- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- クリナップは調整一巡感、18年3月期2桁営業増益予想で低PBRも見直し
クリナップは調整一巡感、18年3月期2桁営業増益予想で低PBRも見直し
- 2017/5/24 08:20
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
クリナップ<7955>(東1)はシステムキッチンの大手で、システムバスルームも展開している。原価低減効果などで17年3月期大幅増益だった。そして18年3月期も2桁営業増益予想である。株価は調整一巡感を強めている。0.6倍近辺の低PBRも見直して反発展開が期待される。
■システムキッチンの大手でシステムバスルームも展開
システムキッチンの大手である。厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。なお収益は新設住宅着工件数やリフォーム需要の影響を受けやすい特性がある。
17年3月期の部門別売上高構成比は厨房部門79%、浴槽・洗面部門16%、その他5%、販売ルート別売上高構成比(単体ベース)は一般ルート(工務店・リフォーム)79%、ハウスメーカー16%、直需(マンション)5%である。
■中期経営計画で「ザ・キッチンカンパニー」目指す
中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を目指し、重点施策として中高級品の販売強化、リフォーム市場で競争優位となる商品の開発、ショールームを核とした販売戦略の推進、サプライチェーン全体での原価低減活動の強化、設備投資およびコストの最適化などを推進している。
ショールームを核とした販売戦略の推進では、3旗艦&全国ショールーム102拠点体制で、ショールームを顧客接点の要、地域に根差したブランド戦略の重要拠点、リフォーム需要取り込みの最重要拠点と位置付けて、集客を強化するためリニューアルと生活提案型ショールームへの転換を進めている。ショールームのリニューアルは12年3月期から17年3月期の6期合計で66ヶ所を実行し、17年3月期には中部圏の旗艦ショールーム「クリナップ・キッチンタウン・名古屋」を新設した。
生産面では16年7月、クリナップ岡山工業津山工場のプレスラインが本格稼働して、東日本の福島県・いわき事業所と合わせて生産拠点の二極化体制が整った。なお100%子会社のクリナップ岡山工業を17年4月吸収合併した。より機動的な体制のもとで業務効率化に取り組み、生産技術力の向上、管理コスト削減などの合併メリットを追求する。
海外展開は中国、台湾、シンガポール、マレーシア、タイなどに展開している。中国にはハウスメーカーと共同進出してキッチン等を供給している。
■17年3月期は原価低減効果などで大幅増益
5月9日発表した前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比0.7%減の1136億61百万円だが、営業利益が同76.1%増の19億89百万円、経常利益が同2.1倍の17億95百万円、純利益が同3.9倍の13億39百万円だった。
リフォーム需要が低調で微減収だったが、原価低減効果や販管費低減効果などで大幅増益だった。売上総利益は同0.4%減少したが、売上総利益率は32.5%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同2.8%減少し、販管費比率は30.8%で同0.6ポイント低下した。
特別利益では厚生年金基金解散損失引当金戻入額3億17百万円を計上した。ROEは2.5%で同1.9ポイント上昇、自己資本比率は62.4%で同2.6ポイント低下した。配当は前々期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)とした。配当性向は59.6%である。
部門別売上高は厨房部門が同0.5%減の893億36百万円、浴槽・洗面部門が同2.7%減の179億76百万円、その他が同2.0%増の63億48百万円だった。
厨房部門のシステムキッチン「S.S.」は数量・金額とも増加、「クリンレディ」は数量・金額とも減少、「ラクエラ」は数量・金額とも減少した。浴槽・洗面部門のシステムバスルーム「アクリアバス」は数量・金額とも減少、「ユアシス」は数量・金額とも減少、洗面化粧台は数量・金額とも増加した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期275億26百万円、第2四半期292億21百万円、第3四半期297億30百万円、第4四半期271億84百万円、営業利益は5億20百万円、7億22百万円、12億79百万円、5億32百万円の赤字だった。
■18年3月期も2桁営業増益予想
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月9日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比2.1%増の1160億円、営業利益が同15.6%増の23億円、経常利益が同17.0%増の21億円、純利益が同0.8%増の13億50百万円としている。配当予想は前期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。予想配当性向は54.2%となる。
部門別売上高の計画は、厨房部門が同1.7%増の908億46百万円、浴槽・洗面部門が同3.5%増の179億76百万円、その他が同3.1%増の65億43百万円としている。
会員登録制組織「水まわり工房」加盟店や流通パートナーと連携してリフォーム需要を喚起し、流レールシンクを標準装備したシステムキッチン「S.S.」「クリンレディ」などの中高級品を中心に拡販を強化する。原価低減効果や業務効率化も寄与して2桁営業増益予想である。
■株価は調整一巡感、低PBR見直して反発期待
株価の動きを見ると、地合い悪化が影響した4月17日の直近安値780円から切り返して調整一巡感を強めている。
5月23日の終値819円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS36円89銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.4%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1437円82銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約344億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。調整が一巡し、0.6倍近辺の低PBRも見直して反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)