPと自社開発ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業、自社開発のプロダクト・ソリューション事業も強化している。16年4月には連結子会社KITシステムズの商号をJFEコムサービスに変更した。

 17年3月期の事業別売上高は、鉄鋼が176億円、一般顧客が143億円、基盤サービスが33億円、子会社(JFEコムサービス)が39億円だった。

■中期経営計画で18年3月期EPS150円以上目指す

 16年3月期~18年3月期の中期経営計画では高収益事業への構造転換を目指し、目標数値に18年3月期売上高400億円以上、経常利益20億円以上、純利益12億円以上、EPS150円以上を掲げている。

 重点戦略として、JFEスチール製鉄所業務プロセス改革に向けたシステム刷新の遂行、ERPに自社ソリューションを組み合わせた一般顧客向け複合ソリューション事業の拡大、基盤サービス事業拡大に向けたクラウドサービスの立ち上げ、自動車など製造業顧客基盤の拡大、e-文書(電子帳票)ソリューションなど自社プロダクト拡販などを推進する。

 JFEスチール製鉄所の業務プロセス改革への対応で多くの技術・ノウハウを蓄積し、基盤サービス事業やソリューション事業に活用して一般顧客向け売上拡大を目指す戦略だ。製造業向けERPなど基幹系システムやサプライチェーン計画系システムに組み合わせて拡販し、高収益な事業構造への転換を推進する。

 17年2月にはプレジデント社「PRESIDENT WOMAN 2017年3月号Vol.23」および「プレジデントウーマン白書2017女性が活躍できる企業ランキング」において、大手企業1183社中、総合9位を獲得した。部門別ランキングでも、長く働ける企業ランキング9位、男女共同参画できる企業ランキング9位を獲得した。

■鉄鋼はJFE製鉄所システム刷新に対応

 鉄鋼事業ではJFEスチール製鉄所の業務プロセス改革に向けて、システムを刷新して生産管理システムの高度化・共通化を推進する。製鉄所システムプロジェクトを新設してJFEスチールの製鉄所業務プロセス改革斑との連携を強化している。

 16年6月には経済産業省と東京証券取引所が企画する「攻めのIT経営銘柄」にJFEホールディングス<5411>が2年連続で選定された。当社はJFEグループの情報システム会社としてJFEグループ各社のIT企画・設計・開発・運用を担っており、製鉄所基幹システム刷新による業務プロセス改革についてもJFEスチールと一体となって取り組むとしている。

■食品の品質情報管理分野のデファクト化目指す

 食の安全・安心を支える食品業界全体の品質情報管理向上への取り組みを強化している。15年7月には自社開発「MerQurius Net(メルクリウスネット)原料規格書サービス」登録サプライヤ企業が3000社を超えた。原料規格書は食品メーカーがサプライヤから購入する原料の品質に係る情報である。

 15年10月には食品品質情報管理ソリューション「MerQurius」のクラウドサービス「MerQurius クラウド」の販売を開始し、16年1月からクラウドサービスを開始した。

 製菓、冷凍食品、調味料など大手食品メーカー中心に200社以上の利用実績を持つ「MerQurius」をクラウド環境で利用可能とするもので、同時に加入する「MerQurius Net 原料規格書サービス」と連携して原料規格書の授受を効率化する。クラウドサービスによって売上高100億円未満の中堅・中小食品メーカー約1200社をターゲットに拡販を推進してデファクト化を目指す方針だ。

 16年2月には自社開発の配合・食品法規マネジメント「Quebel(キューベル)」について、15年4月施行の新食品表示法にも対応した商品開発支援テンプレートの販売を開始した。

■アライアンスも活用

 アライアンス戦略では、13年5月大阪ガス<9532>子会社オージス総研と協業、ビジネスブレイン太田昭和<9658>と資本・業務提携、15年9月ITホールディングス<3626>グループのTISと協業している。

 17年2月にはユニリタ(東京都)とビジネスパートナー基本契約を締結し、電子帳簿保存法向け帳票分野での両社の協業体制を強化した。ユニリタ製品による帳票作成と当社製品による帳票保管を連携してトータル帳票ソリューションを提供する。

