- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- エイジアは好業績を見直し、18年3月期も増収増益・増配予想
エイジアは好業績を見直し、18年3月期も増収増益・増配予想
- 2017/5/29 08:16
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エイジア<2352>(東2)はメール配信システムの大手である。eコマース分野を強化し、AI(人工知能)を活用した新サービス開発も推進している。18年3月期も増収増益・増配予想で、新中期経営計画では経営ビジョンに「クロスチャネル対応マーケティングプラットフォーム構築」を掲げた。株価は戻り一服の形だが、好業績を見直す展開が期待される。
■メール配信などe-CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力
自社開発e-CRMシステムのWEBCASシリーズを提供するアプリケーション事業を主力として、システム受託開発なども展開している。17年3月期のセグメント別売上高構成比はアプリケーション事業85%、コンサルティング事業14%、オーダーメイド開発事業2%である。
01年発売開始したメール配信システム「WEBCAS e-mail」は、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性が強みである。通販企業、メーカー、生命保険、情報サービス会社など多様な業界の企業や官公庁に導入され、国内メール配信パッケージ市場でシェア1位である。
WEBCASシリーズはメール配信システム「WEBCAS e-mail」を中心として、メール共有システム「WEBCAS mailcenter」などをラインナップに抱えるe-CRMアプリケーションシリーズである。16年8月にはWEBCASシリーズ導入企業が3000社を突破した。
■WEBCASシリーズのラインナップ強化
中期成長戦略では、販売促進・マーケティング支援分野に事業領域を拡大して「eコマースの売上UPソリューションを世界に提供するエイジア」を目指し、クラウドサービスの強化、新製品・サービス開発の推進、サービスソリューションの拡大に取り組んでいる。
16年6月には、新製品マーケティングオートメーション「WEBCAS Auto Relations」を発売した。ユーザーの行動に基づいた効果的なマーケティング・コミュニケーションを自動で実行できるBtoCのEC事業者向けマーケティングプラットフォームである。
今後の開発戦略としては、チャネルの複数化・多様化、定性分析による顧客セグメント化、人工知能「将来予測エンジン」搭載、IOT技術を活用したビッグデータ対応などを計画している。
■M&A・アライアンスも積極活用
M&A・アライアンス戦略では、12年4月システムインテグレータ<3826>と資本業務提携、12年12月グリーゼと資本業務提携、13年10月FUCAを連結子会社化、14年1月フィードフォースと業務提携、15年10月デジタルポスト社と業務提携、15年11月wizpraと業務提携、16年1月フュージョンと業務提携、16年4月ミックスネットワークと業務提携、16年6月電通ダイレクトフォースと業務提携、16年10月ディーエムエス業務提携した。
16年11月にはECサイトやWebサイトのコンバージョンアップへ向けたトータルソリューションの提供を目的に、エスキュービズム、WACUL、ミックスネットワークの3社と協業し、17年1月には動画編集ツール「GrowMovie」を提供するグロウ・ムービー・ジャパンと資本業務提携した。
■人工知能(AI)を活用した新サービス開発にも注力
15年10月人工知能(AI)技術や自然言語解析技術を活用したマーケティングソリューションの共同研究・開発を目的としてメタデータと資本・業務提携し、16年6月人工知能アルゴリズムを駆使した感性分析型テキストマイニングシステム「WEBCAS Sense Analyzer」を発売した。
■海外はマレーシアを強化
海外は15年12月、マレーシアでマーケティング支援業務を行うMarvelous International社を子会社化した。購買力の高い富裕層や中間所得層が拡大する成長市場マレーシアにおける事業を強化する。
■ストック型収益構造
収益面では、システム開発関連のため下期の構成比が高い特性がある。またクラウドサービスが拡大してストック型構造の特性を強めている。
利益配分については、新規事業投資や研究開発投資等に必要な内部留保は従来どおり行いつつ、配当金による利益配分を行っていくことを基本方針としている。また株主還元のさらなる充実を図るべく、意識する配当性向を17年3月期から30%前後に引き上げた。
■17年3月期は増収増益・増配
5月10日発表した前期(17年3月期)の連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比16.1%増の13億30百万円、営業利益が同20.0%増の2億87百万円、経常利益が同20.2%増の2億91百万円、純利益が同9.8%増の1億76百万円だった。
主力のクラウドサービスが牽引し、ライセンス販売型の大型案件も計画超となって2桁増収・営業増益だった。売上総利益は同13.4%増加したが、売上総利益率は63.8%で同1.5ポイント低下した。販管費は同10.3%増加したが、販管費比率は42.2%で同2.3ポイント低下した。ROEは15.1%で同0.5ポイント低下、自己資本比率は79.7%で同1.6ポイント低下した。配当は同7円増配の年間25円(期末一括)とした。配当性向は29.0%である。
セグメント別の動向を見ると、アプリケーション事業は売上高が同16.8%増の11億25百万円、売上総利益率が同1.6ポイント低下の71.4%、営業利益(連結調整前)が同16.0%増の5億24百万円だった。重点分野としているクラウドサービスの売上高は同16.8%増の7億69百万円だった。高価格帯のSaaSプランが好調だった。
コンサルティング事業は売上高が同22.9%増の1億82百万円、売上総利益率が同8.7ポイント低下の17.6%、営業利益が1百万円の赤字(前々期は4百万円の黒字)で、オーダーメイド開発事業は売上高が同33.3%減の22百万円、売上総利益率が同37.3ポイント上昇の59.8%、営業利益が同4.1倍の8百万円だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期2億85百万円、第2四半期3億12百万円、第3四半期3億48百万円、第4四半期3億85百万円、営業利益は46百万円、61百万円、86百万円、94百万円だった。
■18年3月期も増収増益・増配予想
今期(18年3月期)の連結業績予想(5月10日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比8.6%増の14億45百万円、営業利益が同10.8%増の3億18百万円、経常利益が同10.0%増の3億21百万円、純利益が同17.6%増の2億08百万円としている。
配当予想は年間15円50銭(期末一括)としている。17年4月1日付株式2分割を考慮して、前期の年間25円を12円50銭に換算すると実質的に3円増配となる。予想配当性向は30.4%となる。
クラウドサービスを中心にアプリケーション事業が好調に推移して増収増益・増配予想である。セグメント別売上高の計画は、アプリケーション事業が同9.6%増の12億33百万円、コンサルティング事業が同3.3%増の1億88百万円、オーダーメイド開発事業が同9.1%増の24百万円としている。
■クロスチャネル対応マーケティングプラットフォーム構築目指す
5月10日発表した新中期経営計画では、経営ビジョンに「クロスチャネル対応マーケティングプラットフォーム構築」を掲げた。人工知能を活用したマーケティングオートメーション機能も搭載する。
経営目標値は20年3月期売上高18億70百万円、営業利益5億02百万円、経常利益5億05百万円、純利益3億25百万円とした。セグメント別売上高はアプリケーション事業16億16百万円、コンサルティング事業2億30百万円、オーダーメイド開発事業24百万円である。
■株主優待制度は毎年3月末に実施
株主優待制度は、毎年3月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。
■株価は好業績を見直す展開期待
株価の動き(17年4月1日付で株式2分割)を見ると、4月の直近安値911円から一旦切り返したが、反発力が鈍く1000円台でモミ合う展開だ。
5月26日の終値1066円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS51円04銭で算出)は20~21倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円50銭で算出)は1.5%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS294円48銭で算出)は3.6倍近辺である。時価総額は約49億円である。
週足チャートで見ると26移動平均線が下値を支える形だ。調整一巡し、好業績を見直す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)