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ミロク情報サービスは高値更新の展開、18年3月期も増収増益予想で増額余地
- 2017/5/29 08:40
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ミロク情報サービス<9928>(東1)は財務・会計ソフトの開発・販売・サービスを主力として、クラウドサービスやFinTech分野も強化している。ストック型収益構造で18年3月期も増収増益予想である。会社予想は保守的な印象が強く増額余地がありそうだ。株価は高値更新の展開だ。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。
■財務・会計ソフトの開発・販売およびサービスが主力
会計事務所(税理士・公認会計士事務所)と、その顧問先企業である中堅・中小企業向けに、財務・会計ソフトなどの業務用アプリケーションソフト開発・販売、汎用サーバ・パソコン・サプライ用品販売、運用支援・保守サービス、経営情報・コンサルティングサービスなどを展開している。会計事務所が抱えている課題を解決することで中堅・中小企業支援にも?がるトータルソリューションを強みとしている。
17年3月期品目別売上高構成比は、システム導入契約売上高(システム導入契約時のハードウェア、ソフトウェア、システム導入支援サービスなどのユースウェア販売)が62%、サービス収入(会計事務所向け総合保守サービスTVS、ソフト使用料収入、企業向けソフトウェア運用支援サービス、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入など継続的な役務の対価)が34%、その他が4%である。
収益はソフト保守サービス契約率上昇などでサービス収入が拡大するストック型収益構造である。全国約8400の会計事務所ユーザー、および約1万7000社の中堅・中小企業ユーザーを有し、ストック型収益が伸長して収益力が向上している。
■中期計画で21年3月期ROE30%目指す
長期目標として21年3月期売上高500億円、経常利益率30%、ROE30%を目指している。
重点戦略として、顧客基盤拡大に向けた販売戦力増強と販路拡大(市場ポテンシャルに合わせた人的リソース配分適正化、販社M&Aも活用したエリア拡大、顧客サポート体制と経営情報サービスの充実など)、新規顧客を創造する新製品・サービス開発・提供(マルチデバイス対応クラウドサービスなど)、新規事業による新たな収益基盤確立(利益率向上に向けた事業ポートフォリオ再設計、中小企業の事業承継・事業再生支援サービスへの参入など)を推進している。
■M&Aやアライアンスも活用して新製品・サービスを強化
新製品・サービスの強化ではM&A・アライアンスも積極活用し、中小・ベンチャー企業支援ビジネス情報サイト「bizocean(ビズオーシャン)」のクラウド拡充とネットビジネスへの展開、マルチデバイス対応お金管理アプリ「マネトラ」による消費者間取引(CtoC)市場への参入、経済団体・FC企業への会計クラウドサービスの提供などを推進している。
13年10月プライマルと資本業務提携、14年8月ソフトテックス社から完全Web対応クラウド販売管理システム「商い哲人EX」譲り受け、14年9月子会社MJS M&Aパートナーズ設立、14年10月CtoCクラウド型会計アプリ「フリビズbyマネトラ」提供開始、韓国の電子金融専門企業Webcash(ウェブキャッシュ)社と資本業務提携して日本法人MWI社の株式取得、14年12月オフィス24グループと業務提携した。
15年1月ニューフォリアに出資、15年9月マイナンバー管理システム「MJSマイナンバー」販売開始、15年10月中堅・中小企業向けマイナンバー収集・保管業務代行「MJSマイナンバーBPO」サービス開始、15年11月MWI社を連結子会社化、15年12月SAPジャパンとOEMパートナー契約締結、クラウドインボイスを完全子会社化した。
16年4月子会社ビズオーシャン設立して「bizocean」事業を継承、16年7月子会社クラウドインボイスと協業して会計事務所向け記帳代行支援サービス「丸投げ記帳代行」提供開始、東洋ビジネスエンジニアリング<4828>と協業してERPソリューション提供開始、16年8月中小企業向けERPクラウドサービス「MJSLINK NX-I for IaaS」提供開始、17年4月には中堅・中小企業向け新ERPシステム「Galileopt NX-Plus」を販売開始した。
■FinTech分野に参入して新サービス展開
16年2月英国のSkwile社と資本業務提携してFinTech分野に参入、16年3月中小企業の経営・業務改善を支援するBtoBクラウドプラットフォーム「bizsky」を構築した。
