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トーソーは調整一巡感、18年3月期減益予想だが低PBRを見直し
- 2017/5/30 07:57
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーソー<5956>(東2)はカーテンレールやインテリアブラインドの大手である。室内装飾関連事業を主力に介護用品事業も展開している。18年3月期は減益予想だが保守的な印象も強い。株価は4月の直近安値圏から切り返して調整一巡感を強めている。0.5倍近辺の低PBRも見直し材料だ。
■カーテンレール・インテリアブラインドの大手
カーテンレールやインテリアブラインドの大手で、国内市場シェアはカーテンレールが約50%、ブラインドが約15%である。
室内装飾関連事業(カーテンレール類、ブラインド類、間仕切類)を主力として、介護用品事業(ステッキなど)も展開している。17年3月期の事業別売上高構成比は、室内装飾関連事業が98.5%(構成比はカーテンレール類が約47%、ブラインド類が約42%、間仕切類が約2%)で、介護用品事業が1.5%だった。
また室内装飾関連事業の販売先別売上構成比は専門店・工事店が約72%、大型小売業が約11%、海外販売が約2%、その他(メーカーへの資材販売など)が約15%である。
収益面では、新設住宅着工件数やリニューアルなど住宅関連市場の影響を受け、第4四半期の構成比が高い特性がある。利益還元は安定的な配当の継続を重視しつつ、業績および今後の設備投資計画、配当性向等を総合的に勘案した利益配分を行うとしている。
■高付加価値商品の拡販を推進
中期成長戦略では「窓辺の総合インテリアメーカー」として、高付加価値商品の拡販、インテリアトレンドに合わせた特長ある商品や省エネ・節電対応など新商品開発のスピードアップ、コスト競争力の強化、ホテルや商業施設など非住宅分野における需要の取り込み、大型物件の獲得や新興国の消費需要取り込みによる海外売上高の拡大、新規領域としての介護用品事業の拡大などの施策を強化している。
■17年3月期は大幅増益
5月15日発表した前期(17年3月期)連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比1.7%増の224億79百万円、営業利益が同69.5%増の10億07百万円、経常利益が同71.0%増の9億99百万円、純利益が同2.3倍の7億02百万円だった。
新設住宅着工戸数の緩やかな増加が継続し、新製品発売、原価低減、販売関連費用抑制などが寄与して大幅増益だった。売上総利益は同3.4%増加し、売上総利益率は41.7%で同0.7ポイント上昇した。販管費は同1.3%減少し、販管費比率は37.3%で同1.1ポイント低下した。特別利益では厚生年金基金解散損失引当金戻入額66百万円を計上し、特別損失では前々期計上した災害による損失1億13百万円が一巡した。
ROEは6.3%で同3.5ポイント上昇、自己資本比率は54.1%で同2.0ポイント上昇した。配当は同2円増配の年間12円(第2四半期末5円、期末7円=普通配当5円+特別配当2円)とした。配当性向は17.9%である。
セグメント別動向を見ると、室内装飾関連事業は売上高が同1.7%増の221億46百万円で営業利益が同67.9%増の9億82百万円だった。住宅市場の持ち直しに加えて、発売50周年を迎えた機能性カーテンレール「エリート」の新色追加、ロールスクリーンやバーチカルブラインドの新シリーズ発売、展示会やイベントの開催など、積極的な営業活動を展開し、ブラインド類の販売が好調だった。その他事業は売上高が同0.7%減の3億33百万円で営業利益が同2.8倍の24百万円だった。不採算品の見直しが寄与した。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期50億10百万円、第2四半期58億23百万円、第3四半期54億18百万円、第4四半期62億28百万円、営業利益は27百万円、2億71百万円、2億37百万円、4億72百万円だった。
■18年3月期減益予想だが保守的な印象
今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は売上高が前期(17年3月期)比2.3%増の230億円、営業利益が同29.5%減の7億10百万円、経常利益が同30.0%減の7億円、純利益が同38.8%減の4億30百万円としている。配当予想は前期から特別配当2円を落として年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。予想配当性向は24.3%となる。
高付加価値型新製品の提案やプロモーション活動を積極的に推進し、原価低減活動も推進するが、新設住宅着工戸数の減少を見込み、大幅増益だった前期の反動などで減益予想としている。ただし保守的な印象も強い。
■株主優待制度は3月期末に実施
株主優待制度は毎年3月31日現在で、1単元(100株)以上保有株主に対して1000円相当の優待品、10単元(1000株)以上保有株主に対して3000円相当の優待品を贈呈する。優待品はギフトカタログに掲載された旬の食材や生活用品等の中から1点を選択する。また環境保全活動の一環として、インドネシア共和国における「植林活動への寄付」も設けている。
■株価は調整一巡感、低PBRも見直し
株価の動きを見ると、4月の直近安値圏500円近辺から切り返して調整一巡感を強めている。
5月29日の終値514円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS41円07銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.9%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1109円29銭で算出)は0.5倍近辺である。時価総額は約61億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなって水準を切り上げている。調整一巡して戻りを試す展開が期待される。0.5倍近辺の低PBRも見直し材料だ。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)