ジャパンインベストメントアドバイザーは17年12月期第1四半期大幅増収増益、通期も大幅増収増益・増配予想

 ジャパンインベストメントアドバイザー(JIA)<7172>(東マ)は金融ソリューション事業を展開している。17年12月期第1四半期はオペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して大幅増収増益だった。通期も大幅増収増益・増配予想である。積極的な事業領域拡大戦略で中期成長も期待される。株価は3月の上場来高値から反落してモミ合う形だが、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。

■オペレーティング・リース主力に金融ソリューションを展開

 オペレーティング・リース事業を主力として、環境エネルギーファンド事業、M&Aアドバイザリー事業などの金融ソリューション事業を展開している。さらに航空機を対象としたパーツアウト・コンバージョン事業など、中期成長に向けた事業領域拡大戦略を推進している。

 16年12月期の製品・サービス別売上高構成比はオペレーティング・リース事業59%、環境エネルギー事業8%、パーツアウト・コンバージョン事業27%、メディア関連・IR支援事業6%、その他事業1%である。また16年12月期の売上高営業利益率41.7%、ROE32.1%という高収益構造が特徴である。

 オペレーティング・リース事業は、子会社JPリースプロダクツ&サービシイズ(JLPS)が第二種金融商品取引業登録業者として、航空機や海上輸送用コンテナを主対象に展開している。15年10月には船舶を対象とした日本型オペレーティング・リース第1号案件の組成を完了し、対象物件として航空機・船舶・海上輸送用コンテナのすべての領域をカバーしている。

 米CAI社との合弁会社でコンテナ・オペレーティング・リース事業を展開するCAIJ社を16年4月100%子会社化し、米CAI社およびCAIJ社とコンテナ案件の紹介・供給等を目的として業務提携した。なお業務多角化に向けて17年3月CAIJ社の社名をフィンスパイアに変更した。

■中期成長に向けて事業領域を拡大

 中期成長に向けてM&Aも積極活用しながら事業領域拡大戦略を推進している。

 パーツアウト・コンバージョン事業は、15年11月ルクセンブルクに子会社JIAルクセンブルクを設立、JIAルクセンブルクが仏Vallair社と資本・業務提携して、航空機を対象とするパーツアウト・コンバージョン事業に参入した。パーツアウト事業は退役航空機を解体して各部品を世界の整備会社・リース会社・航空会社等へ販売する事業、コンバージョン事業は機齢の経った旅客機を輸送機等に改造してリサイクルする事業である。なお16年12月優先株を普通株に転換して仏Vallair社を持分法適用関連会社化し、17年3月には3回目の追加出資を完了して出資比率が30%となった。

 環境関連事業では、15年5月電力備蓄用バナジウムレドックスフロー電池(VRFB)のLEシステムと資本業務提携、15年9月中央アジアや南アジアで再生可能エネルギーや省エネルギー事業を展開しているあすかグリーンインベストメント(AGI)と資本業務提携、15年10月汚泥削減システムのフジ・エコ・テクノス(FET社)に出資した。

 プライベート・エクイティ(PE)投資事業やIR(投資家向け広報)支援事業にも進出している。15年8月100%出資のPEファンドJPE第1号を設立し、第1号案件として日本マンパワーのグループ会社で人材派遣・紹介事業を展開するNMPスペシャリストの全株式を取得した。同社は3年後の上場を目指す。PEファンドは当面3億円を上限として当社100%出資で運営するが、将来的には投資家からの資金も受け入れる予定だ。

 15年9月日本証券新聞と日本証券新聞リサーチを子会社化してメディア関連事業およびIR支援事業に進出した。またIR支援サービスの日本証券新聞リサーチと人材派遣・紹介事業のNMPスペシャリストが連携して、人材難に悩む企業に対して中小企業診断士や社外取締役などを紹介・マッチングする事業なども展開する。

 16年1月M&Aアドバイザリー事業の子会社ジャパンM&Aアドバイザー(JMA)を設立した。またIPOコンサルティング事業を開始し、第1弾としてIT技術を駆使した投資コンサルティング事業会社とコンサルティング契約を締結した。金融とITの融合に寄与するフィンテック企業を中心にIPOコンサルティング事業の拡大を目指し、PE事業においてもITを駆使した新たな金融サービスを提供する企業・技術への投資活動を積極化させる方針だ。

