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アドアーズは調整一巡感、18年3月期増益予想で事業再編も推進
- 2017/6/5 08:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
アドアーズ<4712>(JQ)は総合エンターテインメント事業を主力として、不動産事業、商業施設建築事業、店舗サブリース事業を展開している。17年10月に持株会社へ移行し、商号をKeyHolderに変更予定である。18年3月期増益予想である。M&Aも活用して事業再編を推進する。株価は調整一巡感を強めている。
■総合エンターテインメント事業など展開、17年10月持株会社へ移行予定
Jトラスト<8508>グループで、アミューズメント施設運営の総合エンターテインメント事業を主力として、戸建て住宅分譲の不動産事業、商業施設建築事業、店舗サブリース事業などを展開している。17年10月に事業持株会社(管理部門、不動産アセット部門、店舗サブリース事業)へ移行し、商号をKeyHolderに変更予定である。積極的なM&Aの実施による機動的な事業再編やグループ全体の経営資源の最適配分を図る。
通所介護事業の日本介護福祉グループは15年8月同社の創業者である藤田英明氏に譲渡、アミューズメント景品を企画・製造・販売する子会社ブレイクは17年3月フォーサイド<2330>に譲渡した。
16年3月、首都圏中心にリラクゼーションサロン「OLIVE SPA」を運営するオリーブスパ(オリスパ社)と、オリスパ社の店舗開発、出店時の内外装工事、店舗サブリース、オリスパ店舗チケットを活用した販促活動に関して業務提携した。店舗サブリース事業による収益強化、子会社キーノートの商業施設建築事業の拡大、株主優待制度導入などオリスパ社のブランド力を活かした販促活動を強化する。
16年8月VR(仮想現実)関連事業でグリー<3632>と業務提携し、16年12月アドアーズ渋谷店に初のVRエンターテインメント施設「VR PARK TOKYO」をオープンした。VR関連技術を活用したアミューズメント施設、アミューズメント施設向け遊戯機器および付帯するソフトウェアの開発、VRソフト等の国内外におけるライセンス販売、VRとスマホの連携アプリ企画・開発までを視野に入れてVR関連事業を推進する。
アミューズメント施設の駅前好立地という特性を活かした新規事業として、16年12月訪日外国人旅行客を対象とした外貨両替所を開設した。また保育事業の開始に向けた具体的な検討の開始を発表している。
海外は14年9月韓国JBアミューズメント(JBA)の第2位株主となった。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す。
■17年3月期は大幅増益で最終黒字化
前期(17年3月期)の連結業績は売上高が前々期(16年3月期)比0.2%減の223億55百万円、営業利益が同37.7%増の7億96百万円、経常利益が同35.4%増の6億86百万円、純利益が2億10百万円(前々期は12億41百万円の赤字)だった。減損損失や法人税等の減少も寄与して最終黒字化した。
総合エンターテインメント事業が減収だったが、施設運営に係る原価圧縮や運営コスト抑制で営業損益が改善し、不動産事業における一戸建て分譲増加、商業施設建築事業における大型施工案件も寄与して大幅増益だった。売上総利益は同横ばいだったが、売上総利益率は14.3%で同0.1ポイント上昇した。販管費は同8.2%減少し、販管費比率は10.7%で同1.0ポイント低下した。
特別利益では投資有価証券売却益1億21百万円を計上したが、固定資産売却益が減少(前々期2億18百万円、前期19百万円)し、関係会社株式売却益も減少(前々期1億54百万円、前期37百万円)した。特別損失では投資有価証券評価損が増加(前々期51百万円、前期2億98百万円)したが、減損損失が大幅に減少(前々期16億03百万円、前期1億21百万円)した。ROEは2.2%で同14.0ポイント改善、自己資本比率は44.6%で同0.7ポイント低下した。配当は前々期と同額の年間1円(期末一括)とした。配当性向は66.2%である。
セグメント別に見ると、総合エンターテインメント事業は売上高が同10.0%減の133億02百万円で営業利益(連結調整前)が同5.7%増の7億60百万円だった。既存店売上が97.1%で、4店舗閉店や景品製造・販売の苦戦も影響して減収だったが、施設運営に係るコスト抑制などで営業損益が改善した。期末総店舗数は47店舗となった。なおVRエンターテインメント施設「VR PARK TOKYO」はオープン後2ヶ月で1万名を集客した。
不動産事業は、営業拠点拡大に伴う一戸建て引き渡し数増加、保有不動産の安定した賃料収入などで売上高が同9.4%増の67億75百万円、営業利益が同9.6%増の5億36百万円だった。商業施設建築事業は、大型案件の完成工事売上が寄与して売上高が2.9倍の21億99百万円、営業利益が同12倍の1億04百万円だった。店舗サブリース事業は売上高が48百万円で営業利益が5百万円だった。
四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期56億11百万円、第2四半期57億34百万円、第3四半期53億74百万円、第4四半期56億36百万円、営業利益は2億65百万円、3億24百万円、34百万円、1億73百万円だった。
■18年3月増益予想で収益改善基調期待
今期(18年3月期)連結業績予想(5月9日公表)は売上高が前期(17年3月期)比10.5%減の200億円、営業利益が同6.7%増の8億50百万円、経常利益が同9.2%増の7億50百万円、純利益が同2.1倍の4億50百万円としている。
景品製造・販売の子会社ブレイクを売却した影響などで減収だが、総合エンターテインメント事業における継続的なコスト改善やVR事業の拡大、不動産事業と商業施設建築事業の堅調推移、店舗サブリース事業の寄与などで増益予想である。総合エンターテインメント事業は、増床・業態転換・新規物件等で店舗網や営業面積の拡大を推進する。特にVR関連では、首都圏における本格的なVRテーマパークの展開や、VRアトラクションの外部への販売・レンタルによる収益化を目指す。
配当予想は前期と同額の年間1円(期末一括)で、予想配当性向は31.0%となる。持株会社移行にあたり、M&Aによる機動的な事業再編の実施に向けた内部留保を確保する。
■中期経営計画で20年3月期営業利益29億円目標
中期経営計画では、目標数値として18年3月期売上高330億円、営業利益17億円、経常利益14億円、純利益9億50百万円、ROE8%、20年3月期売上高410億円、営業利益29億円、経常利益23億円、純利益14億円を目指すとしている。
18年3月期の目標達成は難しくなったが、事業持株会社に移行して新規事業の底上げ、M&A、事業再編などを推進して収益拡大を図る方針だ。中期的に収益改善・拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末に実施
株主優待制度は、毎年3月末日時点の3500株(35単元)以上保有株主を対象として、業務提携先のオリーブスパが首都圏中心に運営するリラクゼーションサロン「OLIVE SPA」および「PANTHEON」の全店舗で利用できるサロンチケットを贈呈する。
■株価は調整一巡感
株価の動きを見ると、4月17日の直近安値110円から切り返した。やや上値の重い展開だが、120円近辺で推移して調整一巡感を強めている。
6月2日の終値119円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円23銭で算出)は37倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.8%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS69円69銭で算出)は1.7倍近辺である。時価総額は約166億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線を割り込んだが、調整一巡して反発展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)