■第4四半期の構成比が高い収益構造

 四半期別業績推移を見ると、15年3月期は売上高が第1四半期77億69百万円、第2四半期89億33百万円、第3四半期84億38百万円、第4四半期106億67百万円、営業利益が83百万円の赤字、5億28百万円、4億77百万円、7億79百万円、16年3月期は売上高が80億12百万円、91億74百万円、89億53百万円、108億91百万円、営業利益が56百万円、4億49百万円、4億88百万円、9億64百万円だった。情報システム関連で年度末にあたる第4四半期の構成比が高い収益構造である。

 16年3月期は5期連続増収増益で、売上高、経常利益、純利益とも過去最高だった。売上総利益は15年3月期比3.9%増加し、売上総利益率は18.7%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同0.1%増加したが、販管費比率は13.4%で同0.4ポイント低下した。ROEは10.6%で同2.2ポイント上昇し、自己資本比率は50.6%で同1.1ポイント上昇した。配当は同6円増配の年間34円(期末一括)で配当性向は23.6%だった。

 事業別売上高は、鉄鋼が同5億円増加の161億円、一般顧客が同10億円増加の143億円、基盤サービスが同1億円増加の28億円、子会社(JFEコムサービス)が同4億円減少の38億円だった。

■17年3月期は6期連続増収増益で過去最高益更新

 4月26日発表した前期(17年3月期)の連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比5.6%増の390億92百万円、営業利益が同17.0%増の22億89百万円、経常利益が同17.6%増の22億97百万円、純利益が同11.6%増の12億65百万円だった。6期連続増収増益で、利益は中期経営計画の18年3月期目標値を前倒し達成した。

 売上面では、一般顧客が前々期比横ばいの143億円だったが、鉄鋼はJFEスチール製鉄所システム刷新が本格化して同15億円増加の176億円に伸長した。また基盤サービスは情報連携や情報セキュリティサービスが好調で同5億円増加の33億円、子会社JFEコムサービスは機器販売からサービスへシフトして同1億円増加の39億円となった。

 利益面では原価管理の徹底なども寄与した。売上総利益は同7.6%増加し、売上総利益率は19.0%で同0.3ポイント上昇した。販管費は同3.8%増加したが、販管費比率は13.2%で同0.2ポイント低下した。特別損失では減損損失3億44百万円を計上した。

 ROEは10.9%で同0.3ポイント上昇し、自己資本比率は51.4%で同0.8ポイント上昇した。また配当は4月26日に期末6円増額修正して年間44円(期末一括)とした。4期連続増配(16年3月期比10円増配)である。配当性向は27.3%である。利益配分は内部資金確保と安定的配当を念頭に置きながら、財政状態、利益水準および配当性向等を総合的に勘案して決定するとしている。

 なお四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期86億54百万円、第2四半期95億61百万円、第3四半期98億27百万円、第4四半期110億50百万円、営業利益は2億22百万円、5億10百万円、7億56百万円、8億01百万円だった。

■18年3月期も増収増益予想

 今期(18年3月期)連結業績予想(4月26日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.9%増の410億円、営業利益が同4.0%増の23億80百万円、経常利益が同4.5%増の24億円、純利益が同20.2%増の15億20百万円としている。

 増収効果で販管費の増加を吸収して7期連続増収増益予想である。純利益は前期計上した減損損失一巡も寄与する。配当予想は前期と増額の年間44円(期末一括)としている。予想配当性向は22.7%となる。

 事業別売上高の計画は、鉄鋼がJFEスチール製鉄所システム刷新を推進して同20億円増加の196億円、一般顧客が金融系大型案件終了で同4億円減少の139億円、基盤サービスが情報連携や情報セキュリティサービスの好調で同5億円増加の38億円、子会社JFEコムサービスが機器単体販売事業縮小で同2億円減少の37億円としている。

■株価は高値圏モミ合い上放れの動き、06年以来の2000円台視野

 株価の動きを見ると、年初来高値圏1600円近辺でモミ合う展開だが、好業績を評価する形で4月26日に年初来高値1728円まで上伸し、モミ合い上放れの動きを強めている。

 5月1日の終値1679円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS193円56銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間44円で算出)は2.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1550円23銭で算出)は1.1倍近辺である。時価総額は約132億円である。

 週足チャートで見ると、26週移動平均線が接近して下値を切り上げる形だ。日柄調整が完了し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。16年12月高値1739円を突破すれば上げ足を速めて06年以来の2000円台が視野に入りそうだ。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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