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フライトホールディングスは売られ過ぎ感、18年3月期は大型案件の反動だが中期成長期待
- 2017/6/1 08:03
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フライトホールディングス<3753>(東2)は電子決済ソリューションを主力としている。18年3月期は大型案件の反動で減収減益予想だが、電子決済ソリューションはフィンテック関連として中期成長が期待される。株価は上値を切り下げて軟調だが、売られ過ぎ感を強めている。調整一巡して反発が期待される。
■システム開発や電子決済ソリューションなどを展開
傘下のフライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、イーシー・ライダーがB2B向けECサイト構築パッケージなどのECソリューション事業を展開している。
17年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が23%、サービス事業が74%、ECソリューション事業が3%である。なお収益面ではサービス事業における大型案件によって変動する特性が強い。
■電子決済ソリューション分野に強み
C&S事業では、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper」の法人モデル「Pepper for Biz」に関して、新サービス「Scenaria」をジエナ社と共同開発し、ロボアプリ開発者を支援する「Pepperパートナープログラム」において「ロボパートナー」認定を取得している。またソフトバンクと日本IBMが共同で行う「IBM Watson エコシステムプログラム」に参画し、ビジネスおよびテクノロジーパートナーに選定されている。
電子決済ソリューション事業では、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」と、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開し、電子決済事業に関して複数暗号鍵の切り替えに関する特許、無線を使った複数機器の設定に関する特許、複数加盟店の切り替えに関する特許を取得している。
スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向け国内初のBtoB決済ソリューションである。10年9月に提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。
16年3月にはスマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末の新製品「incredist premium」の日本国内での販売を開始した。磁気クレジットカード、接触型ICクレジットカード(EMV)、非接触型ICクレジットカード(コンタクトレスEMV)、および日本独自の電子マネーに対応した決済端末である。米国ではセキュリティー基準審査を依頼中であり、審査が終了次第、米国子会社FLIGHT SYSTEM USAを通じて米国での販売を開始する。
16年8月には「incredist premium」の電子マネー対応第一弾としてNTTドコモ<9437>の後払い電子マネー「iD」がサービスインした。16年12月には「incredist premium」が、Mastercard、VISA、AmericanExpressのコンタクトレスEMV(ICカード国際規格EMV技術を用いた非接触IC決済対応のクレジットカード)に関するブランド認定を取得した。
5月10日には「incredist premium」が、JCBのコンタクトレスEMVのブランド認定を取得したと発表している。
■17年3月期は黒字化
5月15日発表した前期(17年3月期)連結業績は、売上高が前々期(16年3月期)比61.3%増の31億53百万円で、営業利益が5億90百万円(前々期は92百万円の赤字)、経常利益が5億70百万円(同1億28百万円の赤字)、純利益が4億07百万円(同1億62百万円の赤字)だった。
サービス事業における大型案件の納品が完了し、各利益とも黒字化した。売上総利益は同2.3倍となり、売上総利益率は37.5%で同11.6ポイント上昇した。販管費は同1.0%減少し、販管費比率は18.8%で同11.8ポイント低下した。ROEは79.1%だった。自己資本比率は46.8%で同24.8ポイント上昇した。配当は無配を継続した。
セグメント別動向を見ると、C&S事業は売上高が同24.4%増の7億24百万円で営業利益(連結調整前)が同2.4倍の27百万円、サービス事業は売上高が同73.1%増の23億39百万円で営業利益が同4.5倍の7億89百万円、ECソリューション事業は売上高が同2.4倍の89百万円で営業利益が8百万円(同46百万円の赤字)だった。
サービス事業では「incredist premium」大型案件の納品が完了し、Apple Pay対応の準備を進める顧客向け「ペイメント・マイスター」ライセンス販売も拡大した。C&S事業は人員採用が計画どおり進まず、引き合いに十分対応する人員体制を確保できなかったため計画を下回ったが、大型仕掛り案件だったデータセンター移転案件の納品完了が寄与した。ECソリューション事業も引き合いが堅調でほぼ計画水準だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期2億02百万円、第2四半期8億35百万円、第3四半期10億85百万円、第4四半期10億31百万円、営業利益は1億03百万円の赤字、2億26百万円、3億24百万円、1億43百万円だった。
■18年3月期は大型案件の反動で減収減益予想
今期(18年3月期)連結業績予想(5月15日公表)は、売上高が前期(17年3月期)比20.7%減の25億円、営業利益が同56.0%減の2億60百万円、経常利益が同56.2%減の2億50百万円、純利益が同50.9%減の2億円としている。配当は無配継続としている。
前期計上の大型案件の反動で減収減益予想だが、電子決済ソリューションはフィンテック関連として中期成長が期待されるだろう。
■株価は売られ過ぎ感、調整一巡して反発期待
株価の動きを見ると上値を切り下げる形となり、年初来安値を更新して軟調だ。ただし売られ過ぎ感を強めている。
5月31日の終値1020円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS21円15銭で算出)は48倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS75円94銭で算出)は13倍近辺である。時価総額は約96億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると52週移動平均線が接近している。調整一巡して反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)