【株式評論家の視点】ラ・アトレは新株予約権の発行を発表、中期計画達成を視野に入れる

株式評論家の視点

 ラ・アトレ<8885>(JQS)は、5月26日大引け後に第三者割当による行使価額修正条項付第6回新株予約権の発行について発表した。募集の概要は、発行新株予約権数は4002個(行使価格修正条項付)、新株予約権の目的となる株式は普通株40万200株(1個につき100株)、発行価格は1個につき585円、発行総額は234万1170円、割当先はマッコーリー・バンク・リミテッド、払込日は6月12日、行使期間は6月13日~19年6月12日、当初行使価格は1株につき630円。

 同社は、今後3か年の中期経営計画(2017年12月期~19年12月期)では、安定的に収益を獲得できる「不動産管理事業」、「戸別リノベーションマンション販売業務」と、ある程度のリターンが期待できる「デベロップメント業務」、「インベストメントプロジェクト業務」、「土地企画販売業務」などをバランス良く組み合わせながら事業を推し進める方針を打ち出している。中期計画の最終年度の19年12月期売上高120億円、営業利益12億8000万円、経常利益10億2000万円、純利益7億7000万円の業績数値目標を掲げている。

 この中期計画の数値目標を達成するため、今回第三者割当増資による資金調達を決めた。間接金融からの調達のみならず、直接金融からの調達により自己資本比率の改善等で財務基盤の強化を図り、同社が取得できる収益用不動産の規模は20億~30億円程度になると想定、年間約1億5000万円程度の増収効果を発揮する見通し。

 足元では、実需の根強い戸別リノベーションマンション事業に注力するとともに、昨年に引き続き、緻密なマーケティングに基づく新築マンションの販売事業を継続して推進しているほか、不動産管理事業部門において、海外からのインバウンド需要を見込んだ、多言語対応・長期滞在型の「LAホテル京都」が2月にオープンし、今後の賃料収入が業績に貢献する。

 5月12日大引け後に発表した今17年12月期第1四半期業績実績は、売上高9億9800万円(前年同期比24.5%増)、営業利益3700万円(同1.8%増)、経常損益2200万円の赤字(同400万円の赤字)、最終損益2100万円の赤字(同300万円の黒字)に着地。

 今17年12月期業績予想は、売上高が88億8500万円(前期比87.4%増)、営業利益が8億1500万円(同2.3倍)、経常利益が6億1000万円(同2.9倍)、純利益が5億1100万円(同2.9倍)と大幅増益で2期ぶりに最高益更新を見込んでいる。年間配当予想は期末一括5円継続を予定している。

 株価は、1月4日の年初来の安値526円から3月21に年初来の高値640円と上昇。4月6日安値545円と短期調整した後、600円を軸にモミ合っている。中期経営計画の目標達成が視野に入るほか、4月7日に子会社のカンボジア現地法人L’attrait Property Development Inc.が、カンボジア王国の首都プノンペン市ボンケンコン地区にてコンドミニアム(分譲マンション)開発事業に参入すると発表。2020年夏に竣工予定で、5月19日に「カンボジア 自社開発物件 説明会」を東京(新宿)で開催。 マンションブームのカンボジア進出に対する期待感もある。今期予想PER5倍台と割安感はあり、26週移動平均線がサポートする形で着実に下値を切り上げ、煮詰まり感も出つつあり、上放れが予想される。ここから押し目買い妙味が膨らみそうだ。(株式評論家・信濃川)

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