振込、請求書発行・入金消込、給与明細配信、アカウントアグリケーション、資金繰り管理など新たなFinTech分野サービスを「bizsky」上で展開する方針で、16年9月クラウドサービス「楽(らく)たす振込」を開始、17年1月「楽たす給与振込」を開始した。
5月17日には新たなFinTech分野のサービス構想に向けて、韓国BrilliantTS社および韓国NFC社と資本業務提携した。
■17年3月期大幅増収増益
5月12日発表した前期(17年3月期)の連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比11.0%増の262億25百万円で、営業利益が同35.0%増の41億03百万円、経常利益が同30.7%増の40億10百万円、純利益が同37.3%増の26億16百万円だった。第3次中期経営計画で掲げた経営目標値(17年3月期売上高260億円、経常利益40億円、純利益24億50百万円、売上高経常利益率15%、ROE15%)を達成した。
製品・サービスの機能拡張、クラウドを中心とした新製品・サービスの積極投入、多彩なセミナー・研修会の継続的開催などで顧客基盤を維持・拡大し、システム導入契約売上高およびサービス収入とも好調に推移した。また中小企業の事業承継や事業再生支援を推進するための基盤構築では、子会社MJS M&Aパートナーズと連携して2000件超の会計事務所とパートナー契約を締結した。
システム導入契約売上高は同11.3%増の163億45百万円(ハードウェアが同0.8%増の28億22百万円、ソフトウェアが同14.9%増の102億81百万円、ユースウェアが同10.5%増の32億41百万円)だった。
サービス収入は同7.7%増の89億49百万円(会計事務所向け総合保守サービスTVS収入が同1.4%増の18億77百万円、ソフト使用料収入が同20.0%増の12億11百万円、企業向けソフトウェア運用支援サービス収入が同10.2%増の38億98百万円、ハードウェア・ネットワーク保守サービス収入が同6.2%増の12億87百万円、サプライ・オフィス用品が同2.8%減の6億75百万円)だった。
差引売上総利益は同13.0%増加し、差引売上総利益率は66.3%で同1.2ポイント上昇した。また販管費は同7.5%増加したが、販管費比率は50.7%で同1.6ポイント低下した。営業外では持分法投資損失が増加(前々期8百万円、前期1億38百万円)した。ROEは18.2%で同4.2ポイント上昇、自自己資本比率は67.9%で同2.3ポイント低下した。配当は同8円増配の年間25円(期末一括)とした。配当性向は30.0%である。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期64億91百万円、第2四半期65億89百万円、第3四半期65億83百万円、第4四半期65億62百万円、営業利益は10億47百万円、10億44百万円、10億98百万円、9億14百万円だった。
■18年3月期も増収増益予想、保守的な印象で増額余地
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月12日公表)は売上高が前期(17年3月期)比4.1%増の273億円、営業利益が同7.2%増の44億円、経常利益が同9.7%増の44億円、純利益が同9.3%増の28億60百万円としている。配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)で、予想配当性向は27.3%となる。
システム導入契約売上高およびサービス収入とも順調に拡大して増収増益予想である。会社予想は保守的な印象が強く、ストック型収益構造であることも考慮すれば通期業績予想に増額余地がありそうだ。
■株価は高値更新の展開
株価の動きを見ると、16年11月高値2230円を突破して高値更新の展開である。好業績を評価する形で5月25日には2348円まで上伸した。
5月26日の終値2277円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS91円69銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS474円72銭で算出)は4.8倍近辺である。時価総額は約793億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いてサポートラインの形となった。好業績を評価して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)