 16年12月にはインタートレード<3747>の株式取得を発表した。同社との協業の可能性を視野に入れながら純投資目的で取得した。本業の金融ソリューション事業とのシナジーが見込まれるIT・サービス分野、特に金融とITとの融合に寄与するFintechを駆使した新たな金融サービスの拡大を目指すとしている。

 5月2日には、環境エネルギー事業における新たな取り組みとして、PEファンドJPE第1号を通じてテクノプラン(TP社、神戸市)へ20%出資したと発表している。TP社は脱水汚泥量の大幅な減量化により処理コストの削減を可能にする「蒸気エジェクター」を利用した消化率向上技術などで特許を取得している。

 また5月2日には、PE投資事業における新たな投資として、Fits横濱(Fits社、横浜市)に出資したと発表している。Fits社は障がい児向けの児童発達支援事業・放課後デイサービス事業などを展開している。将来の株式上場を目指しており、IPOコンサルティング契約を締結した。

■手数料収入が収益柱、四半期業績は販売計上(完売)時期で変動する特性

 オペレーティング・リース事業および環境エネルギーファンド事業の組成・出資金販売・管理などに伴う手数料収入が収益柱である。会計上の売上高認識基準は、顧客(投資家)から案件ごとに募集している出資金の販売がすべて終了した時点において出資金に含まれる手数料を売上高として計上するため、四半期業績は販売計上(完売)時期によって変動しやすい特性がある。

 四半期別業績推移を見ると、15年12月期の売上高は第1四半期4億30百万円、第2四半期3億50百万円、第3四半期10億45百万円、第4四半期9億80百万円、営業利益は1億85百万円、94百万円、5億26百万円、3億50百万円だった。16年12月期の売上高は9億92百万円、13億61百万円、7億27百万円、28億33百万円、営業利益は3億40百万円、2億88百万円、17百万円の赤字、18億54百万円だった。

 16年12月期は、主力のオペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して、売上高が15年12月期比2.1倍、営業利益が同2.1倍、経常利益が同76.8%増、純利益が同81.8%増の大幅増収増益だった。

 事業別売上高はオペレーティング・リース事業が同95.9%増の34億78百万円、環境エネルギー事業が同51.7%増の4億52百万円、パーツアウト・コンバージョン事業が同2.8倍の16億03百万円、その他金融ソリューション事業が同17.9%増の46百万円、メディア関連・IR支援事業が同2.9倍の3億32百万円だった。

 事業組成金額は同2.1倍の783億73百万円(航空機20件・627億58百万円、船舶3件・81億92百万円、コンテナ3件・24億65百万円、太陽光発電7件・49億61百万円)で、出資金販売額(完売)は同14.3%増の245億10百万円(航空機10件・145億58百万円、船舶2件・17億29百万円、コンテナ4件・42億08百万円、太陽光発電7件・40億15百万円)だった。なお期末在庫は航空機11件・99億89百万円、船舶1件・10億26百万円である。提携先は同32件増加の149件(税理士・会計事務所101件、銀行40件、証券8件)となった。

 売上総利益は同2.0倍増だったが、売上総利益率は63.5%で同2.8ポイント低下した。パーツアウト・コンバージョン事業の大幅伸長に伴って売上原価が増加した。販管費は同83.3%増加したが、販管費比率は21.8%で同3.3ポイント低下した。

 売上高営業利益率は41.7%で同0.6ポイント上昇、ROEは32.1%で同14.2ポイント低下、自己資本比率は23.9%で同3.4ポイント上昇した。配当は年間10円(第2四半期末4円、期末6円)で配当性向は8.5%だった。

■17年12月期第1四半期は大幅増収増益

 5月2日発表した17年12月期第1四半期(1月~3月)の連結業績は、売上高が前年同期比57.8%増の15億66百万円、営業利益が同2.6倍の9億01百万円、経常利益が同2.5倍の2億80百万円、純利益が同2.1倍の3億90百万円だった。主力のオペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して大幅増収増益だった。

 事業別の売上高は、オペレーティング・リース事業が同2.4倍の9億26百万円、環境エネルギー事業が同33.9%減の1億73百万円、パーツアウト・コンバージョン事業が同52.3%増の3億77百万円、その他金融ソリューション事業が同34.0%減の4百万円、メディア関連・IR支援事業が同2.6%減の83百万円だった。

 事業組成件数は同2件減少の10件、組成金額は同25.1%減の232億32百万円(航空機9件・222億99百万円、船舶0件・0百万円、コンテナ0件・0百万円、太陽光発電1件・9億33百万円)で、販売(完売)件数は同2件増加の8件、販売(完売)額は同58.4%増の74億84百万円(航空機6件・58億14百万円、船舶1件・10億26百万円、コンテナ0件・0百万円、太陽光発電1件・6億44百万円)だった。販売(完売)は航空機が前年同期の0件・0百万円から大幅に増加した。

 売上総利益は同78.2%増加し、売上総利益率は76.5%で同8.7ポイント上昇した。販管費は同10.5%減少し、販管費比率は19.0%で同14.4ポイント低下した。なお顧客紹介手数料、案件組成に係る弁護士費用および案件組成に係る金融費用は売上との直接的な対応関係を明確にするため、売上原価に計上している。

 営業外では商品出資金売却益が増加(前期15百万円、今期50百万円)し、持分法投資損益が改善(前期は損失2百万円、今期は利益24百万円)したが、為替差損が増加(前期44百万円、今期1億61百万円)した。

■17年12月期も大幅増収増益・増配予想

 今期(17年12月期)通期の連結業績予想(2月8日公表)は、売上高が前期(16年12月期)比30.2%増の77億円、営業利益が同50.1%増の37億円、経常利益が同51.8%増の34億円、純利益が同51.1%増の21億円としている。

 引き続き主力のオペレーティング・リース事業が牽引し、パーツアウト・コンバージョン事業も寄与して大幅増収増益予想である。通期会社予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が20.3%、営業利益が24.4%、経常利益が21.0%、純利益が18.6%と概ね順調である。通期ベースでも好業績が期待される。

 なおオペレーティング・リース事業はレッシーからの引き合いが旺盛だが、船舶およびコンテナに関しては市況軟化に伴ってリスクが顕在化しているため、従来に増して慎重に対応する方針としている。環境エネルギー事業は、17年3月末に税制優遇措置の期限を迎えて、従来の利益平準型商品から利回り追求型商品への移行を図っている。大口案件を中心に引き合いが高水準であり、一層の成長が期待できるとしている。パーツアウト・コンバージョン事業は高い収益性が期待できる事業であり、仏Vallair社への追加出資を通じて一層の業容拡大を目指すとしている。

 配当予想は同5円増配の年間15円(第2四半期末6円、期末9円)で、予想配当性向は8.7%となる。利益配分については、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、株主への利益還元を重視し、安定した配当を継続していくことを基本方針としている。中期的には連結配当性向は概ね20%以上を目指すとしている。

■純利益ベースで毎期50%以上の成長を目指す

 中長期成長戦略として、主力のオペレーティング・リース事業に、環境エネルギー事業およびパーツアウト・コンバージョン事業を加えて、収益の3本柱の確立を推進する。

 さらにM&Aアドバイザリー事業、PE投資事業、不動産投資事業、事業承継アドバイザリー事業、ウェルス・マネジメント事業、中小企業に対する人材紹介事業、メディア関連・IR支援関連事業、IPOコンサルティング事業、AIを駆使した新たな金融サービス(フィッテンク)など、金融ソリューション事業を中心にM&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速する。

 そして純利益ベースで毎期50%以上の成長を目指すとしている。中期的にも収益拡大基調が期待される。

■株主優待制度は毎年12月末に実施

 株主優待制度は、毎年12月末日時点で1単元(100株)以上保有株主に対して、保有株式数および継続保有期間に応じてクオカードおよび日本証券新聞デジタル版購読券を進呈する。16年12月には株主優待制度の一部拡充を発表した。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動きを見ると、3月の上場来高値4960円から反落し、4000円近辺でモミ合う形だ。第1四半期累計の大幅増収増益に対してもややネガティブ反応だった。ただし徐々に下値を切り上げて自律調整一巡感を強めている。

 5月9日の終値3825円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS172円26銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は0.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS552円88銭で算出)は6.9倍近辺である。時価総額は約471億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって下値を切り上げている。自律調整が一巡し、好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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